- 銀のうさぎ (新日本少年少女の文学 23)/最上 一平
- ¥1,575
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児童文学です。
こないだ稲を刈る少年の短編(なんじゃそりゃ)を書きました。
作家でごはんってサイトに投稿しまして。
読んでくださった読者様から勧めていただいたのが
最上一平の短編集「銀のうさぎ」。
東北の山村で生きる少年少女の物語です。
なんというか、それぞれがせつなくって、胸が締め付けられるような読後感です。
厳しい冬を耐え、かたい雪の下でじっと春を待ってる、フキノトウみたいな子どもたち。
おもわず泣きそうになってしまったのが、出稼ぎの両親を待つ幼い兄弟の話。
正月には帰ってくるはずだった両親、けれど仕事の都合でどうしても帰れなくなったと
一通の電報が届く。
子供らはどれほどおかあさんを待っていたのだろう。
それまで色んな事を、きっと我慢していたのかもしれない。
厳しい冬。両親のいない生活。大人の事情。
子供は全部、耐えてきた。
なのに。
帰ってくるって言ったのに。
会えるって、言ったのに。
布団の中で、泣きながらお母さんの写真をみる弟。
お兄ちゃんは、自分だって辛いのに、悲しいのに、やりきれないのに
一生懸命弟を慰める。
また来年、今度はきっと、帰ってくるから。
泣くな。
もう泣くな。
ぐあああ~ッもおやばいー!
ツボだよー。
こういうのダメなんだよー。
なんかね、思い出しちゃったのです。
自分の近くに、兄弟がいて。
彼らは大人の事情で児童施設に預けられたのです。
クリスマスには必ず会いに来るからと約束した母。
でも来なかった。
迎えにも来なかった。
ああ、僕らはいらない子なんだって、知った。
以前母親が買ってくれた、超合金ロボを握りしめながら
布団の中で、ふたりで抱き合って泣いたそうです。
もうね、もうね、
子どものやるせない話には涙腺がゆるんじゃって。
年だなーw
「銀のウサギ」も良かったです。
大事に育てたウサギを、大人は
子どもが見ている前で、問答無用で毛皮をとるため絞めてしまう。
家畜はペットではない。
生活に根差した「動物を屠る」という行為。
ラスト、幻想的な雪となって、野山を自由に駆け巡るウサギ。
それには、少女の成長や救いみたいな余韻があるんですね、多分。
自分が書くんだったらきっと、皮を剥いで、毛皮を買っていった男が家を出ていく
シーンで終わっちゃうかも。
絶望しか残らない。
自分には、そこまでの想像力しか、今はまだない。
うーん、勉強になった。
感謝!