神田さんの今後10年を読む、という本を読んでいました。
他の人が今後10年生き残れる職業生き残れない職業について記している本を書いていて、時ならぬ10年ブームがやってきたのかな、という感があります。
なるほど、本によって視点は異なりますが、面白いことは面白い。後者は、かなり根拠が示されていて、なるほど迫力があります。えっと、何という本かは忘れてしまいましたが、最近まで割りとベストセラーになっていましたから、大きな本屋さんにでも行ってみて下さい。
ただ、その本については疑問に感じることはあります。例えば、私の税理士という職業は10年後も持つ職業ということになっていましたが、その理由は国際化とはある程度距離を置けるから、というものでした。これだけだと、少々力に乏しいかな、という印象を持っています。
さて、神田さんの著作はどうか、というと、ある意味では衝撃はありません。今までこれからのことについて不安を覚えてきた人ならばそれなりに知っていたことだと思います。しかし、他の書物よりより具体的に書いてるかな、という印象を受けています。
結局は、本が助けてくれるわけではなく、自分が動かなければいけないということ。そして、神田さんははっきり口に出してはいないけど、万人を救い出す内容にはなっていませんね。それぞれがそれぞれの人生を歩む。そこに決まったレールなどないのです。勇気が必要になります。
私が思うに、この勇気というのが曲者で、場合や人によっては蛮勇になる可能性もあるのかな、と思っています。怖い面があるのは事実だな、と思っています。
指し示してくれるものがない段階での、「えいや!」的な勇気はほめられた結果を生み出す可能性が低いような気がしています。結局は自己責任で終わってしまっては、本を読む価値などないですね。
この本では、もちろんそういうことは意識されていると思います。それでは、どこが印象に残っているか、というと、要するに「既得権益の崩壊」ということに尽きるのではないでしょうか。この既得権益を元にして、現在の我々は動いています。原発は散々問題になっていますが、かといってこれに代わるエネルギーについて抜本的に、速やかに変えることが難しい状況です。電力料金の10%値上げについて、大きな自治体が言われるがままに受け入れざるを得ない状況を見れば、それが伺えることと思います。
しかし、この状況はドラスティックに変わる、と神田さんは言っています。そして、それに対する備えは出来ていますか、ということなのではないでしょうか。そういった時代の変化を、彼は歴史を紐解きながら説明しています。
明治維新の時、幕府派、倒幕派、そのどちらが正しいか、ほとんどの人は結論付けられずにいた過去があります。そんな体制の中、価値観の混乱が起きました。そういった状況と今とでは、恐ろしく状況が似ています。戦争さえ危惧される状況に陥っています。戦争!?そんなことありうるか!そう思う人も多いでしょう。しかし、昔だって多くの人がそう思ったのです。価値観の混乱は、時として強烈な形で現れてくることがあります。
それでは、戦争に備える、ということでしょうか。著作ではそんなことが述べられているわけではありません。まあ、国防に関しては、絶えず国として考えていかなければならないわけですが、戦争は回避できる、という立場で書かれていると思いました。私もそう思います。
簡潔にいえば、「拝金主義の崩壊」ということでしょう。あなたの会社の上司は、その傾向が強くありませんか?そういった上司を部下は信頼してますか?付いていっていますか?辞める人が多くありませんか?
そういう環境に置かれてうんざりしている人は世の中多いと思います。それが世の中なんだと、世の中そういうもんなんだと、諦め気分で毎日を過ごしている人は多いのではないでしょうか。
神田さんは、そういった価値観は大きく変わる、それも10年後どころではなく、ほんの2,3年で変わると言っています。これはすごいことだと思います。
戦前は、学業で立派な成績を修めている人は、東大よりも上の陸軍士官学校に行って陸軍の士官になることがステイタスでした。それが戦争で負けると、逆に戦犯として裁かれました。それがこれから起きる。つまり、利益ばかり追求してきて、従業員の思いに気持ちを馳せられなかった経営者は、ただ単に落ちぶれるのではなく、戦犯のように扱われる、ということなのです。
神田さんは、長らくコンサルタントとして、「あなたの会社、儲かるようにしてみせます!」ということがウリでした。しかし、もうここ7,8年くらい、そういった活動を止めています。それは、そういったことを見越してのことであるそうです。
私は、お金を儲けること自体は悪いことではないと思っています。努力次第で上に行ける社会というのは正しいと思います。しかし、今の構造はそうではない。既得権益は読んで字の如し、もう決まっていることなのです。決まった人たちが世の中を動かし、命令し、結局は今ある財産に群がり、食い潰していくのです。
そういった層には、電撃的な衝撃が走る可能性が高く、今そういった組織にいるのならば、それは先を考えていかなければならないだろう、ということです。