☆★☆大人の矯正治療で歯を抜く必要はあるの?☆★☆
歯医者さんで歯列矯正を相談した際に、抜歯をすすめられることがあります。しかし、たとえ必要だと言われても、健康な歯を抜くのは抵抗があるものです。「何とか歯を抜かないで矯正できないか…」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか?もちろん、歯を抜かずに矯正できるならそれに越したことはありませんし、歯医者さんもそう考えています。それでも歯医者さんが抜歯をすすめるのには、やはりそれ相応の理由があります。今回は、大人の歯列矯正に関して抜歯が必要になるのはどんなときか、もし歯を抜かないとどんな問題が起こりうるのか、抜歯する場合は実際にどんな治療が行われるのかなど、抜歯を伴う歯列矯正について詳しく紹介していきます。
☆★☆歯列矯正で抜歯が必要なのはどんなとき?☆★☆
大人の歯列矯正が目指すのは、噛み合わせに問題がなく、健康で、見た目にも美しい歯並びです。逆にいえば、何らかの原因で歯並びが乱れ、健康や見た目に影響が出ている場合に歯列矯正が必要になるわけですが、矯正治療で必ず抜歯が必要かといえば、そういうわけではありません。歯は、上顎と下顎それぞれにある歯槽骨(しそうこつ)というU字型をした骨の中に根っこが埋まった状態で生えています。大人の口の中にある永久歯の数は28本(親知らずまで入れると32本)あり、これらの歯が口の周りの筋肉(口輪筋)と舌筋もバランスは整った状態で歯槽骨の上にきれいに並んでいるのが理想的な歯並びです。しかし、舌筋の発達が乏しくあごの骨の発達が不十分だったり、あごの骨に対して歯が大きすぎたりすると、十分なスペースがないために歯がきれいに並ぶことができず、あっちこっちにはみ出して、でこぼこになってしまいます。これが歯列矯正を必要とする状態です。このでこぼこになって乱れた歯並びをきれいに整えるには、まず歯が並ぶために十分なスペースを用意してあげることが必要です。でこぼこの程度が軽いのであれば、ワイヤー矯正など歯列を整えることで必要なスペースを確保できる場合もありますし、矯正治療でスペースを確保できる場合には抜歯は必要ありません。しかし、歯が大きすぎたりあごが小さすぎたりすると、どうがんばっても歯がきれいに並ぶために必要なスペースを確保できない場合もあります。そういったでこぼこが重度の場合には、スペースを作るための最終手段として抜歯が必要になるのです。


☆★☆抜歯対象に選ばれやすいのは小臼歯☆★☆
矯正治療上抜歯が必要となった場合、実際にどの歯を抜くのが一番良いのかは一人ひとりの口の中の状態によって違うので、「必ずこれ」という決まった答えはありません。歯科医師が患者の口の中を診て、虫歯の有無や治療歴、歯の状態、歯の寿命などを考慮した上で、最も適していると思われる歯を選んで抜くのが普通です。ただし、条件が同じであれば、抜歯の対象に選ばれやすい歯はあります。それが犬歯のすぐ後ろの第1小臼歯(前歯から数えて4番目)とその隣の第2小臼歯(5番目)です。これらの歯が選ばれやすいのは、消去法で「ほかの歯に比べれば重要な役割を担っているわけではない」と考える歯科医師が多いからです。前歯(1番目)は審美的にも優先的に抜歯されることはありませんし、犬歯(3番目)は歯の中で最も根が長く、噛み合わせのバランスを整える働きを担っています。奥の大臼歯(6番目と7番目)には食べ物をすりつぶしたり噛み合わせを安定させたりする働きがあることから、重要視されています。それに対して、小臼歯の2本は根も比較的短く、ほぼ同じ形で同じ役割を担っていると考えられているため、選ばれることが多いのです。ただし、だからといって「小臼歯は抜いても大丈夫な歯」というわけではありません。抜歯にあたっては、やはり信頼できる歯科医師にしっかりと判断してもらうことが大切になります。矯正治療における抜歯は、歯がきれいに並ぶためのスペースを確保する最終手段です。いつでも必要なわけではありませんが、必ずしも抜歯をしないことが良いというわけでもありません。スペースの少ない顎に無理に歯を並べれば、上下の前歯が出た状態で河童の様な状態で歯が並んでしまいます。歯医者さんにすすめられた場合は、すぐに拒絶するのではなく、他の矯正医にセカンドオピニオンを依頼しよく話を聞いた上で選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。

