歯医者さんの豆知識:親知らずって早く抜いた方がいいの? | デンタルケア神谷町の独り言 φ(.. ) Deep breathing of dental care Kamiyacho

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2012年7月よりスタートしました当院ブログ!!これからも歯科の豆知識から雑学!!スタッフの小言などジャンルを問わず気まぐれに記載していきますのでどうぞよろしくお願いします(^ ^)/

「虫歯になる」「周辺が腫れる」など、何かとトラブルの話を耳にすることが多い親知らず。身近な人が抜いたという話を聞く度に「早く抜かなきゃ……」と思いつつ、「特に今は痛みも腫れもないし」「痛そうだし」と迷っている人もいるのではないでしょうか!!しかし、親知らずだからといって必ずしも抜かなければならないわけでもありません。知っているようで知らない、親知らずの対処法の本当のところをまとめて紹介していきます。

<<親知らずはなぜ抜くべきだと言われるの?>>

親知らずは正式名称を「第三大臼歯(きゅうし)」といい、奥歯の中で最も後ろに位置する歯です。ほかの歯が6~13歳頃には生え替わるのに対し、10代後半~20代前半とか なり遅い時期に生えてくることから、この名前がつきました。また、生えてこない人もいます。構造上ほかの歯と違うわけではないのですが、その生えて来る場所と生える時期の遅さから次のようなトラブルが起こりやすいため、「不要の歯」扱いされることが多くなっています。

【斜め向きや横向きに生える】

顎の骨が狭く、歯が生えるのに十分なスペースがないことなどが原因で起こります。隣の歯の根の部分を押すような形で生えてしまっている場合、長期的に見ると歯並びにも悪影響を与える可能性があります。

【噛み合わせに参加していない】

斜め向きや横向きに生えたり、上下の歯が生え揃わなかったりすることなどが原因です。噛み合わない歯はどんどん伸 びてしまうので、向かいの歯茎や頬の粘膜を傷つけたり、顎関節症を引き起こしたりすることもあります。

【歯磨きがしにくい】

親知らずに歯茎が覆いかぶさっている、親知らずが斜めに生えているなどが原因で歯磨きがしにくい場合も珍しくありません。十分に磨けないので、虫歯や歯周病になるリスクが高まります。逆に言えば、これらの症状に当てはまらない、真っ直ぐに生えていて歯磨きもしやすく、ほかの歯と同じようにしっかり噛み合っている場合は、抜歯の必要はないと言えるでしょう。邪魔者にされがちな親知らずですが、手前の奥歯が神経を失っている場合や事故や虫歯などでほかの歯を抜かなければならなくなった時、矯正治療により親知らず を手前に移動させる、抜歯跡に移植するなどの方法で活用できることもあります。どんな場合に移動や移植が可能かはケースバイケースなので、興味がある場合は一度歯科医師に相談してみるのがお勧めです。

<<抜く時期によって何が変わるの?>>

先に紹介した3つのどれかに当てはまっている場合は、将来のリスクを減らすことを考えると、親知らずは抜くのが一番良い方法だといえます。しかし、すでに虫歯になってしまっているような場合はともかく、特に症状がないのにわざわざ歯科医院に行くのも面倒くさいし、敢えて痛い思いはしたくないものでしょう。治療はついつい後回しになりがちです。個人の仕事や生活のペースもあるので、抜くタイミングは早ければ早いほど良いとも 一概には言えません。しかし、親知らずを一番抜きやすいのは、生えてきて間もない20歳前後です。また抜歯時の年代が上がることによって、次のようなリスクが発生することは知っておいた方がよいでしょう。

20歳前後で抜くメリット

  • 傷口の回復が早い
  • 骨や歯がまだ硬くないので、抜いたり削ったりするのが簡単
  • 親知らずが原因でほかの部位が虫歯や歯周病になる危険性が低い
  • 親知らずの根がまだできあがっていないので、歯の下に走る神経を傷つける可能性が低い
  • その後の年代に比べ時間があることが多い
 
 
30~40代のリスク
  • 親知らず自身や周囲の歯が虫歯・歯周病になっている恐れがある
  • 傷口の回復が遅い
  • すでに歯の根が張り巡らされ歯自身も硬くなっているので、抜歯に時間がかかる
  • 仕事や子育てなどでまとまった時間を取りにくい
 50代~のリスク
  • 30~40代のリスクに加え、高血圧や糖尿病などの全身疾患を持っている場合、麻酔の使用に制限が出たり抜歯時の出血が止まりにくくなったりする
  • 骨がより硬くなり顎の骨とも密に接触するので、抜歯の難度が増す
<<抜歯にかかる費用や時間はどれぐらい?>>
抜歯にはどれぐらいの費用がかかり、回復するまでの期間はどのくらいなのかなどが分からなければ、抜歯の予定を立 てることもできません。一例を紹介しますので、参考にしてください。
【30代女性】
大学病院で歯茎の中に横向きに埋まっていた下側の親知らず1本を抜歯。翌日の消毒や抜歯などのメインテナンスは紹介元のかかりつけ医院で行った例
  • 費用…約7,000円(診療代、レントゲン代、抜歯代、痛み止め代、抜糸翌日の消毒代、抜糸代などの合計。抜歯代のみでは約4,000円)
  • 抜歯にかかった時間…15分
  • 通院回数…4回(消毒、抜糸込み)
  • 経過…2日目までは痛み止めを服用。以後大きな痛みはなし。1週間ほどで抜糸。歯茎が盛り上がり傷穴が完全に塞がるまでの期間は約2ヶ月~2ヶ月半
親知らずが真っ直ぐに生えている場合の抜歯代は約2,000円、斜めや横向 きに生えていたり、歯茎の中に埋まっていたりする場合は3,000~5,000円が目安です。神経との距離が近すぎるなど通常の抜歯より難度が高く専門の技術が必要な場合は、クリニックでの施術はできなくても、ほとんどの場合口腔外科を持つ大学病院や口腔外科専門医などを紹介してもらえます。まずは一度クリニックで相談してみるとよいでしょう。
 

※1つだけ気を付けたいことは、親知らずなど奥歯の歯磨きは自分で思っているほどできていない場合が多いことです。抜歯すべきかどうか少しでも気になるようなら、一度歯科医院に足を運んでみてください。