写真は紅葉葉楓(もみじばふう)。
拙老、去り行く秋の日に誘われて、図書館で本の背表紙眺めて一日過ごすことがあります。
夏の暑い日は「暑い暑い」と、言っても詮無い苦情を呟き、日の暮れを待ちます。
酷寒の日は「寒い寒い」と、泣き言を述べて、陋屋で一日過ごすのです。
かように自堕落な生活をしても、世の大方の人と感想は同じになり、交際も問題なく行うことができます。
さて、秋の心地よい日に「心地よい心地よい」といくら叫んでも、常識ある人は誰も無視、おつきあいは頂けません。
そこで愚老、仕方なく図書館などへ赴き、本の背文字だけ見て過
ごすのです。
昨日は午前中館内をうろつき、午後の陽の窓越しに沈もうとするのが見え、帰宅せんものと館内から這い出たのです。
目の前に鮮紅のモミジバフウの並木。
驚きましたね。
紅葉の上に夕陽の残照を受け、モミジバフウの木が燃えて見えたのです。
拙老、この荘厳な景色に突き動かされ思わず合掌致しました。
なあんてね。きいたふうなことを述べながら、愚老モミジバフウとユリノキ(半纏木)の区別が曖昧なのです。
秋が去り、落葉したら、もはや何れがモミジバフウやらユリノキやら区別がつきませんな。
そりゃあ、緑滴る時分に葉を並べりゃ、愚昧な身でも区別はつきますよ。
モミジの葉に似たモミジバフウと、昔の子どもたちが着た「半纏」に似たハンテンボク=ユリノキと。
駄句5句と愚歌2首。
紅葉葉楓モミジの前に紅葉し
紅葉葉楓ハンテンボクとよく似たり
紅葉葉楓散る紅葉葉は豪快なり
紅葉葉楓カエデモミジと縁遠し
紅葉葉楓はらはら散りて秋惜しむ
街路樹の紅葉葉楓の燃えてをり鮮紅に燃え薄赤く燃え
秋の日の図書館の庭落ち葉積む紅葉葉楓は独り地を占む