NHKのテレビを見ていたら、字幕に「~て下さい」と表示されていました。
これを見て、「これじゃあ、「下さい」と書く人が多いのも当然だ」と思いました。
というのは、国が指針として示している書き方に照らせば、動詞の場合は漢字で、補助動詞の場合は平仮名で書くのが正しいのですが、この例のようにマスコミによっては独自のルールで表記する場合が少なからずあるからです。国の指針はあくまでも「目安」であって「義務」ではないので、このようなことが起きるのですね。
NHKは日本語を扱うマスコミとしては国民の信頼が厚いマスコミですから、これを日常的に見る国民は、「~て下さい」が正しい書き方だと思い込んでしまう可能性があります。
一方、おそらく大部分の新聞は「~てください」と表記していると思います。国の指針どおりですね。同じマスコミでも、このように扱い方が違いますので、新聞社の表記が「正しい日本語」だと思う人はこれに倣うと思います。その結果、世間では、「下さい」派と「ください」派が混在する結果となってしまいそうです。
NHKでは、限られたテレビ画面を有効に使おうとして平仮名より一字節約できる「下さい」を使っているのかもしれません。これは、「正しい日本語」を普及させるという観点からは困ったことだと思うのですが、国は無理矢理統一しようとはしていないようなので、やむを得ません。
ただし、公用文は例外なく、また、多くの新聞社や会社では国の指針どおりに使っているようなので、ここではそれに従った使い方をお勧めします。このように使い分けできれば、どこに出しても恥ずかしくない文章にすることができるということですね。
そこで用例です。
【下さい】(動詞。英語のgiveの意味)
・・・「資料を下さい」「回答を下さい」
【ください】(補助動詞。英語のpleaseの意味)
・・・「話してください」「貸してください」「御遠慮ください」「お越しください」
「お気を付けください」
「~てください」というように「て」が入る場合には補助動詞なので平仮名で表記すればいいのですが、「御遠慮ください」のような場合にはそのルールに当てはまらないので注意が必要です。これは、「遠慮してください」の意味だから補助動詞として平仮名で表記するということですね。英語の「please」の意味で使われるものかどうかで判断した方がいいかもしれません。