「どうしたの?僕でよかったら聞くよ。」


「その仕事のことなんだけど、お局さん的な先輩がいてね。私は私なりに気を使って接しているのに、何か嫌われてるんだよね……。」


「なんで?嫌われるようなことしたの?」


「う~ん……。しいて言うなら、目立つようなことをしてるから?かもしれない。」


「目立つこと?」


「うん。がんばって業績を上げたから、陰湿なイジメみたいな感じを受けてる。」


「そっか~。業績上げてるなんてすごいね~。でも、イジメを受けるのはイヤだね。どんなことされるの?」


「その人がしてるんだかわからないけど、脅迫まがいな手紙が会社に送られてくるんだ……。」


「たとえば?」


「手紙には、“1人の時は気をつけろ”とか、“調子に乗るな”とか……。他の先輩は、誰かがひがんでるだけだから、気にするなって言ってくれて、でも、そのお局さんが、“もしかしたら何か起きるかもね”だなんて言ってきたから、私は強がって、“こんな手紙問題ないですよ~”って言ったら、気にいらなそうな顔したから関係ある気がするんだ。」


「可能性はあるね。てか、そんな手紙がくるのはやばくない?」


「うん……。本当はすごい怖いんだ……。」



レナちゃんはうつむいて、体が少し震えていた。
僕がレナちゃんの手をとって、



「大丈夫!!レナちゃんがこのウィークリーマンションに住んでる間、ボディーガードになって守ってあげるよ。ちょうど、僕も走ったりしたいと思ってたし、走りに行くときに声かけてよ。」


「えっ……。でも……。」


「だって、家が目の前じゃん。心配すんなって、これでも柔道3ヶ月習ってたんだからさ。」



僕がそういうと、レナちゃんが少し笑って、



「3ヶ月って……。大丈夫なの?でも、ありがとう。レンくんに会えてよかった。」


「もしよかったら、ケータイの番号教えてよ。」


「うん。その代わり、私のこと守ってね。」



僕が大きく頷いた。ケータイ番号とメールアドレスを聞いて、
家に向かって2人で歩き出した。その時にレナちゃんが、



「よかったら、今度、どっか行かない?っていっても、あとここには、12日間しかいなけど……。」


「うん。行こうよ~。そうだな~。明日は土曜日だから、明日と明後日は休みで予定ないよ。基本的に土日は予定なくて、平日は、仕事だから夕方からなら大丈夫だよ。HEYにもあるように、休みは寝すぎちゃうんだ。」


「でも、わかるぅ~。休みは寝すぎちゃうよね~。ちなみに明日は夕方から予定がないんだけど、どう?」


「うん!じゃ~明日に決まり!何しようか~?」


「ん~。何でもいいけど、人ゴミが嫌いだから、静かなところがいいかな~。」


「難しいな~。てか、こういうの馴れてないから、どうすればいいかな……。」



レナちゃんがクスっと笑って、



「それは私のいる前で、言うセリフじゃないよね?」


「そ、そうだよね。」



僕は苦笑いした。そして、レナちゃんが、



「レンくんが、いつも行くようなところでいいよ。」


「そうなると~。居酒屋か、カラオケかな~?」


「両方いこーよ。」


「うん。わかった。明日はじゃ~、家の前に待ち合わせにしようか?」


「そうだね。6時でいい?」


「うん。明日6時ね~。」



マンションの前について、お互いにバイバイと言いながら手を振って帰った。



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