芝居で一緒だった元タカラジェンヌの奈加靖子さんが「オススメの本を教えて下さい」とウチアゲの席で聞いてきはったので、こら先輩としてマジメに役に立つモノをと考えて表現と舞台という観点から渡辺淳一さんの「秘すれば花」を挙げた。観阿弥が世阿弥のために書き残した「能」のバイブル「風姿花伝」を渡辺淳一先生が現代に置き換えてわかりやすく解説してくれている名著だ。あまりに言い得ているので2001年に初めて読んだ直後仕事でたまたまご一緒した桂三枝師匠におこがましくも推薦したら、師匠は西川きよしさんに更に勧めるという経緯があった。室町時代に書かれた芸能、ひいては人生をいかに生き抜くか?を説いた「花伝書」を、わかりやすく現代に蘇らせた渡辺先生の功績は大きい。35、6歳くらいまでに花が咲かぬと40からは下る一方とか、芸能の根源は「珍しさ」にあり、慣れると客は飽きる、ゆえに常にいかに珍しくあるべきか?などと言う、ま、当り前と言えば当り前ではあるが、何百年も前からそんな法則が決まっていたのか!と慄然

の内容のオンパレード。奈加さんに勧めた手前7年ぶりに読み返してみると、やはり凄い本だった。「失楽園」や「愛の流刑地」も凄いが、官能を描く以外にもこういう仕事をされている渡辺のオッチャンが凄い。奈加さんが「次の課題図書を教えて下さい」と言うので岡本太郎の「今日の芸術」を更に推薦。コチラも今読み返しているのだが、とんでもない真理満載の本である。

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