写真は黒松。
可愛いでしょう。
樹高8㎝で、一人前の面構え(枝構え)。
モミジやコナラなどの雑木諸君が紅葉の後、そそくさと店仕舞い、冬備えとなるのですが、松はエライ!
片手に乗る寸法で、冬も形を変えないところが、生意気でもあるのです。
詩に詠まれ、鉢に植えられ、世の中を睨み立つ松は、威風辺りを払って見事ではありますが、古い時代から「結び文」や「付け文」には用いなかったようですね。
そりゃあそうでしょう、愛しい辺りからの文は「梅の枝」が似合ったのですね。
常緑だの常磐木だの言っても、松の枝に結んだ文を読む気にはなれないですからね。
掌にささくれ立つ松の木を気にしつつ、恋文をひらくのは興ざめも甚だしい。
でもね、愚老はこの写真の松を、コイの仲立ちに使おう、と思っているのです。
鉢に差すラベルに「我がコイ心」を書いて、孫のミイちゃんに差し上げたい、と目論んでいるのです。
「請い、枝を折るなかれ」
なあんてね。
駄句5句と愚歌1首。
松風の時雨降りたる年の暮れ
指折りて初松籟を心待ち
黒松の時雨降るとも動じざる
三寸の黒松時雨に対峙すなり
落葉松は冬来る前に散りにけり
松籟を聞きたくもあり茶の作法音は心で聞くものなるか