おかあさんが働き出して、わるみぽは幼稚園から帰ると、皆が帰ってくるまで静子おばあさんと過ごす日々となりました。

足の悪い静子おばあさんは毎日明るく同じ歌を大声で歌ったり、「あー、何でこうもゴミはたまるんや?こんなふうにお金が貯まったらええのに」などと言っています。

裏のしげおおばあさんが回覧板を届けにやって来ました。

「大きな声だなぁ……きこえすぎだよ」

「静子さとこのお嫁さんは本当にええ嫁さんやなぁ」「本当ようやってくれる、ええ嫁さんもらった」

「おかあさんのことだ!おしごとはじめても、ちゃんとお家のこともやって、おばあさんはいつもありがとうって言ってる、けど…」

「ほな、ご無礼します~」「ほなほな」

「あーあ、まったくウチの嫁さんは何もせぇへん!!とんでもないのが来たに、あーあ」


更に声は大きく、わざわざきこえるように。
わるみぽはもうガマンができませんでした。

「おばあさん!どっちがほんとうなの??」




わるみぽがもっとちいさかったとき、突然おかあさんが泣きながら外へ走って出ていったことがありました。

「おかあさんは?」
「知らーん」
「??」
「ここら辺りではお嫁さんが来たら、代々その家の梅干しをシソで漬けるのを教えて漬けさせて、嫁やその家を占うんやよ。腐らん梅干しがまれに腐ることがあってな、赤やなくて真っ黒になる。悪い嫁やと手が悪いから腐るんやわ。そんな家は縁起が悪い!ま~大変なことになったわ」


…あれはほんとう??



「はっきり言えばいいのに!こんどおかあさんのかげぐち言ったら、ゆるさないから!わたしのおかあさんをもうわるく言わないで!!」
わるみぽはのどが切れるくらいにさけびました。


わるみぽはおかあさんの帰りを今日もまっています。