嘉門タツオの「愛めし」

27回「家紋と漢字ワイン  イガイタカハ」


   カリフォルニアワインのシャトー・イガイタカハのオーナーの杉本隆英さん、美代子さんご夫妻とは4年前大阪での食事会で知り合った。うちのワイナリーでも家紋入りのワインを作ってるんですよとカモン繋がりの会話を交わした。他にも侍や園などの漢字シリーズがある事等をその時初めて知った。程なくして漢字ワインがJALのファーストクラスに搭載されることが決まり、知名度は更に広がった。僕の還暦パーティーにワインのご提供をお願いすると、家紋入りエチケットの赤ワイン、ドラゴンビューティ カベルネ・ソーヴィニョンを60本プレゼントしていただき大好評だった。その直後にカリフォルニアから杉本さんのワインの造り手の1人であるグレッグ夫妻が参加するリリースパーティーにお礼がてらギター持参で参加してこんな歌を披露した。♪うちの父の夢はヴィンテージワインを飲みながら若い女と暮らす事だが、現実は若いワインを飲みながらヴィンテージものの母と暮らしている。 

   杉本夫妻はヴィンテージの重ね方が素晴らしいと思う。中学の同級生で、中3の時は2組で共に出席番号がそれぞれ09番だった。イガイタカハとしての最初の商業ベースリリースは、結婚35周年を迎えた2013年で中32組と09番にちなんで3209というネーミングのスパークリングワインだった。そもそも隆英さんはほとんどお酒を飲まない人生を40年間送っていたのだが、IT企業の社員だった44歳の時に営業成績が評価されて表彰式で副賞としてもらったカリフォルニアワインを一口飲んで恋に落ちた。そこからワインの旅が始まる。カリフォルニアワインダイニングを営むうちに、2人の娘さんの名前のワインを造って嫁ぐ時にプレゼントしようと思った。やがてそれが商業ベースに乗り、和テイストの食事に合うワイン造りに絞って現在に至っている。シャトーといいつつもぶどう畑や醸造所を持っているわけではなく、コンセプトに基づいて実作業はカリフォルニアのプロの職人さんに委託をしているが、よくある高額コンサルタント料等は払った事がないらしい。日本人のために造るカリフォルニアワインのヴィンテージはさらに深まってゆく。