紅葉散りゆけば人も散り行きぬ
写真は櫨落葉(はぜもみじ)と石塔。
この櫨の寄せ植えは一鉢100円也、で買って5年です。
マッチの軸より細い、可愛い鉢でありました。
不思議なもので、植え替えを2回するごとに我が存在を主張するかのように葉を拡げ、真っ赤に紅葉するようになってきました。
鉢の縁に置いた三重の塔は100円Shopで手に入れました。
もう少し年月が経ったら、雲水形の添景を置いてみようか、などと浅はかな計画をめぐらせています。
雲水は錫杖にもたれ、菅笠を被る蓄鬚(ちくしゅ)の老体。
笠を右手で持ち上げ、櫨紅葉を眺める風情。
「人の世は儚く、うたかたの夢。色即是空、諸行無常なり」
と呟く。
なあんてね。
外見さえ整えれば内面が伴う、という浅慮。
安物の感傷、香具師の口上。
そもそも「蓄鬚(ちくしゅ)」とは何ぞや。
かように、腹を立てたり、あれこれ思案してみたり、いいものですよ。
駄句6句と愚歌1首。
石塔に新酒供へん櫨紅葉
櫨紅葉散りし後の塔寂し
石塔は紅葉の頃は賑はいぬ
櫨紅葉散り敷く上に時雨かな
櫨裸木時雨に耐へて寄り沿ひぬ
木枯らしは櫨紅葉は見逃しぬ
朱に染めて石塔に沿ひし櫨紅葉散りにし後は裸木抱き合ふ