「ねえ、あなた。私たち、どんな老後を過ごしたい?」
妻が還暦を迎えたある日、ふとそう尋ねてきた。私はもうすぐ65歳。これからの人生をどう生きるか、ぼんやりと考える日々を送っている。そんな時、頭に浮かんだのは、かつての職場で働いていた4人の先輩たちの姿だった。
彼らは、私たちの未来を映す鏡なのかもしれない。
人生の選択は突然に
私たちの人生には、いくつか分岐点がある。同じ会社で働いていた先輩たちの分岐点は、「退職金割り増しの希望退職者募集」だった。会社の経営立て直しのために、給料は減額された。その時、3人の先輩は会社に残る道を選んだ。
1人目の先輩は、出世街道を突き進んだ人だ。会社の経営層にまで上り詰め、経営を左右する立場で活躍していた。職場では、その強引な手法から反発を受けることもあったという。今は病気で施設に入っているが、いまだに経営から手を引こうとしないと聞く。
2人目の先輩は、のんびりとマイペースに仕事をしていた人。定年後、役職を断って社員として働き始めた。当初は週休3日だったが、今は週休4日で働いている。SNSで楽しそうに余暇を発信している姿を見ると、心から人生を楽しんでいるように見えた。ただ、ご家族に大変な方がいると聞いたことがある。
3人目の先輩は、仕事に嫌気がさして途中で会社を辞めた人だ。現場一筋の職人タイプで、会社を辞めた後は独立して活躍していた。最近、アドバイザー的な立場で会社に戻ってきたらしいが、どこか立場があいまいだと耳にした。
そして、4人目の先輩は、希望退職を選んだ人だ。彼は退職金と貯金で不動産投資を始め、安定した収入を得ているという。長年の趣味だった釣りを楽しみ、子供夫婦と賑やかに暮らす様子をブログで発信している。彼がブログで綴る日常は、いつも楽しそうで、多くの人から憧れの眼差しを向けられている。
私たちの描く未来
私は、この4人の中で、希望退職を選んだ4人目の先輩の生き方に一番心を惹かれた。彼は、未来の自分に投資し、過去の経験を活かしながらも、今を大切に生きているように見えるからだ。
「老後は、過去の栄光にしがみつくのではなく、今を大切に生きたい」
私は妻にそう話した。
「過去よりも、今を。自分たちらしい、自分たちの人生を、今から描いていこうよ」
私たちは、お互いの顔を見つめ、そっと笑い合った。
あなたなら、どんな老後を過ごしたいですか?
ちなみに4人のシニア生活をは、事実をAIと一緒に再構成したフィクションです

