歯医者さんの豆知識:天然歯と人工歯について考えてみましょう! | デンタルケア神谷町の独り言 φ(.. ) Deep breathing of dental care Kamiyacho

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2012年7月よりスタートしました当院ブログ!!これからも歯科の豆知識から雑学!!スタッフの小言などジャンルを問わず気まぐれに記載していきますのでどうぞよろしくお願いします(^ ^)/

<<インプラント(人工の歯)と天然の歯、何が違う?>>

 
歯科治療の技術は日進月歩。より自然で天然の歯に近い見た目の素材開発も進んでおり、「虫歯になっても削ってかぶせ物をすればほぼ元通り」「万一歯を抜くことになってもインプラント(人工の歯)を入れれば前のように噛める」と安心してしまいがちです。しかし人工の素材で天然の歯とまったく同じ働きをするのは、なかなか難しいもの。「第二の永久歯」とも言われる人工の歯・インプラントは確かに優れた治療法ですが、天然の歯と比べると異なる部分もいくつかあります。その違いについて紹介します。
 

<<インプラントってどんなもの>>

 
インプラントは、ブリッジや入れ歯と並んで歯を失ったときの治療法の1つです。ほかの2つが抜けた箇所の両側の歯を利用して人工の歯や義歯を支えるのに対し、インプラント治療は外科手術によって顎の骨に人工の歯の根を埋め込み、その根に接続することで人工の歯を固定するのが特徴です。
 
保険診療適用外であり歯1本何十万円と治療費が高額であること、外科手術が必要となり糖尿病や骨粗しょう症の場合は治療ができないこと等、デメリット はありますが、ほかの2つの方法に比べて周りの健康な歯に負担をかけないのが第一のメリットです。加えて天然の歯とほぼ同じような外観であり、自分の歯と同じような感覚で硬いものも噛めることから、歯を失ったときの有力な治療法になっています。
 

<<大きな違いは歯根膜の存在の有無>>

とはいえ、インプラントが天然の歯と同じ働きをするかといえば、残念ながらそうではありません。両者は2つの点で大きな違いがあります。
 

1)歯根膜(しこんまく)の存在

天然の歯は顎の骨の中に植わっている状態で生えており、歯と骨の間には歯根膜という薄い膜が存在します。これはいわば、噛み合わせの力をコントロールするためのクッションのようなものです。微妙に歯を 揺らすことで余計な力を逃がすほか、繊細な触覚の違いを感じるセンサーと細菌からの防御層の役目も兼ねています。インプラントにはこの歯根膜がありません。通常のものを噛む分には特に差を感じることはありませんが、噛む力をコントロールする力、小さなものや細いものを感じる力、細菌に対する免疫力などはどうしても天然の歯に劣ります。
 

2)細菌に対する抵抗力が低い

天然の歯の場合は、歯茎内に歯の根っこに対して垂直方向に走る線維があり、歯と歯肉が強く付着しています。しかしインプラントの場合は水平方向に走る線維しかないので、人工の歯と歯肉の付着は天然の歯に比べて弱めです。また血液の供給も天然の歯に比べて少ないので、細菌の侵入に対しての抵抗 力も低くなります。インプラントと人工の歯は虫歯になることはありませんが、細菌などが原因で周りの組織が炎症を起こすことはあります。免疫力が弱いため、いったん炎症が起こると天然の歯より早く進行してしまいます。そのため、普段からメインテナンスをしっかり行うことが大切になるわけです。
 

<<歯を失わないためにできること>>

 
このように、いかにインプラントが優れていても天然の歯が一番であることは間違いありません。では、そもそもインプラントが必要とならない、すなわち歯を失わないためには何に気を付ければいいのでしょうか。日本歯科医師会が提唱し設立した財団「8020推進財団」が2005年に行った調査によると、歯を失う原因の第1位 は歯周病(41.8%)、第2位は虫歯(32.4%)となっています。虫歯は、虫歯菌が出す酸が歯を溶かしてしまうことが原因。また歯周病はプラークの中の細菌により歯の周りの組織に炎症が起きることが原因なので、予防のためにはやはり毎日の歯磨きでプラークや歯垢を取り除くのが第一歩です。加えて、歯ブラシが届かない場所や、どうしても少しずつ溜まってしまう汚れをとるために、定期的に歯科医院でクリーニングを受けるのが最も効果的な方法だと言えるでしょう。もし虫歯や歯周病にかかっても、早期発見に役立ちます。いくら治療技術が進んでも、人工の歯と天然の歯はやはり別物です。かけがえのない自分の歯を守るためにも、日々のブラッシングに加え、定期的にク リーニングやメインテナンスを受けておくのがよいでしょう。