櫨紅葉散り行けば何故も散り行くか | 牛久の小盆栽 ながちゃんのブログ

牛久の小盆栽 ながちゃんのブログ

伝統的な盆栽愛好者の姿は、培養歴6年で樹齢150年、200万円の五葉松を出入りの業者に任せる旦那でした。「なんとか盆栽展示会」にその蔵者が得意げ写真におさまる、とか。私は貧乏なので全て実生、挿し木の小盆栽です。


櫨

紅葉散りゆけば人も散り行きぬ

写真は櫨落葉(はぜもみじ)と石塔。

この櫨の寄せ植えは一鉢100円也、で買って5年です。
マッチの軸より細い、可愛い鉢でありました。
不思議なもので、植え替えを2回するごとに我が存在を主張するかのように葉を拡げ、真っ赤に紅葉するようになってきました。

鉢の縁に置いた三重の塔は100円Shopで手に入れました。
もう少し年月が経ったら、雲水形の添景を置いてみようか、などと浅はかな計画をめぐらせています。
雲水は錫杖にもたれ、菅笠を被る蓄鬚(ちくしゅ)の老体。
笠を右手で持ち上げ、櫨紅葉を眺める風情。
「人の世は儚く、うたかたの夢。色即是空、諸行無常なり」
と呟く。

なあんてね。
外見さえ整えれば内面が伴う、という浅慮。
安物の感傷、香具師の口上。
そもそも「蓄鬚(ちくしゅ)」とは何ぞや。

かように、腹を立てたり、あれこれ思案してみたり、いいものですよ。

駄句6句と愚歌1首。


石塔に新酒供へん櫨紅葉
櫨紅葉散りし後の塔寂し
石塔は紅葉の頃は賑はいぬ
櫨紅葉散り敷く上に時雨かな
櫨裸木時雨に耐へて寄り沿ひぬ
木枯らしは櫨紅葉は見逃しぬ

朱に染めて石塔に沿ひし櫨紅葉散りにし後は裸木抱き合ふ