【CHE.R.RY.】2013.05.04 release

☆A5版/20P/コピー/\100
「Cherry+」を元に、タロス達とお花見デートを再構成。
桜と共に咲いた4つの淡い小さな恋のお話。



【Cherry+】(頒布終了)
たろぷらすシリーズのお花見デート編ミニ本。



「CHE.R.RY. / Episode U」 Written by みや

小鳥の声が聞こえる。
今日はいよいよ、意中の彼とのデートの日だ。
彼とのデートは楽しみの一つではあるが、相手が相手なので自分の心の中には楽しみと不安が同居しているような状態でもある。

今は自分ひとりが彼にとってのオンリーワンではあるのだけれども、
男女共に分け隔てなく接する社交的な一面の強い彼とのデートには、時々戸惑いが生じるのも否定できない。
ちなみに今回のデートは花見がメインだと言っていたので、
花見で歩く事を念頭に置いて歩きやすくて動きやすい衣服にしてみようか。
…それとも、花に負けないくらいの可愛さを意識してみようか。
そんな事を考えながら今日の勝負服を決めてみる。

現在の彼に出会うまでは、あまり考えずにその日に直感で思いついた衣服を適当に選んで出かける事が多かったが、
彼はとてもセンスが良く、洋服の組み合わせ方や色の合わせ方なども細かい所まで見ているので、
最近になってからはそういう所まで気を使うようになった。
やはり、大切な恋人の前では自分が一番魅力的な存在で居たいからなのだと、そんな事も思う。

しばらくの間、クローゼットと姿見の鏡を往復しながら、だいたいのイメージを固めてみる。
そうして出来上がった理想の自分を見つけた後に、次の支度を整える。
そんな行動を繰り返しているうちに、おもむろに時計を見ると、彼との待ち合わせの時間が近づいている事に気づいた。
まだ焦るほどの時間でも無かったが、相手を待たせるのは良くないと思い、急いで全ての支度を済ませ、家から出る。

―今日の自分を見て、彼はどんな言葉を掛けてくれるんだろう。

そんな事を思いながら、目的地である公園を目指していく。

*冒頭より抜粋*