しばらくの沈黙の中、泪はこう切り出した。


「そういえば、美樹さんの姿が見えないけど・・・?」


泪はファルコンの様子をうかがった。

微動だにしない相手に、しばらくの沈黙が続く。

ファルコンの心情では、どう説明したらいいのか言葉が見つからなかった、

ただそれだけだった。


「美樹とは、ある事情があって別々に暮らしている」


少し困った顔に見えた。


「別々に・・・って、別れたわけではないのね?」


確かめる、泪は納得がいかなかった。


「安全な場所で暮らしている。ココは危ないからな。」


ファルコンの雰囲気が変わったのがわかった。


「ここだってあなたが一緒なら安全・・・」

「いや、子供が出来たんだ。こんなのが父親だなんていじめの対象にしかならないだろう?」


細かい説明をぼそぼそと言い始めたファルコンは、

幸せそうな表情を浮かべていた。

呆れかえって、幸せ笑いにつられる泪。


「それで?あったことは無いの?」

「無いことは無い。たまに娘がココに来る」


え?と、驚いた泪。


「子供には知らせていないのに?ココが分かったって・・・?」

「美樹のたくらみみたいだ。初めてその娘がきたとき、美樹の匂いがした」


何回か来るうちに、親しくなっていく。

そのうち1人で来るようになり、こう伝えに来た。

『次は男の子が欲しい』

と、母親が言っていたとマスターに言ってごらんと。


もしかしてわたしのお父さんなの?って、聞かれたから、

咄嗟に優しく抱きしめていた。

怖がらず抱きしめ返してくれた、あの小さいぬくもりは

忘れられない思い出になった。


「今は定期的に来るよ、娘の方から」

「すごく幸せそうで良かったわ、ファルコン」


泪はファルコンにそっと近づき、軽く口づけをした。


「本当はわたし・・・」

「・・・・」


ファルコンは泪を抱きしめた。


「全て知っていながら、逃げ出した俺が悪かった。泪を傷つけて、俺は傭兵に逃げたんだ」

「知っていたの?私の体の事」


あぁ。

ファルコンは小さくうなづいた。

もうなにもいうな。




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神威龍珠