銀のうさぎ | あきれカエルの頬かむり

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銀のうさぎ (新日本少年少女の文学 23)/最上 一平
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児童文学です。


こないだ稲を刈る少年の短編(なんじゃそりゃ)を書きました。


作家でごはんってサイトに投稿しまして。


読んでくださった読者様から勧めていただいたのが


最上一平の短編集「銀のうさぎ」。


東北の山村で生きる少年少女の物語です。


なんというか、それぞれがせつなくって、胸が締め付けられるような読後感です。


厳しい冬を耐え、かたい雪の下でじっと春を待ってる、フキノトウみたいな子どもたち。



おもわず泣きそうになってしまったのが、出稼ぎの両親を待つ幼い兄弟の話。


正月には帰ってくるはずだった両親、けれど仕事の都合でどうしても帰れなくなったと


一通の電報が届く。


子供らはどれほどおかあさんを待っていたのだろう。


それまで色んな事を、きっと我慢していたのかもしれない。


厳しい冬。両親のいない生活。大人の事情。


子供は全部、耐えてきた。


なのに。


帰ってくるって言ったのに。


会えるって、言ったのに。


布団の中で、泣きながらお母さんの写真をみる弟。


お兄ちゃんは、自分だって辛いのに、悲しいのに、やりきれないのに


一生懸命弟を慰める。


また来年、今度はきっと、帰ってくるから。


泣くな。


もう泣くな。





ぐあああ~ッもおやばいー!


ツボだよー。


こういうのダメなんだよー。



なんかね、思い出しちゃったのです。


自分の近くに、兄弟がいて。


彼らは大人の事情で児童施設に預けられたのです。


クリスマスには必ず会いに来るからと約束した母。


でも来なかった。


迎えにも来なかった。


ああ、僕らはいらない子なんだって、知った。


以前母親が買ってくれた、超合金ロボを握りしめながら


布団の中で、ふたりで抱き合って泣いたそうです。



もうね、もうね、


子どものやるせない話には涙腺がゆるんじゃって。


年だなーw



「銀のウサギ」も良かったです。


大事に育てたウサギを、大人は


子どもが見ている前で、問答無用で毛皮をとるため絞めてしまう。


家畜はペットではない。


生活に根差した「動物を屠る」という行為。


ラスト、幻想的な雪となって、野山を自由に駆け巡るウサギ。


それには、少女の成長や救いみたいな余韻があるんですね、多分。


自分が書くんだったらきっと、皮を剥いで、毛皮を買っていった男が家を出ていく


シーンで終わっちゃうかも。


絶望しか残らない。


自分には、そこまでの想像力しか、今はまだない。


うーん、勉強になった。



感謝!