「すいません」
「はい」
「この本買ってほしいんですが」
「はい、、、、え~とこちらは著者はどなたでしょうか?書いていないようですが」
「山田光夫です」
「・・・・・・はい」
「僕です」
「・・・・・・・・・」
「いくらになりますか」
「・・・・・・・・・え~と、こちらは日記、ですか?」
「そうです」
「すいません、当店のほうではちょっと日記というのは取り扱いの対象外となってしまうので・・・・・・」
「・・・・・・買ってもらえない?」
「・・・・・・はい」
「ということはこの日記の価値は0円てことですか?」
「・・・・・・いや・・・・それはまた・・・・・お客様ご自身で判断・・・・・」
「店としては0円ってことでしょ」
「・・・・・・・はい」
「どうしてどうしてなんで0円なんですかこんなに学芸会も運動会も初めてのフォークダンスもリンボーダンスもデカダンスもデカメロンもいっぱいいっぱいいっぱい思い出詰まってるのに0円ってどういうことですか!!!!!僕の今までの大切な大切な思い出が詰まってるのに0円だなんてあんまりじゃないですかもうバカバカバカバカとんま間抜け歯抜け!」
「わわわわ、ちょっ、ちょっと待ってください・・・・・・困ったなぁ・・・・・一応当店ではやっぱり日記は取り扱えないので・・・・・」
「中野店ならいけますか」
「いや、中野店でもたぶんダメかと・・・・・・」
「じゃこれは何ですか」
「いやこれは土佐日記ですから・・・・・・」
「土佐日記はよくてボクの日記はダメ!?ボクが土佐生まれだったら良かったんですか?紀貫之はよくてボクはダメ!?なんで!?どうして!?じゃこれはなんですか!!??」
「これも蜻蛉日記ですからねぇ・・・・・・」
「わかりました・・・・・・じゃあこの本は諦めます。代わりにこれを買ってください」
「・・・・・・・これは?」
「日記です」
「またあなたの?」
「いえ、私のマミィのものです」
「これもちょっと・・・・・・」
「どうしてですか藤原道綱母がよくて山田光夫母はダメェ!?あんまりだなんだこれは母差別だふざけるなパンツだプリンだジャムだダメだなんだこれはいいかげんにしろあんまりだバカバカバカバカーーー!!!!」
「もう帰れよ」
「はい」