罪と罰
わたくしの職場で、今週ある事件が表沙汰になり、大騒ぎになっています。
それは、管理職男性によるセクシャルハラスメントです。被害者は男性の部下にあたる女性です。
わたくしは、その男性と同じ部署になったことはないので、ほとんど会話を交わしたことはないのですが、以前からよくない噂は耳にしていました。今までは被害者が泣き寝入りしていたようですが、この女性の勇気ある告発によって今回初めて表沙汰になったということです。
男性は、よくて降格、最悪の場合は関連会社への出向…それも片道切符だそうです。
皆さまには、絶対に許せない人間がおありでしょうか?
わたくしにはいます。
わたくしは大学時代、塾でアルバイトをしていました。
そこに講師アルバイトとしてきていたのがS氏です。S氏は兵庫県の私立高校の非常勤講師を昼間やり、夜は塾に来ていました。
S氏は話し好きで、一見社交的な感じの良い人という印象です。しかし、時間が経つにつれてその本性が露わになってきました。
ある日偶然帰りが一緒になったとき、S氏はいつもと変わらない、なにげない様子でこう言いました。
「ホテルに行かない?」
わたくしは、あまりことに絶句したのですが、S氏はそんなことは意に介さず何度も同じ言葉を繰り返します。
わたくしは気味が悪くなり、挨拶もそこそこに近くの店に逃げ込みました。
それからは、できる限りS氏には近付かないようにしていたのですが、ある女子生徒がわたくしに相談があると言ってきました。
S氏のところに質問に行った際、ひどいことをされたと言うのです。
塾には小さな講師控え室があるのですが、他に講師がいないとき一人で質問に行くと、服の中にまで手を入れられ触られたとのことでした。
わたくしは、塾長にその女子生徒のことと、自分が言われたこともすべて話しました。
意外なことに、塾長はS氏の悪い噂をすでに知っていました。その悪い噂は、わたくしが知る事実よりもひどい内容で、実際に他の教え子に淫行を働いた可能性があるとのことです。
しかし、結局S氏に罰が下ることはありませんでした。
塾長が事実関係を調べていることに気付いたのか、S氏は私立高校の教諭として採用が決まったからとのことで、急に塾を辞めたのです。
その上、S氏は被害者の女子生徒たちに口止めまでしていました。女子生徒たちは、S氏によほどひどい脅しの言葉を言われたのか、急に口をつぐんでしまいました。まさに泣き寝入りです。
恐ろしいのは、S氏の就職先は女子高だったのです。わたくしは、絶対にそこでも同じことを繰り返しているに違いないと思います。
罰を受けない限り、S氏は何度でも同じ罪を繰り返していることでしょう。
現在、S氏がどのようになっているのかは知りません。
わたくしはただ、S氏に早く罰が下り、これ以上の被害者を出さないことを祈るばかりです。
帝国ホテルで…(4)
指や舌でやさしく愛撫された後、ようやくK氏とわたくしはひとつになりました。わたくしが知る男性のなかでは、K氏はかなり淡白です。
変わった体位を求められることもないですし、2度以上求められることもほとんどありません。
わたくしたちは非常にノーマルなセックスを終えると、もう一度シャワーを浴び、残りのスパークリングワインを飲みながら話をしました。
めずらしくK氏が、今日は泊まっていかないかと言い出しました。ご家族には、仕事で出張とでも言ってきたのでしょう。
ですが、わたくしは帰ることにしました。
今までの経験で、朝一人ホテルから帰る寂しさを嫌というほど知っているからです。なぜ、朝ホテルを一人で出るとき、あんなにみじめな思いになるのでしょうか…。
そういうとき、わたくしは自分のことを薄汚れた娼婦のように感じてしまいます。
わたくしが断ると、K氏はロビーまで見送りに来てくれました。
いつものように、また連絡するよと微笑みます。
いつまで、この関係は続くのだろう…、わたくしは、街に輝くクリスマスイルミネーションをタクシーの窓越しに眺めながら、ぼんやりと考えました。
帝国ホテルで…(3)
シャワーを浴び終わると、K氏はバスローブのままベッドへ行き、わたくしは、K氏がチェクイン時にルームサービスで頼んだスパークリングワインを、2つのグラスに注いでベッドサイドへと運びます。
グラスを半分ほど空けると、K氏がバスローブを脱ぎました。わたくしもサイドテーブルにグラスを置き、K氏からバスローブを脱がされるのを待ちます。
わたくしは、どうも自分で服を脱ぐということができません。恥ずかしいとかそういうのではなく、女性を脱がせるのは男性の仕事というか、そういう脱がせる行為も立派な前戯のような気がするのです。
それに、脱がせ方によって、その男性の性格もわかるような気がします。
例えば、女性の反応を見ながらか独りよがりか、やさしいか荒々しいか…など、脱がせ方はその後の行為にも通じますし、その男性の女性に対する考え方も反映させると思っています。
K氏はどちらかといえば、やさしくいたわるタイプです。
やさしく脱がされた後、わたくしはまずK氏の体に舌を這わせました。
K氏はスポーツクラブに通っているので、引き締まった体をしています。こういうタイプにありがちなナルシストさを、K氏も持ち合わせているので、自分の体をたっぷり愛撫されることをとても好むのです。
もう3年もの付き合いになるので、K氏の感じやすいところは知りつくしています。
男性にしてはめずらしく、首筋や背中が特に感じるようです。そういうところに舌を這わせると、K氏はたちまち無防備な声をあげます。
普段の自信に満ち溢れた雰囲気とは対照的なその無防備さに、わたくしはいとしさを感じてしまいます。
特に愛しているわけでもないのに、こうやってズルズルと関係を続けてしまっているのは、こういういとしさを感じるからかもしれません。恋愛を超えた魅力を、なにかしらK氏には感じてしまうのです。
K氏がわたくしに飽きたときが別れのときだと思っていますが、そのときのことを考えても別に切なくはなりません。
簡単にその事実を受けいれられる、そんな気がします。
ひととおり愛撫し終えると、今度はK氏が愛撫する側になります。
K氏の行為はとてもやさしいので、正直言ってわたくしは物足りなさを感じてしまうこともあります。
ときには荒々しく扱われたいと思ってしまうのです。
続きはまた明日…
