ああ、殴らないんだね。

「怖い」と言いながらちっとも怖くなかった。

静かに怒る人。

ちゃんと誰だかわかるから。


鬼の形相って見たことあるかい。

誰だかわからなくなるんだよ。

悲しみとか憎しみが大きすぎるのかな。


自分ではコントロールできなくなってしまうのだろうね。

ひどいことされるのはいつだってあの部屋だったから、畳の部屋は今も嫌いさ。


あのね、誰かが怒ってて、ひとりだって思ったときはね。誰からも愛されていないと思ったときはね。死んでしまうのなんて怖くないと思ってしまうんだ。

実際はたぶん違う。

幼い私は、それでも窓から飛べなかったわけだから。


おみやげをくれたんだ。

「お前こそ死ね!」って捨て台詞を吐いて出ていったのに。

私の好きなものを買って来てくれる。

感情どうなっとんねん。


愛されるって、とても怖いことだ。

紛れもなく、これが「愛」なのだね。

私は心の底からひとりを望むのに。

きみは本当にいらなくはならないのかな。


いつでも捨てていいよって、言ってあるの。

いつ「もう無理だ」って言われても

受け入れてみせるよ。

得意なんだよ。諦めて受け入れること。

だから大丈夫。