メイの覚悟、スカーのけじめ | 風紋

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鋼の錬金術師ファンの雑文ブログ



  リンとランファンに愛が偏っています

メイがエンヴィーの言葉に翻意してシンに帰らずセントラルに向かった事に
ついて、私は最初
「あーあエンヴィーなんかにそそのかされちまってよお、
この信じ込みやすい皇女サマってば。」
と思っていたのですが、そんなモンじゃないという気がしてきました。


その最大の理由は、あのビン詰めエンヴィーが「不老不死のなれの果て」
ではあっても、皇帝を満足させるようなものでないことはメイもスカーも
錬丹術使いなのだから、エンヴィーに言われなくてもわかりきっていたの
ではないかと思ったからです。


ではなぜスカーは「帰れ」と言ったのか?
言葉どおりメイの一族の事情を考えたということもあるでしょう。
軍およびキンブリーに狙われている自分とこれからも行動を共にしたら
危険きわまりないので、せめてメイには無事に国に帰ってほしかった、と。


ですがそれよりも「この国のことはこの国の人間で何とかする」(うろおぼえ)
という言葉のほうに重みがあります。
今まで「なぜわが民族は滅ぼされねばならなかったのだ?!」という軍と
国家錬金術師への怒りと復讐の念のみで動いていたスカーが、ウィンリィや
マイルズに会ったことで変わったということですよね、これは。
スカーは今ようやくアメストリスを「わが国」とすることができたのです。

虐げられた民族という共通項をもったメイには、この言葉の重みがわかった
はずです。


それにここで初めてスカーは「メイ」と名前を呼んでいる!!
今までメイのことを「娘」としか呼んでいなかったというのに!!

きっとスカーは今まではなりゆきで一緒に行動してきたメイとは、かりそめ
の関係だと割り切るつもりでいたのでしょう。
野生に返す動物を世話する時には、名前をつけないというのと同じように。
今も頑なに自分の名を名乗ろうとしないスカーが「メイ」と名前を呼んで
諭している、その本気の説得にメイは肯かざるをえなかったのです。


だからあの涙の別れのシーンは一見アルメイですが、実はスカメイなんじゃ
ないですか?アルは「輿の玉?」なんていってるくらいだから親愛の情は
あってもメイに対する思いの深さはスカーほどはないと思うんですよね。
いや、スカーのメイへの思いも恋愛感情なんかじゃないと思いますが。


スカーの思いを受け取って、一旦は一行と別れたメイが思い直すきっかけが
ユースウェルでのカヤル君たちとの再会というのも憎い演出ですよね。
(余計な話ですが、ユースウェルは夕張と印象がかぶる気がします。)
アメストリスに命からがら入国できた時のことを思い出し、それから世話に
なった人たちを思い出し、やはりこのまま帰るわけにはいかない、やり残し
たことがあると決意する。
入国した時のように賢者の石をやみくもに求めることはもうない。しかし
エンヴィーの「中央に行けば不老不死の手がかりがある」という言葉を鵜呑み
にしたんじゃなく、アルやスカー一行のやろうとしていることの行く末を
見届けなくてはこの国に来た意味がない、そう思ったのではないでしょうか。


そう考えるとちょっとメイが頼もしく見えてきました。
来月号以降、メイがどんな行動をするのかわかりませんが覚悟をもったメイの
成長が見られるのではと期待しています。


あと、スカーも気になります。あるサイトで指摘されていたけどリオールに
現れたアルたち一行のなかにスカーがいないという事実があるので!!
たまたまコマのなかに描ききれなかった・・・というのは牛先生のことだから
考えにくいですよね。きっとスカーは何か思うところがあって別行動なんで
しょう。いよいよスカー兄登場か?!こっちも気になります!