歯医者さんの豆知識:赤ちゃんの歯の萌出について考えましょう! | デンタルケア神谷町の独り言 φ(.. ) Deep breathing of dental care Kamiyacho

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2012年7月よりスタートしました当院ブログ!!これからも歯科の豆知識から雑学!!スタッフの小言などジャンルを問わず気まぐれに記載していきますのでどうぞよろしくお願いします(^ ^)/

 ☆★☆ 赤ちゃんの歯が生える時期に母親が注意すべきこと ☆★☆

<2歳半までに虫歯菌が家族から感染すると虫歯になりやすくなる>

歯が生えていない赤ちゃんにはもともと虫歯菌であるミュータンス菌はいませんが、2歳半までに虫歯菌が家族から感染すると、その後虫歯菌は一生、住み続けてしまいます。生後19ヶ月から31ヶ月(平均26ヶ月)の間に虫歯菌が家族から感染すると、虫歯菌が口の中に住み続けます。この期間を感染の窓といいます。一度、虫歯菌が定着してしまった口の中は虫歯になる確率が高くなり、生涯虫歯に悩まされる可能性があります。家族の虫歯菌が感染しないように、噛み与えやスプーンなどを一緒に使うことは避ける必要があります。

<家族の口腔ケアが赤ちゃんの口腔ケアにもなる>

赤ちゃんが虫歯にならないように気をつけている方も多いのですが、実は家族の口の中をケアすることこそが、赤ちゃんの口腔ケアになるのです。親子にとってスキンシップはとても重要です。しかし、虫歯菌が赤ちゃんに感染する可能性が高くなります。そのため家族の虫歯菌が赤ちゃんに感染しないように、家族の口腔ケアが大切になります。

<歯周病菌は親子だけでなく夫婦でも感染する>

歯周病菌は虫歯菌に比べて感染する期間が長く、大人になっても歯周病菌が相手に感染する可能性があります。歯周病菌を多く持っている親の子供は、親と同じ歯周病菌を持つ確率が高くなります。また、歯周病の状態の悪い母親の子供には歯周病菌が多くいるという研究結果があります。そのため親が自分の歯をケアすることは、自分のみならず赤ちゃんや家族の歯を守ることにもなります。

☆★☆ 赤ちゃんの歯が生える時期と注意点 ☆★☆

<3〜9ヶ月に最初の歯が生える>

赤ちゃんは最初に下の前歯から生え始めます。この時期から歯磨きも始まります。赤ちゃんの歯茎はとてもデリケートです。大人用の歯ブラシではなく、赤ちゃん用の小さく、柔らかい歯ブラシで磨いてあげてください。

注意点:赤ちゃんの下の前歯が生えると裏側に白い歯石が付くことがあります。この歯石によって歯肉炎や虫歯になるわけではないのでそのままにしておいても大丈夫です。歯医者に行けるようになってから、取ってもらいます。

<9〜16ヶ月に上下の前歯が生えそろう>

上下の前歯が生えそろい、離乳や断乳の時期です。授乳が長く続くと前歯の表面に初期虫歯が出ることがあります。すぐに削る必要はありませんが、授乳後歯磨きやガーゼなどで歯の表面をきれいにしてあげてください。

注意点:赤ちゃんに前歯が生えてくると歯の形の異常に気づくことがあります。特に多いのが下の前歯の癒合歯(ゆごうし)です。癒合歯は歯と歯がくっついている歯でハート形になっています。ただし、癒合歯があっても特に心配はありません。永久歯の生え変わりの時にうまく生え変わるか歯医者で診てもらえば大丈夫です。

<16ヶ月〜22ヶ月奥歯と犬歯がはえる>

赤ちゃんに奥歯が生え始め、乳児食になります。この時期にもっとも認められる虫歯は上の前歯の歯と歯の間です。多くの歯は隙間がありますが、上の前歯の歯と歯の間は詰まっていることが多く、歯ブラシでは汚れが取れにくいために、虫歯になります。赤ちゃん用のデンタルフロスで汚れを取ってあげてください。

注意点:このころから家族の虫歯菌が赤ちゃんに感染する確率が高くなります。赤ちゃんだけでなく、家族の口腔ケアを行うようにしてください。

<24ヶ月〜30ヶ月奥歯も全て生えそろう>

赤ちゃんの奥歯も全て生えそろい、いろいろなものを食べ始める時期です。乳歯は永久歯に比べ、歯が柔らかく、虫歯になると進行がとても早いのです。乳歯の虫歯の90%は奥歯の歯と歯の間から起こります。早いうちに甘いものを覚えさせないことと、奥歯の歯と歯の間をデンタルフロスで磨くことが、虫歯予防に重要です。

注意点:乳歯の奥歯が生えてきた時に色が黄色い場合があります。これはエナメル質形成不全(けいせいふぜん)といって、歯の表面のエナメル質がもともと弱く、虫歯になりやすい状態です。歯医者で虫歯にならないように高濃度のフッ素を塗って、歯の表面を硬くしてもらいましょう。

☆★☆ 赤ちゃんの口腔ケアにオススメの商品 ☆★☆

<仕上げ用歯ブラシ EX kodomo14M>

お母さんが使う赤ちゃんの仕上げ用歯ブラシです。ブラシ部分は小さく、毛先は柔らかいために赤ちゃんの歯をやさしく磨くことができます。また、柄が長いために奥まで磨いてあげることができます。通販等で購入可能です。

<子供用デンタルフロス フロスちゃん>

特に赤ちゃんの奥歯の歯と歯の間には虫歯ができやすい場所です。フロスちゃんはお子さんの小さなお口にも入りやすく、可愛いデザインで、しっかり歯と歯の間の細菌を取り除いてくれます。フロスちゃんで引っかかりがある場合は虫歯ができている可能性があります。歯医者で確認してもらってください。通販等で購入可能です。

使い方

  • フロスちゃんの糸を歯と歯の間に挿入します
  • 歯に沿わせながら上に引き抜きます
  • 3,4回繰り返します
  • まげて使うこともできます

<フッ素ジェル>

6ヶ月から2歳の赤ちゃんにはフッ素ジェルのバナナ味がおすすめです。歯ブラシに3mm程度付け、赤ちゃんの歯に塗り込んでください。他の味のフッ素ジェルよりもフッ素濃度が低いために、安全です。歯医者や通販等で購入可能です。

<キシリトールタブレット>

キシリトールに興味のある方はキシリトールタブレットをお勧めします。赤ちゃんがキシリトールタブレットを食べる時は砕いて、粉状にして、耳かき一杯程度を食べさせるようにしてください。

<バイオプロテクス乳酸菌液 チャイルドヘルス>

乳酸菌を使って赤ちゃんの口の中の環境を整える効果があります。赤ちゃんの口の中の細菌を善玉菌が多くなるようにして、悪玉菌が口の中に住み着きにくくする効果もあります。

☆★☆ 赤ちゃんの歯が生えるまでに家族にやっておいて欲しいこと ☆★☆

<虫歯菌の検査>

虫歯菌の代表格であるミュータンス菌の検査です。口の中のミュータンス菌の割合が多い方は虫歯にかかるリスクが高くなります。ミュータンス菌は一度口の中に定着するとミュータンス菌の割合を変えることが難しい菌です。そのため家族のミュータンス菌の検査を行い、ミュータンス菌の数値が高い場合は赤ちゃんに感染させないように口腔ケアをしっかり行う必要があります。下の写真はミュータンス菌を培養したものです。青くなっている部分全てがミュータンス菌です。

 

<歯周病菌の検査

歯周病菌は細菌の中でも強い菌です。歯周病菌が口の中から体に入り、心臓病や糖尿病を引き起こす可能性も指摘されています。歯周病菌の検査によって歯周病菌の量や活動を確認し、必要であれば歯周病の治療を行います。口の中の歯周病菌数を減らしておけば、赤ちゃんへの感染を減らすことができます。

<虫歯治療>

虫歯には多くの虫歯菌がいます。虫歯を治すことによって、虫歯菌のすみかを減らします。家族の虫歯を治療しておくことは赤ちゃんへ虫歯菌を感染させないために重要なことです。

<口腔ケア>

家族が虫歯予防や歯周病予防などの口腔ケアをすることは赤ちゃんの歯を守る上で大切です。自分の口腔ケアを通じて、歯の大切さや虫歯や歯周病などの予防法などを学び、赤ちゃんの歯に活かせるのです。

 

※ 日本ではフッ素や口腔ケアの重要性が理解され、年々虫歯の数は減少しています。虫歯や歯周病は知識さえあれば防げる病気なのです。