巷はクリスマスの装飾一色ですが、今年のクリスマスの準備は万端ですか?
というわけで、今回はクリスマス、特にサンタクロースについてお話したいかと・・・
【サンタクロース】
赤い服とナイトキャップを身にまとい、白い髭をたくわえた福々しい体型の老人で、数頭のトナカイがひく “そり” で空を飛び、クリスマスイブに子ども達にプレゼントを配って回るという伝説上の人物
サンタクロースは何故赤い服を着る?
その前にまず、サンタクロースのモデルになった方がいて・・・
【聖ニコラウス】
3世紀後半から4世紀前半、キリスト教の司教、神学者として活躍した人で、AC343~352頃に他界。死後に「子どもの守護聖人」 「無実の罪に苦しむ人の守護聖人」といわれ、命日の12月6日は「聖ニコラウスの日」という祭日にもなっているそうな
サンタのモデルとなった聖ニコラウス自身、陽気でもなく(笑)、太ってもいなかったそうで、キリスト教が迫害されていた時代に生き、むしろ気が強くて、屈強な人だったそうです
また、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、よくクリスマスイブの晩に、くつ下をつるして寝ると、サンタさんがやってきて、その中にプレゼントを入れてくれるという話がありますよね。それはこの聖ニコラウスの逸話からきているそうです
聖ニコラウスは、AC270年頃、小アジアのリュキュア(現在のトルコ南部)のパタラというところで、裕福な家庭で信仰のあついギリシャ人の両親の一人息子として生まれます
が、その両親をペストで失い、彼らの遺産を神のよろこぶ方法で使おうとキリスト教に入信。修行したのち、そのリュキュアのミラという町の司教となりました
そのミラの町に、三人の娘とその父親が暮らす貧乏な家庭があったそうで、父親は日々生活に追われ、美しい娘たちを結婚させてあげることができず、とうとう生活のために娘たちを身売りに出さなくてはいけないところまで困窮したそうです。その話を聞きつけた聖ニコラウスは、皆が寝静まったある晩にその父親の家へ行き、窓から金貨が入った小袋を暖炉に干してあった娘の靴下の中に投げ入れた。朝起きて金貨を見つけた父親は、神からの助けだと大喜びして、一番上の娘を嫁に出してやることができたそうな
この聖ニコラウスと三人の娘を持つ父親との間の逸話が現在の・・・
・サンタがくつ下にプレゼントを入れる
・金貨型のチョコレートやキャンディーがある
・サンタが煙突から入ってくる
といったことの名残だそうな
さて本題に戻り、サンタクロースは何故赤い服を着ているのかというと・・・
1890年、アメリカのトーマス・ナストというイラストレーターが出版した「トーマス・ナストのクリスマス絵画集」で描かれたサンタクロースが赤い毛皮服を身にまとっていたことからだそうで、それ以前のサンタは色んな毛皮服を身にまとっていたそうな
では何故、赤い服になったのかというと、聖ニコラウスが就いた司教服が本来赤色だったそうで、そこからきたのではないかという説があり、その赤い色の意味が「自らの身を投げ打ってでも、信者たちを守るという覚悟、つまり司教が流す血の色を示す」だそうな(へぇ~)
ちなみに、現在のサンタクロース像はいつ頃できたかというと・・・
1822年、アメリカのニューヨークに住み神学者クレメント・クラーク・ムーアが自分の子どもたちに作ったとされる「聖ニコラウスの訪問」という詩(物語)で
・まるまると太った陽気なおじいさんであること※でもこの時は小人だったそうな(だから帽子はナイトキャップだんたんだ!)
・8頭のトナカイをひく “そり” で空を飛ぶ。名前や “そり” をひく順番もあるそうで、下記の通り
①ダッシャー(Dasher)
②ダンサー(Dancer)
③プランサー(Prancer)
④ヴィクセン(Vixen)
⑤コメット(Comet)
⑥キューピッド(Cupid)
⑦ドンダー(Donder)
⑧ブリッツェン(Blitzen)
余談ですが、あの真っ赤なお鼻のトナカイさんの “ルドルフ(Rudolf)” は、100年後の1939年、アメリカのシカゴに住むロバート(ボブ)・メイが自分の娘に作ったとされる「ルドルフ 赤い鼻のトナカイ」という詩(物語)からだそうで、現在の9頭に至る(?)そうです(へぇ~)
それ他には・・・
・煙突のそばにつるされているくつ下にプレゼントを詰め込む
・家を立ち去った後に「メリークリスマス」と叫ぶ
というイメージが確立されたそうな(へぇ~)
さらに・・・
1943年、コカ・コーラ社が作った「※Wherever I go」というキャッチコピーに現在のサンタクロース像のイラストの広告看板が世界各国に広まり、以降不動のものとなったそうな(へぇ~)
※Wherever I go・・・サンタクロースの「子どものいるところなら、どこへでも出かけるぞ」というモットー(?)を「人のいるところなら、どこへでも売りに行くぞ」というコカ・コーラ社の目標にかけたそうな(笑)
そもそも “聖” とは?
サンタクロースのモデルとされた “聖ニコラウス” につけられている “聖” は、「聖人(聖者)」のことを指すそうで・・・
1.生前の活動の中で “奇跡” を起こす(=神の助けがあった証拠)など、イエス・キリストを模範として生き、生涯を神に委ね、神の意志に従った “徳” と “聖性”を示した人で、カトリック教会や東方正教会等、その存在を肯定する宗派より、公式に「聖人(聖者)」の称号が与えられる
2.但し、その称号は、死後申請が行われることで、当該教会からの厳しい調査が始まり、いくつもの段階を経て、「聖人(聖者)」の要件を満たすと公認(宣言)を受ける
3.「聖人(聖者)」は、崇拝の対象ではなく、イエス・キリストに似た人生を送った「お手本にしたい人」という位置づけだそうな
【カトリック教会における調査段階】
「神の僕」 ⇒ 「尊者」 ⇒ 「福者」 ⇒ 「聖人(聖者)」
「神の僕(しもべ)」・・・ローマ教皇庁の列聖省という組織により、「聖人(聖者)」に申請された人の調査(列聖/れっせい)を開始されると、先ずその人は「神の僕」と呼ばれるそうな(へぇ~)
「尊者(そんじゃ)」・・・調査により、申請された人の生涯が英雄的、福音的な生き方であったことを公認できた時に「尊者」と呼ばれるそうな(へぇ~×2)
「福者(ふくしゃ)」・・・申請された人の死後、さらなる調査(列福/れっぷく)が行われ、徳のある行為、または殉教によりその生涯が聖性に特徴づけられたものであると確認できた時に「福者」と呼ばれるそうな(へぇ~×3)
「聖人(聖者)」・・・上記の厳しい調査を経て、当該教会より「聖人(聖者)」に公認されると、世界中の教会で、この「聖人(聖者)」の日(その人の命日)を祝うことになるそうな(へぇ~×4)
参考URL: 聖人カレンダー より(ありがとうございます)
ちなみに、「聖人(聖者)」に公認された方の数は、宗派によって違い、特にカトリック教会においては、過去「聖人(聖者)」とされていたが、その実在性に疑問符がつくなどして、削除された人も多く、正確な人数はわからないそうな(驚)
また、カトリック教会における日本人の「聖人(聖者)」は、1597年豊臣秀吉の命令によって長崎で磔の刑に処された「二十六聖人」中20名の他、多数いらっしゃるそうです(へぇ~×5)
参考URL:
日本のキリシタン一覧 - 日本に関連する聖人・福者 - わかりやすく解説 Weblio辞書
より(ありがとうございます)
「聖(聖人・聖者)」は各国語で
サン(San)/サオ(Sao)/サンタ(Santa)/サンクト(Sancto)・・・ラテン系言語(フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル語等)
※サンタクロース/Santa Claus
セイント/セント(Saint/St.)・・・英語
ザンクト(Sankt)・・・ドイツ語
等と綴られ、これらで始まる地名は概ね※守護聖人の名が使われているそうな
守護聖人とは?
キリスト教の伝統的な信仰の一つで、特定の職業や国・地域等にゆかりのある聖人、もしくは天使が、それらを守っているという思想のこと
カトリック教会における守護聖人
1.職業
・ 教皇・漁師その他・・・“聖ペトロ(ペテロ)” でイエス・キリスト筆頭の弟子であり、初代ローマ教皇。当初、彼の職業が “漁師” だったため、その守護聖人に
バチカンにある “サンピエトロ大聖堂(英語表記: San Pietro Cathedral)” やロシアの古都 “※サンクトペテロブルグ(英語表記: St.Petersburg)” は彼の聖人名がつく
※サンクトペテロブルグ・・・初代ロシア皇帝、ピョートル大帝にも因んでいる(つまりピョートルという名は、ペトロに因んで名付けられたのだ)
・ 大工・父親その他・・・“聖ヨセフ(ヨゼフ)” で、イエス・キリストの養父。
彼の職業が “大工” であり、転じて、建設業・エンジニア等労働者の守護聖人でもある。
カナダにある “セントジョセフ島(英語表記: St.Joseph Island)” は、彼の聖人名がつく
2.国・地域
アイルランド(イギリス)・・・聖パトリック(5世紀にアイルランドで初めてキリスト教を広めた司教)
イングランド(イギリス)・・・聖ジョージ(古代ローマ末期の殉教者でドラゴン退治の伝説で有名)
ウエールズ(イギリス)・・・聖デビッド(6世紀地元ウエールズ出身の聖職者)
スコットランド(イギリス)・・・聖アンドリュー(新約聖書に登場するイエス・キリストの十二使徒の一人で、X型の十字架で処刑される。スコットランド旗のX十字はここからきているそうな)
イタリア・・・シエナの聖カタリナ(14世紀ドミニコ会の修道女であり、イタリア文学とカトリック教会に多大な影響を与えた)
ドイツ・・・聖ボニファティウス(8世紀にフランク王国にキリスト教を伝えた宣教師であり殉教者)
フランス・・・聖ジャンヌ・ダルク(15世紀フランス王国の女性軍人)/パリの聖ディオニシス(3世紀のパリの司教)
スペイン・・・聖ヤコブ(詳細下記参照)/シチリアの聖アガタ(3世紀地元シチリアで殉教。
乳がん患者の守護聖人、カトリック教会のミサで名前が読み上げられる七人の聖女の一人として有名)
アメリカ、カナダ、メキシコ、オーストラリア・・・ナザレの聖ヨセフ(イエス・キリストの養父)
ちなみに、日本はあの有名な “聖フランシスコ・ザビエル” と “聖母マリア” だそうな(へぇ~)
3.聖人(聖者)の名前がつく地名
・ サンフランシスコ(San Francisco)・・・アメリカ西海岸にあるカルフォルニア州北部にある
都市。 “聖フランシスコ(フランチェスコ)” のことで、イタリア(国) の守護聖人でもある
13世紀初頭、母国イタリアで、清貧と奉仕の暮らしを実践し、フランシスコ会を立ち上げた修道士としても有名
1767年当時、サンフランシスコはスペイン領で、それまで宣教していたイエズス会が追放、代わってフランシスコ会が入植し、 “サンフランシスコ” と命名されたそうな (へぇ~)
・ セントルイス(St.Louis)・・・アメリカ中西部にあるミズーリ州東部にある都市。13世紀のフランス王 “ルイ9世” のことで、キリスト教に敬虔で、二度の十字軍決行等の奉仕活動を積極的に行ったそうな。最初のヨーロッパ系移民にフランス人が多かったため、セントルイスと命名されたそうな(へぇ~×2)
・ サンパウロ(São Paulo)・・・ブラジル南東部にあるサンパウロ州々都。 “聖パウロ” のことで、イエス・キリストの使徒であり、新約聖書の著者でもある1554年、ポルトガル王ジョアン3世より派遣されたイエズス会により創設された宣教村で、その後人口が増大、1565年に “サンパウロ市” が誕生したそうな(へぇ~×3)
・ サンティアゴ(Santiago)・・・チリ中央部に位置し、チリの首都でもある。 “聖ヤコブ” のこと
で、新約聖書に出てくるイエス・キリストの使徒の一人で、使徒ヨハネの兄弟であり、使徒の中で最初の殉教者とされる(へぇ~×4)
1541年、スペインの探検家(征服者)ペドロ・デ・バルディビアによって建設されたそうな
ブラジル他中南米に同名の都市があり、アメリカのカルフォルニア州南部の都市、サンディエゴ(San Diego)も同様※アメリカのカリフォルニア州に「サン」「サンタ」等の地名が多いのは、その昔カトリックの聖職者達が開拓した名残だそうですね~
・ サンノゼ(スペイン語で聖ヨセフ)
・ サンアントニオ(現地に入植したスペイン宣教師の名前)
・ サンマテオ(スペイン語で聖マタイ)
・ サンタクララ(スペイン語で聖クララ)
・ サンタクルーズ(スペイン語で聖なる十字架の意※聖人名じゃないんだ!)
・ サンタモニカ(スペイン語で聖モニカ)
・ サンタバーバラ(スペイン語で聖バルバラ)
名曲「サンタがまちにやってくる」と「聖者が街にやってくる/聖者の行進」
サンタクロースの “サンタ” の意味が、“聖人(聖者)” となると、この二つの曲の歌詞は似た内容なのかというと・・・
「サンタがまちにやってくる(Santa Claus is coming to town)」
1934年11月、アメリカのラジオ番組で初めてこの曲が放送され、40万部以上の売り上げとなる。また、有名歌手によるカバーで、ビルボードクリスマスチャート1位を獲得するなど、2012年12月にイギリスBBCの番組で、音楽著作権で史上最も稼いだ曲の第7位にもなったそうな(へぇ~)
【日本語訳】
気を付けておいてね
泣くのはダメよ
ふくれっつらもダメよ
なぜかって?
それはサンタが街にやって来るからよ
サンタはリストを作って
2回もチェックしてるよ
誰が良い子で悪い子かって
サンタが街にやって来るよ
あなたが寝てる間もサンタは見てる
あなたが起きてる時も知っている
良い子か悪い子かみんな知っているよ
だから良い子にしておいてね
気を付けておいてね
泣くのはダメよ
ふくれっつらもダメよ
なぜかって?
それはサンタが街にやって来るからよ
「聖者が街にやってくる/聖者の行進(When The Saints Go Marching In)」
アメリカのニューオリンズ(州)に起源を持つディキシーランドジャズの名曲で、かつ地元出身のジャズトランペット奏者である“ルイ・アームストロング”による演奏と歌で有名ですが、元々は黒人霊歌を起源とするゴスペルだそうですね
黒人達が多く住んでいたニューオリンズの町では、人が亡くなると葬儀場から墓地までは侘びしく、厳かな葬送曲の演奏や賛美歌を合唱し、死者の埋葬が終わると、一転明るく活気のある曲を演奏、合唱し、帰路につく。「ジャズ葬儀」というそうで、墓地に向かうまでの曲は、故人を悼むためのものであるのに対し、埋葬が終わり帰路につくまでの明るい曲は、聖者(聖人)となった故人の魂が解放されて天国へ行くことを祝う意味が込められているそうです。この曲はまさにその時に演奏された曲だそうです
【日本語訳】
ああ、聖者達が街を行進していく
ああ、聖者達が街を行進していく
神よ、私もあの列に加わりたい
聖者達が街を行進していく
皆さんのクリスマスの日にも“聖者(サンタ)”がやってきますように!
カバー&挿絵画像:いらすとや さんより(いつもありがとうございます)