文化放送メールマガジン。
【水谷加奈の劇場型恋愛体質】より。
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某人気アーティストのヒット曲。その歌詞が気になって気になって仕方ありません。
簡単に説明しますと…、
【絶望のどん底。大ピンチを招いたのは自分自身だ。
周りからも否定されて、お前じゃ役不足だと言われている気がする】
という内容。(あくまでも私の個人的解釈ですが…)
でもこの【役不足】って…使い方が違う気がするのです。
与えられた役目よりその人の方が上だというのが本来の意味ですから。
この歌詞だと【力不足】にしないと反対の意味になってしまうのでは?
以前、結構話題になったある小説の中にやはり【役不足】が出てきたのですが、
話の流れからしてどう考えても反対の意味になってしまう使われ方だったのです。
母と娘が冷蔵庫にメモを貼り合うことでコミュニケーションを取るという内容。
海外の作品だったので翻訳の時点で間違ったのでしょう。
いてもたってもいられずその出版社に電話したところ、
「おっしゃる通りなのですが、
母娘がメモを書くという流れの中で役不足の意味を間違えて書いてしまった…と
解釈していただければ…」
と、かなり苦しい言い訳でした。
これだけ【意味を取り違えやすい言葉】 として知られている【役不足】なのに
なぜいまだにこんなミスが起こるのか…。
このままでは若い人たちが間違った意味で覚えてしまいます。
いや、それとも前出の歌詞に関しては私の解釈の方が間違っているのでしょうか?
言葉や漢字、慣用句は、我々大人が発信を間違えると子供や若い人たちに誤解させてしまいます。
子供の頃【髪】という漢字を間違って覚えてしまったことがあります。
育毛剤か何かのコマーシャルで、
「髪は長―い友達」
というコピーがありました。その時の映像が【髪】という漢字を分解しているのですが、
「カミは(彡)長ーい(長)友達(友)」
と…。それを見て私は【髪】という漢字の左上を【長】で覚えてしまったのです。
正しくは【長】ではなくて【镸】だということをそれからしばらくして授業で知りました…。
それから侃々諤々(カンカンガクガク)と喧々囂々(ケンケンゴウゴウ)。
この2つが混じってケンケンガクガクと間違える人がとても多い四字熟語なのですが、
某新聞のコーナーで【見見学学】(ケンケンガクガク)というタイトルがあったのです。
何かを細かく取材(見学)していろいろと意見する(侃々諤々&喧々囂々)という内容だったと思いますが、
残念ながらこのタイトルのせいでケンケンガクガクと間違って覚えてしまう人がいたくらいです。
日本語は変化していくという流れは仕方ないのですが、
明らかに間違った意味や使い方を止めることはできるはずです。
それは大人やメディアの大切な仕事だと思うのです。
そして私自身も間違っていることがあるはずですので、
今後ともご指摘いただければ幸いです。