わるみぽはいつもおもいます。

「どうしたらこんなことができるんだろう??」



「うえぇぇーーーーん!!!」

おとうとのよい君の泣き声です。
縁側の方からきこえてきます。

いつもならその場で「どうしたの~?」
とおおきなこえできいてみるのですが…

なにかが!……今日はいつもとちがうのです。

「!!!」

わるみぽは縁側へ走りました。


「よい君!ど……





ギャーーーーーーーーーーーーーー!!!!」



縁側にちょこんと座るよい君は、血まみれでした。

黄色い服が、オレンジ…赤茶色になっています。

しかも口から泡を吹いています。
顔を真っ赤にして泣いていて、まるでカニのようです。
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「おかあさーん!よい君がたいへん!!はやく来てーーーっ。」


茂夫おじいさんはヒゲ剃り用として
「カミソリ」を箱買いし、縁側に隠していました。

よい君はいつの間にかその箱を開けて
カミソリをばらまき、袋を開けて
自分の首をスルスルと切っていたのです。

そしてもう片方の手には「石けん」を持っていました。
よくみると石けんはかじられています。


急に…なんて事ができるんだ、この子は!byわるみぽ


わるみぽとおかあさんは応急処置をして
おとうさんのかえりを待ちました。


おとうさんが帰ってきたらすぐに!
みんなでよい君を連れて病院に行きました。

さいわい首の無数の切り傷はどれも浅く、大事に至らず。
食べてしまった石けんも、大事に至らず。


「よかったぁ」


みんなの心配をよそに
よい君は綺麗な優しい看護婦さんに囲まれて
もう、すっかりご機嫌です。

元気になったら、病院の設備にも興味深々。

「お水を飲みましょう」
看護婦さんがお水をコップに入れて持ってきてくれました。

よい君はむすっとしたように首を振ります。
「お水飲まないと帰れないよ~」


すると、よい君は静かに注射器を指さしました。

「えっ!?!?……注射器で…飲みたいの??」

「うん!!」

看護婦さんは笑いながら
針の付いていない、一番太い注射器にお水を入れて
よい君に渡しました。

よい君はとっても嬉しそうに「水入り注射器」を受け取って
ベットで寝たまま口に付け、手で水量を調節しながら
美味しそうにお水を飲み始めました。

「おかわり!!」


「すみません……」
おかあさんは頭を下げています。


そこにいる、みんながわらっていました。



わるみぽはいつもおもいます。

「どうしたらこんなことができるんだろう??」