はじめに

 

 集団スト−カ−は、スト−カ−行為をタ−ゲットだけに気づかせるため、タ−ゲットに対してアンカリングと呼ばれる心理操作を施すことが知られています。

 アンカリングは、元々は、先に与える情報(=アンカ−)が、その後の判断や反応を歪めてアンカ−寄りにしてしまう心理現象のことです。

 集団スト−カ−関連では、判断や反応をアンカ−寄りにさせるための心理操作の意味でも用いられており、「古典的条件付け」の影響が窺えます。

 

 今回は、「パブロフの犬」という実験を引き合いに出して「古典的条件付け」を説明し、アンカリングと古典的条件付けとの共通点と相違点を示すことにより、前者が後者を普遍的にしたものと考えられることを示します。

 次に、アンカリング(≒古典的条件付け)の特性をパブロフの犬の例をあげながら紹介し、さらに「古典的条件付け」の中には「嫌悪条件付け」や「恐怖条件付け」があり、こうした特性や条件付けが集団ストーカーで積極的に活用されていることに言及します。

 

 これらの特性を理解できれば、警察官その他の皆さんに対して、集団ストーカー被害の説明をもっと具体的にできるかもしれません。そこで、ケーススタディとして、前回に掲載した「黒いショルダ-バックを肩に下げた人々によるつきまとい」の件を、アンカリング(≒古典的条件付け)のセオリーに従って説明してみます。 

 

1.アンカリングと古典的条件付けとの共通点と相違点

 

 古典的条件付けについては、心理学者のイワン・パブロフが愛犬に対して行った「パブロフの犬」の実験が有名です。

 この実験では、「犬にメトロノ−ムの音を聞かせながら餌を与え続けると、やがてメトロノ−ムの音を聞くだけで餌のことを想像して唾液を分泌するようになる」ことが示されました。

 

 パブロフの犬の実験における餌に対する反応(唾液の反射的な分泌)は、古典的条件付けにおける無条件刺激無条件反射に該当します。メトロノ−ムの音は、条件刺激に該当し、その音を聞くことで餌のことを想像して唾液を反射的に分泌する反応条件反射に該当します。

 

 これをアンカリングに直すと、無条件刺激がアンカ−、無条件反射がアンカ−への反応となります。そして、条件反射がアンカ−寄りの反応となります。

 アンカーに対する反応とアンカー寄りの反応との違いは、現実と想像における唾液の分泌量の違いと判断して良さそうです。梅干を見て思わず出てしまう唾液の量は、実際に食べた時よりも比較的少なめです。

 

 古典的条件付けは、無条件刺激と条件刺激をセットにして繰り返し呈示することによって条件反射の成立を促します。それに対し、アンカリングは繰り返し呈示することにこだわっていない点で、古典的条件付けよりも普遍的と考えられます(あくまでも私信ですが・・)。

 

2.アンカリング(≒古典的条件付け)の特徴について

 

 古典的条件付けの特徴として、以下の知見が得られています。

 

(1) 条件付けを行う際は、条件刺激がわずかに無条件刺激より先行する同時条件づけが最も効果的である。

(2) 条件づけが形成されたのち、無条件刺激を伴わないで条件刺激だけを反復呈示すると条件反射はしだいに消失する(実験的消去)。

(3) しかし、消去後、しばらくして条件刺激を呈示するとふたたび条件反射が出現する。

(4) ある条件刺激に対して条件反射を形成すると、それと同一次元の刺激に対しても条件反射が生じる(刺激般化)。

(5) 条件刺激に対する条件反射が形成されたのち、別の条件刺激に対して次々に条件反射を形成することができる(高次条件づけ)。

(6) 二つの中性刺激(光と音)を反復対呈示したのち、一方の刺激を条件刺激として条件反射を形成すると、他方の刺激に対してただちに条件反射が誘発される(感性前条件づけ

 

3.嫌悪条件付けと恐怖条件付け

 

 古典的条件付けにおいて、電気ショックや吐き気を促したり、悪臭を放つ化学薬品、嫌なイメージなどの嫌悪刺激によって本来は嫌悪感を抱いていなかった刺激・対象に対して嫌悪感を形成することを嫌悪条件づけと呼びます。また、恐怖条件づけでは、通常恐怖を引き起こすことのなかった条件刺激と同時に恐怖を引き起こす不快な刺激を呈示することによって、それまでなんでもなかった条件刺激に対して恐怖反応を示すようになります。

 

4.アンカリングのセオリーに沿った集団ストーカ-被害の説明の実際(前回の黒いショルダ-バッグの件を例に)

 

 前回のブログに紹介した「私にとって初めての警察相談」の主な内容である、「黒いショルダ-バッグ」を肩から下げた人々による付きまといの件をアンカリング(≒古典的学習)のセオリーに沿って説明すると、次のようになります。

 

 引っ越し前に住んでいた借家は、国道に面しているものの、相当な田舎なので夜間はほとんど往来がありません。また自宅の裏通りは日中も人影が少なく、たまに小中学生を見かける程度です。

 しかし、3月●日に、多くの車両が行き交う騒々しい夜があり、その喧騒が終わった深夜に黒いショルダ-バッグを下げた白装束の怪しい人々が歩いている様子が隣家の防犯カメラに記録されていました。

 これがその時の写真です。同じようなバッグを下げた若者は、数日後も現われて私の家の玄関先でドンと路面を踏み鳴らして去っていきました。

 

 この喧騒の夜に先立ち、自宅周辺では、数日前から白いシャツと黒いズボンをはいた見知らぬ人々がうろついており、○○の陰などから私の方を見ていましたから、宗教関係者が変なことをしている?と不審に思っていた経緯があります。

 白装束の一人の身元が判明したので、その後の行動を注視していたところ、その頃から自宅周辺の裏道等において黒いショルダ-バッグを下げた不特定多数の見知らぬ男女(アンカー・無条件刺激)を見かけるようになり、宗教絡みの不審者ではないかと不安と警戒の念を抱く(アンカ-に対する反応・無条件反射)ようになりました。

 

 彼らの中には、私を見ながら黒いバッグをポンポンと叩きながら見せつけてくる人もいましたから、次第に黒いバッグ(条件刺激)をつけた人々を気にするようになり、見かけただけで反射的に組織的なつきまといではないかと想像し、不安と警戒の念を抱くようになりました(アンカ-寄りの反応、条件反射)。

 

 私は、昨日○○市に引っ越してきましたが、ここでもやはり私が予定していた行く先々で黒いバックを肩から下げた人々を多数見かけます。

 その中には、引っ越し前に私に黒いバックを叩きながら見せつけた男が他の数人と一緒にワゴン車の中から私を睨みつけておりました。引っ越し前の家はここから1200km以上隔てていますし、予定外に入った店では黒いショルダ-バックを下げた人々をほとんど見かけません。これらのことから、黒いポシェットを下げた多数の人々と遭遇することは偶然ではないと考えています。

 

 私と私の家族以外の人には知りえない情報が知られているようですし(盗聴・盗撮の疑い)、何をされるかわからなくて心配なので、このことを警察に知っていただきたいと思い相談に来ました。

 

5.おわりに

 

 最後まで目を通していただきありがとうございました。アンカリング(≒古典的条件付け)のセオリ-に沿って説明すると、説得力が増すみたい!と捉えて頂くことができれば嬉しいです。

 

 集団スト-カ-のアンカリングは、「嫌悪条件付け」や「恐怖条件付け」で説明しやすく、さらに【2.アンカリング(≒古典的条件付け)の特徴について】に記載した知見が多用されていますので、是非ご活用ください。

 

 ところで、最初のアンカリングは時間をかけて入念に行われます。次回は、車両による組織的付きまとい(=車両ストーキング)のアンカリングがどのようなものであるのかについて、私の経験を紹介します。