嘉門タツオの「愛めし」

65回「シェフのサファリパーク 食べログアワード」


 食べログがスタートして15年。食の選択に欠かせないツールとして愛用させてもらっている。初めて伺う店の予習も出来るし、地方に出向いた時などは、その土地の店がランキングで出て来るのもありがたく、ガイドブックで当たりをつけたりしていた時代が懐かしい。

  3年前に、グルメ著名人に登録してもらえませんかと依頼された。ネーミングは面映いが、僕自身は ’06年からブログに食の記事を書いている旨を伝えると、過去に記した食に関するブログのデータを全て移行し集計してくれるというので引き受けた。多少時間はかかったが、ついに食べログ上に食カレンダーとして過去10数年間、何処で何を食べたかがわかる一目瞭然のデータベースがアップされた。実に優れもので、訪れた店は1,100軒に上り、コメントは2,500回を超えた。1番コメント数が多いのは目黒の鳥しきで、'10年に初訪問してから82回記している。最初に伺った時から、回を重ねるに連れお店に対する知識が深くなってゆくその様子は我ながら興味深い。鶏の産地、味付けや炭の事だけでなく、ご主人の生き様も含めて理解度が増してゆくのだ。

 そして'16年から人気店を表彰する食べログアワードが始まった。総合点が4.00を超えた飲食店がノミネートされ、ユーザー投票して上位店が選出される。全国に90万店あると言われる飲食店の中から、今年は「この国のどこにあっても生涯通い続けたいお店『Gold』」が34店、僕は29店伺っている。「一生に一度は味わっておきたい匠の技に出会えるお店『Silver』」が102店、こちらはまだ48店しか伺えてない。「レストランを語るなら必ず押さえておくべき名店『Bronze』」が488店、僕は112店しか押さえられていない。まだまだ奥の深い世界なのだ。ミシュランガイドはエリア別だが、アワードは全国から人気シェフが一同に集まるので、僕はシェフのサファリパークと呼んでいる。懇親会では飲食店の皆さんが交友を深めている姿が微笑ましく、遅くまで食談義に花を咲かせるグループも多い。以前は考えられなかった、全国の料理人が交流するとても意義のある場だと思う。