久しぶりの音楽の鑑賞記です・・

週末の春らしい陽気のなか新百合ヶ丘のハナミズキの香り

漂う昭和音大の敷地内にあるテアトロ・ジーリオ・ショウワ

に、「アルテリッカしんゆり」の開幕を告げる公演の

藤原歌劇団オペラ公演『愛の妙薬』を観てきました。

二日間公演ですがW・キャストのベテラン組のほうです。


今回はただチケットを購入して行くという形ではなく、イン

ターネット放送のOTTAVAの斉藤茂さんとOPERAexpressの

井内美香さんが共演するオペラ紹介番組『VIVA!OPERA』が

主催した優待ご招待に応募したところ抽選で選ばれてという

形での鑑賞になりました。

実に久しぶりのオペラ鑑賞になります。

手術入院などが続いた昨年秋から年末にかけて以降、以前の

ような音楽鑑賞が激減して、一部の例外を除いて殆どホール

に出かけていませんでした。

オペラ公演は昨年夏の杉並オペラ『魔笛』以来だし。ここの

テアトロ・ジーリオ・ショウワは鳥木弥生さんが出演された

『カルメン』以来です。

退院以来時間はあるが体力がない。(笑)最近のむくみ症状で

再び飲んでる利尿剤のせいでトイレが心配だし、結膜下出血

のせいで片側の白目が真っ赤、、。

なぜか大事な時にこの症状が出る。(汗)

しかし折角選んでくれたので頑張って楽しんで来ようと、これ

また久しぶりの小田急線に乗り一路新百合ヶ丘駅を目指す。




オペラ音楽ジャーナリストの井内さんは前から存じ上げている

けど、他の方は初対面の方ばかりなので改札待ち合わせが巧く

行くかと心配していたけど、ほどなく無事に集合されてご挨拶

出来ました。

参加者は私以外は四名とも女性の方々ばかり。

いざ昭和音大を目指して井内さんの翳すプラカードのもと出陣!

なんかデモ隊の一員になった気分。(笑)

冷静沈着に大物音楽家をインタビューしたり講演会の同時通訳

をされている井内さんとは違う新しいキャラを発見した感じ。










藤原歌劇団公演『愛の妙薬』(全二幕 原語上演)

2016年4月23日

テラトロ・ジーリオ・ショウワ

作曲 G・ドニゼッティ

指揮 園田隆一郎

演出 粟國 淳


アディーナ     高橋薫子

ネモリーノ     村上敏明

ドゥルカマーラ   谷 友博

ベルコーレ     月野進

ジャンネッタ    河野めぐみ


藤原歌劇団合唱部 30名

テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラ


久しぶりにここへ来て感じるのはこのホールの見やすさ。

セットバックした座席といい座り心地の良さといい、そして

三階まである音響のいいホール設計です。

かなり深めのオケピなので舞台に集中しやすい。

ややステージの奥行さが狭い感じもするが他のホールに

比べても鑑賞しやすい素敵なホールです。

広いけど席によっては見えにくい新国立などと対比してみる

と、その良さがよく分る。



始まる30分前のホール







入場後はホワイエに集合して井内さんから簡単なレクチャーを。

わざわざ手作りのレポートを持参してくれて作品のポイントを

教えてくれるのは嬉しい。

参加されている方は私を含めて「オペラ入門者」です。

どの公演も解説入りのプログラムは頂くが開演時間までに目を

通すのは実際至難の技です。

こういうサポートはとても有難かった。

日頃より「オペラの裾野をもっと拡げたい・・」との思いがある

彼女にとって最近の企画や活動ぶりはまさにその一点。

最近のインターネットを活用しての活動はそこに集約される

のでしょう。

そうこうしているうちにオケピの方から音が鳴り始めました。

幕が開く時間がやって来ました。

場内はぎっしりに観客で既に一杯になっています。



全二幕各二場の内容になる作品です。

さすがは大手の公演ゆえ美術セットが豪華で素晴らしい。

そして圧倒的に合唱部の方々のきめ細かい演技が楽しい。

時代背景や設定条件を変えての公演が最近はとても多いが、

粟國淳さんの演出は原案にこだわってイタリア・オペラの

醍醐味を常に感じさせてくれる。

私もこういう作りの作品の方が好きだ。

ストーリーは荒唐無稽の内容ではあるけれど、ソロや二重唱

三重唱それに合唱などバリエーションがあって、音楽に引き

込まされる。

前列4列目の中央席なので聴くも観るも最高の位置。

作品の内容からいって後半よりもやや前半は退屈しやすい

ものだけど、今日は合唱部の軽妙な演技が目を引いて

楽しませてくれる。

途中で場の転換の為幕が降りたがその間のインターバルが

長かった感じで、舞台セットのチェンジの為観客は待たされる

感じになる。

こういう経験はあまり無いので、、なるほど間奏曲の必要性て

こういう時の為だったのだなぁと納得する。

ただ半透明のカーテン幕が照明に当たって演技者が浮かび上が

っての演技終了など、余韻が残る感じで効果的ではありました。




粟國 淳さん(演出)


休憩時はしっかりトイレ・タイムを確保して(笑)少しロビー

で寛いでいました。

コーヒーはご法度、、今回は藤原歌劇団の広報のご協力もあり

プログラムもプレゼントされ、最高の席なのにかなり安い料金で

観させて頂いています。

更にドリンクサービスまであるも、、でもここは後が心配なので

私だけ遠慮させて頂きました。(笑)


後半が始まりました。

ドゥルカマーラ役の谷友博さんの声が素晴らしい、そして

響き渡る。

初めて聴く方だけどこの役にピッタリな感じが伝わって来る。

装置も立派で動く汽車(bus?)も現れる。

そして最大の見せ場・聴かせ処のロマンツァの時がきた。

静かにファゴットの独奏が聴こえてきてネモリーノが歌う

「人知れぬ涙」が歌われる。

このオペラでは一番有名な曲で村上敏明さんの歌が続いてゆく。

うん、いい調子だ。

拍手とbravo!の嵐.CDでは感じない感動が滲み寄ってくる。

そして次に続く「受け取って」がこれまた素晴らしい。

高橋薫子さん演じるアディーナが明確にここで決意の変身を

されたのが伝わって来る見事な演唱でした。

いやぁこの一曲を聴くためだけでも足を運んだ甲斐があったと

思えるぐらいの心震わせられる歌でした。


吾輩はオペラ・デビューが「フィガロの結婚」だったせいか

「カルメン」以外はあまり殺人事件やドロドロした内容のオ

ペラよりも、オペレッタやオペラ・ブッファの方が好きです。

平和主義者の性格からしてあっているのかもです。

安倍晋三君とは違うのです。(おっとこれは余計だ~笑)

とっても楽しい時間を過ごさせて貰いました。

やっぱりオペラって素晴らしいですね・・

音楽のある時間、、これも素敵な時間です。

こんな時間を過ごせるのも平和な時代だからこそです。

政治だけでなく事故や事件や自然災害、、、。

この日もカーテンコールの後に総監督に就任された折江忠道氏

が全キャストとともに挨拶をされ、被災者支援の募金を願うと

の言葉と共に観客も含め合唱で締めになりました。

(曲目は吾輩不明で申し訳ありません・・)

わたしもベルコーレ役の月野進さんの募金箱に気持ち分の

思いを入れさせて頂きました。



高橋薫子さん(アディーナ役)


他にも多くの方が募金箱を持ってロビーに並んでおりましたが

狭いエリアの上に阿鼻叫喚のざわめきのなか写真は遠慮して

しまいました、、。

そんな最中私の憧れの君、砂川涼子さんとばったりと。

2年半前の写真のアクシデント(電池切れ!)の件を覚えて

いてくれて、今回は観客として観に来てるだけなのに一つ返事で

カメラの前に立ってくれました。

ありがとうございました。

(トリーミングなどしたかったのですがパソコン音痴で

 やり方が分からなくて、、。)









そんなこんなで久しぶりに楽しい音楽との一時を楽しませて

頂きました。

ロビーの談笑が終えた後には特別に今回の参加者だけで終幕の

ステージに向かい、多くの出演者や関係者の方々と集合記念

写真を撮って下さいました。

今回オペラ・デビューされた4名の参加者方はきっと今後も

オペラに足を運ぶことになるでしょうね。

至れり尽くせりでなんか申し訳ない感じでした。

今回はOTTAVAの斉藤茂さまとOPERAexpressの井内美香さまに

大変お世話になりました。

そして藤原歌劇団の関係者の皆様、とりわけ走り回ってサポート

の労を取って下さった広報担当の女性の方に心からお礼を申し上

げます。


最後は本当に数年ぶりの酒席の場に。

こんな雰囲気の場所に嘗ては年がら年中の日々だったけど、今や

魔界に入り込んだような別世界にいる気分です。

人と逢う、人と話すことばかりの仕事人生だったので酒場やパー

ティ会場やネオン街は棲み家みたいなものだったけど、、。

ただ皆さんお酒を綺麗に飲まれて煙草を吸う方が一人もいなかっ

たのは有難かったです。

勿論私はジンジャーエールでしたがね。(笑)

皆さんと楽しく談笑しながらふと考えた。

一日9種類の19錠を飲んでいる薬の錠剤、、この錠剤の一粒でも

愛の妙薬が入っていればなぁと思っている吾輩を誰も知るべしも

無かったことでしょう。

音楽の街・新百合が丘、素敵な街です~~