髪長私学2 ~第4話~ 家庭教師
中学を依願退職した坂本の新しい仕事は、吉岡 結の家庭教師だった。報酬は受け取らず、不登校の女子生徒を救うべく奮闘することにしたのであった。
だが、日々の生活がある。これを機会に学習塾で教えてみよう。独り身であり、家族を養うという切羽詰まった事情もないので、坂本自身はそんなに重く考えてはいなかった。
昼間は吉岡 結の家庭教師、そして夕方からは学習塾で教えればいい。そんな考えでいた。早速明日から無報酬の仕事が始まる。
家庭教師初日、午前9時の約束だったが、少し早く吉岡 結の自宅を訪問した。チャイムを鳴らすと、中から「入って下さい」という声。ドアを開けると、制服姿の結が立っていた。
結 「坂本先生、おはようございます!」
とても初々しい笑顔で出迎えてくれた。
坂本 「おはよう! 自宅なのに、制服姿じゃないか」
結 「はい、だって先生に勉強を教えてもらうんだから、学校と同じようにしたかったの」
坂本の来訪がとても嬉しかった結は、中学で授業を受けているような気持ちで勉強したいと思っていた。
坂本 「勉強は決して楽しいものではないけど、結さんの頑張りに期待しているよ」
坂本の本心からの言葉であった。これも何かの縁だ。この先、どうなっていくか分からないが、結には新しいことを知る喜びを教えてやりたいと思っていた。
結の制服姿は意外だったものの、やはり坂本の目に真っ先に飛び込んで来たのは、長くて美しい黒髪だった。髪先まで全く傷みがなく、艶やかに潤っている。クセがなく、真っすぐ素直に伸びた黒髪は、まるで純粋なハートを持つ結のようであった。
この美しい黒髪超ロングヘアーの少女と身近に接することが、坂本の喜びであり、モチベーションになっていた。
母親は既に仕事に出かけていたので、自宅には結ひとりだけであった。早速、二階の勉強部屋に案内された。
結 「ここが私の部屋です。昨日までに慌てて片付けをしたの。綺麗にしておきなさいって、母にも言われたので」
坂本 「気持ち良く片付いてるね。これなら勉強に集中できそうだ」
そうは言ったものの、自分自身は教えることに集中できるのだろうか? 髪フェチに目覚めたので、どうしても目の前の超ロングヘアーに気持ちを奪われてしまう。
勉強机にスタンバイOKの結。長い黒髪はダウンスタイルで、床に長々と広がる。そんな光景の中、授業を始める坂本。
坂本 「まずは数学からね。学校に行かないので、時間もたっぷりある。だから、結さんの理解力を見ながらどんどん進めていくよ」
結 「はい、先生。こうしてマンツーマンで教えてもらえるのって、すごく恵まれてると思うので、頑張ります!」
坂本 「よし、その気持ちで頑張って行こう。それでは文字式を学習してから方程式に入っていくからな」
結 「はい、先生!」
単元の重要なポイントを説明してから、演習問題を解かせる。そして答え合わせをして、出来なかった問題やミスした箇所をしっかりと理解させながら進めた。
結が問題を解いている間、後ろから見守っているのだが、背中一面を覆いながら、床にまで流れ落ちている漆黒のカーテンが坂本の心を捉えていた。
こんなに長い髪を間近で眺めることなんて、今までなかったことだ。世界中の髪フェチの中で、自分は最も幸せな男かも知れない。そう思いながら、結の美しい黒髪を見つめていた。
結 「先生、この場合はどんなふうに計算したらいいのですか?」
坂本 「・・・」
結 「先生・・・先生?」
超ロングヘアーの美しさに魅了されていた坂本は、結の呼びかけに気づかなかった。
坂本 「あっ、何? どうした?」
結 「先生こそどうしたんですか。呼んでるのに」
坂本 「ああ、ごめんごめん。次の授業の進め方を考えていたところだったんだ」
結 「あっ、そうだったの。あの先生、この計算はどうしたらいいですか?」
坂本は結の横に移動して、テキストの問題を見た。その時、微かに結の髪の香りがした。
坂本 「この場合は分配の法則を使うんだ。カッコがついている文字式の問題は、分配法則を使うこと。カッコの外にある数字とカッコの中にある数字を順番に掛ける」
結 「あっ、そうか。こうするのね」
坂本 「それと、マイナスが付いている項は符号に注意すること!」
結 「はい、分かりました」
そばで教えるのはいいのだが、結のそばに近づくと、微かに髪の香りが坂本の鼻をくすぐる。目の前に上質の長い黒髪、そして微かな甘い香り。全身の血液が泡立つほどの興奮を抑えながら、これからも結との授業を進めていく坂本であった。
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感謝 by Ryuta