■社団法人設立へ、民間とも連携

高齢化や健康志向の高まりで注目を集める漢方薬の生産、販路拡大に向けて、奈良と神奈川、富山の3県は18日、来年4月までに一般社団法人「漢方産業化推進研究会」を設立すると発表した。東洋医学や漢方に詳しい渡辺賢治・慶應義塾大教授をはじめ、民間企業とも連携。輸出も含め、関連の市場規模を現状の2兆7千億円から10兆円程度まで増やすことを目指す。

                  
研究会は、渡辺教授の呼びかけで法人化の準備を進める。自治体からは、漢方を取り入れた健康産業の創出に取り組む神奈川県と、漢方薬の製造・普及に取り組む奈良県、富山県が参加する。

3県によると、民間からは、三菱商事やJR東日本、富士通などの企業が参加を検討しており、栽培農家からも問い合わせが寄せられているという。

渡辺教授は研究会の目的を「欧米やアラブ諸国でも漢方薬について関心が高まっており、安心な薬を製造できれば日本の成長につながる」と指摘。「病気になる前に治すという東洋医学を先端医療に取り入れることで、医療費の抑制にもつながる。生薬を耕作放棄地で栽培するなどして中山間地の活性化にも役立てたい」と述べた。

奈良県では、すでに「漢方のメッカ推進プロジェクト」を始動させ、生薬の生産や漢方薬の効果の検証、薬の製造、販路拡大に取り組んでいる。奈良の生薬「大和当帰(とうき)」の品種改良や、生薬栽培に向けた人材育成なども進めている。

東京都内で会見した荒井正吾知事は「奈良は漢方薬の製造、販売はまだこれからだが、奈良だけでは手に負えないこともあり、研究会を通じてマーケティングにつなげていきたい」と述べた。

http://sankei.jp.msn.com/region/news/131219/nar13121902120001-n1.htm