「あなたは歯ブラシをどんなタイミングで交換していますか?」こんな質問をしたら、あなたはどう答えるでしょうか。「毛先が開いてきたら交換」「磨いていて、なんとなく磨きにくくなってきたと感じたら交換」人によって、交換のタイミングはさまざまだと思います。では、質問を「1本の歯ブラシをどれくらいの期間使いますか?」と変えたらどうでしょうか。清潔好きな人は「1週間」と答えるかもしれません。「特に意識していないけれど、ひょっとしたら2~3ヶ月くらい使い続けているかもしれない」と答える人も多いでしょう。しかし、実は「歯ブラシは毎月交換することが望ましい」とされているのです。その理由と根拠について調べてみました。
<<歯ブラシを交換するタイミングは?>>
歯ブラシをはじめとするトイレタリー用品メーカー大手のライオンが2014年に行った調査によれば、歯ブラシを交換する理由として、87.9%の人が「毛先が広がった時」を挙げています。このほかの理由としては「歯ブラシが汚れた時(26.9%)、「汚れ落ちが悪くなったと感じた時(16%)」です。
そして、歯ブラシの平均使用期間は、
60代…46日
50代…48日
40代…49日
30代…57日
20代…71日
10代(16~19歳)…79日
となっています。
60代…46日
50代…48日
40代…49日
30代…57日
20代…71日
10代(16~19歳)…79日
となっています。
若い人のほうがオーラルケアに対する意識も高く情報もじゅうぶん持っているという印象があるのですが、意外にも「10代が最も長期間同じ歯ブラシを使い続け、高齢になるほど交換頻度が高くなる」という驚きの結果です。この調査では男女別のデータは公表されておらず、おそらく若い男性が平均使用期間を大幅に伸ばしているのだと思われるのですが、それにしても、最近の若い男性はオシャレで清潔感を大切にしている人も多いのに、意外な印象を受けました。
<<歯ブラシメーカーだけじゃない。歯科医師も勧める毎月交換>>
日本の主要な歯ブラシメーカーは、「歯ブラシは、たとえ毛先が開いていなくても毎月交換すること 」を提案しています。上の調査を行ったライオンのブランドである「クリニカ」のサイトでも、歯ブラシの交換の目安として、「歯ブラシを裏側から見て、毛が広がって見えたり弾力性が落ちてきたりしたら替え時です。一般的には約1ヶ月を目安に交換してください」と記述されています。また、もうひとつの歯ブラシメーカー大手であるサンスターでは「月に一度の歯ブラシ交換をしてほしい」との願いをこめて、「ツキイチサンスター」という活動を展開しています。「毛先が開いていなくても毎月交換しろ、なんて、歯ブラシをたくさん売りたいメーカーの戦略じゃないの?」という勘ぐりをしたくなるところかもしれません。ところが、「歯ブラシ 交換 1ヶ月」などのキーワードで検索し てみると、歯科医院の公式サイトや歯科医師の公式ブログなどでも、歯ブラシの毎月交換を勧めているケースが多いのです。そして、決定的なのが「テーマパーク8020」。これは日本歯科医師会が提供する歯の総合情報サイトですが、このサイトにも「通常の歯ブラシの交換は、1ヶ月を目安にとして、少なくとも3ヶ月に1回は交換しましょう。特に毛先が開いた歯ブラシは歯垢除去の効率が下がりますので、交換しましょう」とはっきり書かれています。このことからも、やはり歯ブラシは1ヶ月を目安に交換する習慣をつけたほうがよさそうです。
<<歯ブラシを毎月交換するべき理由とは?>>
歯ブラシを毎月交換するべき理由としては、次の3つが挙げられます。
- 毛先が開くから。
ちょっと見ただけでは特に毛先が開いた様子が感じられなくても、毛先をよく見ると少し開いていることがあります。歯の表面についた歯垢は、「バイオフィルム」という丈夫な弾力体に包まれています。これをしっかりかき起こすためには、まっすぐな毛先を垂直に歯の表面にあてて磨くことが大切とされています。1ヶ月も使用し続ければ、どんな歯ブラシでも多少は毛先が開いてしまうものです。だから、目に見えてブラッシングの効果が落ちる前に定期的に交換することが望ましいと言われるのです。 - 弾力(しなり)が衰えるから。
新品の歯ブラシのブラシ部分を指先で軽く押してみると、毛先がツンツンと指先にあたり、指を押し戻す強い弾力が感じられると思います。しかし、1ヶ月も使い続けていると、毛先にかかる力を押し戻す弾力が衰えてくるのが感じられるでしょう。これでは十分に歯垢を落とすことができなくなってきます。また、毛のしなりが衰えると歯のすき間などに毛先が回り込んで汚れを落とす力も衰えるものと思われ、次第に磨きにくくなっていくでしょう。 - 雑菌が繁殖するから。
歯ブラシを使ったあと、当然ブラシの部分には虫歯菌などの雑菌が付着しているはずです。歯ブラシを水洗いして乾燥させることで繁殖を抑えることはできますが、同じ歯ブラシを使い続けるうちにしだいに菌は増えていくものと思われます。これを防ぐためにも、1ヶ月程度を目安に歯ブラシは交換したほうがいいでしょう。
<<歯ブラシを交換する日を決めてみましょう>>
いかがでしょうか。毎月歯ブラシを交換するべき理由がご理解いただけたでしょうか?「でも、毎月なんて面倒くさい!」「いつ1ヶ月経ったのかなんて忘れちゃう!」そういう人も結構多いかもしれませんね。そこでお勧めなのが、① 歯ブラシは数本まとめ買いしておく ② 歯ブラシを交換する日を決めるの2点です。
※ つい買い忘れしてしまいがちな歯ブラシ。交換時期が来て、「今度買っておこう」と思っているうちに数週間が経過してしまうということも考えられます。それを防ぐためには、まとめ買いが一番でしょう。スーパーやコンビニにはいろんなメーカー・形状・硬さの歯ブラシが販売されています。毛先の加工の工夫やヘッドの大きさの工夫など、どんどん進化した歯ブラシが新発売されていますから、それらをいろいろ買ってみて、使い比べてみるのもおもしろいかもしれません。そして、毎月交換の習慣を定着させるためには「月初めに、気分を一新するために交換する」など、歯ブラシを交換する日を固定してしまったほうがいいでしょう。「毎月8日は歯の日」などの語呂合わせで覚えてしまうと忘れにくいのではないでしょうか。