ここ最近の北海道札幌は記録的な大雪であった。
北海道の冬の風物詩でもある、ササラ電車。
そのササラ電車が立ち往生したにゃ。
わたしのにゃん生の中でそんなこと聞いたことない。
それもそのはず、1925年以降初だって!
毎日雪かき、車の大渋滞、飛行機、電車の運休と大パニック。
雪に慣れっこの道民でも12月上旬でこれは。
心構えってものがあるにゃ。
そんな雪がまた降って朝から雪かき。
もーう、腰が痛い。
雪も落ち着いたからとマネージャーの車に乗ってお昼を食べに行った時に悲劇は起きた。
一車線ずつの道が今回の大雪で、一台分しか通れなく、道はすり鉢状に。
どうやって車はすれ違うのか?
道民の知恵と優しさ。
路肩のスペースを見つけた車がそこに待機し、パッシングや合図で「お先にどうぞ!」と譲るのにゃ。
信号の停止線で止まっている時なんかは、右折車が滑って突っ込んでくる場合もあるから、停止線よりかなり前にバックして譲ったりする。
雪道でイライラしている状態が多い中、そんな場面に出くわすとほっこりするにゃ。
話を戻そう
そんなすり鉢状の道でマネージャーは道を譲った。
そして左折。
左折した瞬間車はスリップし、除雪をしていない家の前の低い雪山へ。
(4wdだからこんな浅い雪山なんか突破できるにゃ。)
「ぐいいいいいいいいん」
車輪は空周り。
前輪は浅い雪山に取られて、後輪は氷と、運の悪いことにマンホールの鉄の部分。
マンホールの部分や、横断歩道の白い部分は、寒くなると氷になってなまら滑る。
車から飛び降りるマネージャー。
手袋を「履いて」、スコップとスノーヘルパーを取り出す。
手際がいいマネージャー。
スコップで亀さん状態の車の下の雪をかいて、タイヤにヘルパーをかます。
(この装備なら、わたしが降りるまでではにゃい!)
ギアをドライブに入れて、クリープ現象をうまく使う。
(ここでアクセルをふかすとタイヤが空回りしたり、ヘルパーが飛んで行ったりするので注意)
「ぐいいいいいいん」
努力むなしくタイヤの空回る音だけが聞こえる。
掘っては、ヘルパーを噛ませて、発進させる…
しばらくその作業を淡々と繰り返す。さすがにわたしも一緒に雪を掘ったり、
ヘルパーの位置の指示を出したりしてた。
そんな時だった。
(ガラガラ)
玄関フードからおばちゃんが勢いよく出てきた。
「○××△○!!!!!!!」
(何を言っている!なまらすごい剣幕で怒っている)
わたしは何を言っているのか聞くために必死に猫耳を聞き立てた。
「私が朝起きて一生懸命作った壁壊しただろ!!!雪の壁!手が痛かったのに!」
!?
(雪の壁?左折して一瞬しかよくみてなかったが、壁なんかあっただろうか。
あったとしても早朝にそれを作ってそれからまた雪が降ったから隠れて雪山になっちゃたんだろう)
おばちゃんはまだ雪壁を直せと言ってる。
車は埋まっているというのに。
最初はマネージャーも「家の前で埋まってすいません」と謝っていたのだが、
そんなことを御構い無しで自分が作ったとする雪の壁を直せと主張してくるおばさん。
必死で車を出そうしながら聞いているマネージャーもさすがにキレはじめていた
「車を出さないと、何もはじまらないでしょ!
車を出してからやりますよっ!!!!後ろから車が来るかもしれませんし…」
「あーー、向かいの家が雪かきしないから道路が狭くなって、車がみんなうちの前ギリギリを通るの!!!だから壁を作ったのに!!」
!?
(確かにここはおばちゃんの家の前だけど、道路はみんなのもの。しかもこんな道が狭いのに、雪の壁をあえて作るか?)
おばちゃんのヒステリックボイスをBGMにマネージャーは黙々と車の脱出を図る。
「あんたこの壁が見えなかったのかい?ここに作ってたのに!見えないから埋まるんだわ!下手くそ!」
わたしはイライラというか諦めモードで「最近の雪で道も狭くなってたし、軽くスリップしてたのもありますし、運転ミスもありますが、雪山しか見えませんでした」
「後にも先にも埋まったのはあんたたちだけ!!!!キィィ」
(壁を作るという行為で何かを主張している、過去に同じようなことがあったか、トラブルがあったのだろう)
そんな時、
「ぶおおおおおん」
車が雪道を走り出した!車が出た!
そのまましばらく走らせ、安全なところに停車したマネージャーが戻ってきた
「すいません、雪壁作ります」
(普通、家の前、散らかしたので雪かきしますってセリフが正解だけど、雪壁作りますって。おかしな感じもしたけど、マネージャーとこんな時に咄嗟に出る、大人の対応に関心)
「違う!!!そこじゃない、ここ!壁、ここ!!」
(どんな壁だよ!!!見えてなかったし)
「こうですか?」
「違う!四角!!!だからもうっ」
…
「あんたちょっとそれ貸して!」
(マネージャーのスコップはおばちゃんのプラスティックの違って鉄製の頑丈なスコップだ。)
鉄製のスコップで角を作りながら壁を作っていくおばちゃん。
機嫌がみるみるよくなっていく
「わたしもさ、怒っててごめんね、あなたたちがさ、雪壁壊すんだもん、せっかく作ったのにさ。そこで言い訳するんだもん」
「…はい。すいません」
(もういいにゃ。謝るが勝ち)
マネージャーと二人で謝りそそくさと車に戻った。
「大変だったね。カムイちゃん、手伝ってくれてありがとう。何食べる?」
「回転寿司」
「…わかったよ。寒い思いさせたからおごるよ…」
「うん」
【実録】雪壁おばちゃん 完 〜北乃カムイ
おまけ
夜にどうしても気になってので
「確かに雪壁だ!」
(雪降ったらすぐ埋まるけどね…)