もうすぐお盆(休み)ですね~!

暑い日がつづきますね!今回は、以前ブライダルのお仕事(ウェディングプランナー)に就いていた時に調べた “お盆” に関する内容を中心にお話いたします!m(_ _)m

 

私がウェデングプランナーだった時代、お盆=※弔事というイメージが強くあり

今も若干残ってはいますが、その時期に結婚式(慶事)を行うのは不謹慎、かつ縁起も悪いと忌避され、我々式場側も新郎新婦との招待状作成の打ち合わせにおいて、その時期を回避し、前後の吉日に送るという案内をしていました

※だいたい10月中旬に挙式をされる方が、2ヶ月前のちょうどお盆のシーズンに送付。1ヶ月前に返信締切日をもうけ、参列者の人数を集計、料理・引出物等の手配の打ち合わせをおこないます

 

※弔事(ちょうじ)・・・葬儀などのお悔やみ事を指す。告別式の前夜に行う通夜、告別式、火葬を含めて葬儀という。一般的には、故人の逝去から葬儀、初七日または四十九日法要までが弔事に含まれる

そもそもお盆とは?

先祖等既に亡くなっている近親者の精霊をこの世に迎え、供養する行事のこと

お盆の由来は?

諸説あるそうで、仏教経典の一つ「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」、古代インド・アーリア語に属する言語のサンスクリット語の「ウラバンナ(逆さ吊り)」が起源という説が最有力とされている※なにゆえ「逆さ吊り」?

 

釈迦(しゃか)の弟子である目連(もくれん)が、亡くなった母親が地獄で飢えに苦しみ、「逆さ吊り」にされたような苦しみを味わっていることを知った。それは生前、自分達だけの幸せを祈り、他者に施しをしてこなかった報いだそうな※私も含め、世間一般的に皆「逆さ吊り」になるんじゃないかな?(苦笑)

 

そこで目連は、母親を救済するために釈迦に助けを求めると、「夏の修行が終わる7月15日に、供物を捧げて飢えた心を満たしてあげなさい」とのこと。彼の助言通りに行動した結果、母親の魂は救済され、無事極楽浄土に行くことができたという話から、「精霊を供養する」「親や先祖の魂に感謝する」等のお盆の行事が旧暦の7月15日に定着したそうな

新盆と旧盆とは?

「本来、お盆は旧暦(太陰太陽暦)の7月15日である」

そう、現在の新暦(太陽暦)でいう8月15日頃にあたるのです

 

新盆

1.現在の新暦である7月15日に行われるお盆のこと。「新のお盆」ともいう

2.故人が亡くなって(※忌明けして)、初めてのお盆(初盆)を指すこともある

忌明け・・・遺族が喪に服す期間を終えること。仏教では四十九日の法要を行う

 

旧盆

1.旧暦の7月15日(現在の8月15日頃)に行われるお盆のこと。「月遅れの盆」「8月盆」ともいう

2.新暦と旧暦の違いがあるため、正確には毎年日付が変わるそうな(だいたい8月上旬から9月上旬)

※旧暦のお盆で有名なのは、沖縄・奄美地方のお盆。最終日のお見送り(ウークイ)にあわせて、祖先の霊を供養する「エイサー」が有名

 

 

 

なぜ、新盆(7月盆)と旧盆(8月盆)が共存するのか?

・元来、農業国家である日本は、農作業のスケジュールを中心に年中行事が動いているといっても過言ではなく、明治時代の改歴(新暦)により、日本の各行事は約30日遅れることとなる

・従って、本来お盆が行われる7月15日が、旧暦の6月15日頃と農繁期にあたるため、全国の農村部では現在(新暦)の8月15日(旧暦の7月15日頃)に行うようになったそうな

 

世間一般的に、“お盆休み”といわれる期間は、8月13日~16日の4日間ですが、何故その期間なのか?が次のお盆の流れ(スケジュール)でわかります

お盆の流れ(スケジュール)

1.七日盆(なぬかぼん)・盆初め(7日~)・・・お盆行事初めの日。旧暦の7月7日(現在は8月7日)に始まることからそう呼ばれる

※「仙台七夕まつり」が毎年8月6~8日に行われるのは旧暦の7月7日に起因する

 

 

 

 

お盆(迎え盆・盆の入り)前にすること

※寺院(菩提寺・檀那寺等)への依頼

お墓の掃除(墓薙ぎ)

・その昔は、井戸替え(池替盆)、食器や仏壇仏具の手入れ掃除(磨き盆)、女性の洗髪が行われた

※精霊棚などお飾りの用意

の用意を行うのが一般的だそうな

 

※菩提寺(ぼだいじ)

先祖代々、死後の冥福を祈ってもらうお寺のこと

②「菩提(ぼだい)」とは、サンスクリット語で「さとり」「めざめ」という意味がある

③元々菩提寺は「近しい肉親がお釈迦様のようにさとりを得て、目覚めるように」という願いを込めて建てられたお寺のことを指していたが、現在は先祖代々のお墓があり、葬儀や法要を執り行う場所を指すようにつかわれているそうな

 

※檀那寺(だんなでら)

菩提寺とほぼ同じだが、その寺院にお布施等様々な活動を支え、自身が※檀家であるお寺のことを指す

 

※檀家(だんか)

その寺に属し、お布施をして寺の財政を助ける家のこと

 

※精霊棚

お盆の際に仏壇の前に飾られる特別な棚のこと

②地域・風習にもより、お供え物として、キュウリの馬、ナスの牛で作る「精霊馬」「精霊牛」や、ほおずきを飾るのが有名

 

2.迎え盆・盆の入り(13日)

・一般的に家族そろってお墓参りに行く

「迎え火」として、家の前で火を焚いたり、提灯に火を灯したりする

 

3.盆中日(15日)

家族・親族が集まり、ご先祖様を供養する

・僧侶に読経をお願いする家もある

 

4.送り盆(16日)

ご先祖様を送るために「送り火」を焚き、精霊棚を片付ける※「迎え火」や「送り火」には古来、清浄とされているおがら(麻の茎)ほうろく(素焼き)の皿に入れて燃やすそうな

・「送り火」で有名な地域行事として、「京都の五山送り火」や「長崎の精霊流し」「盛岡の灯篭流し」などがある

 

 

 

夏の“風物詩”といっても過言ではない、「花火(大会)」と「盆踊り(夏祭り)」

実はこれらのイベントも“お盆”と深い関わり合いがあるのをご存知でしたか?

お盆と関係の深いイベント

1.花火大会

・日本で初めて行われた花火大会は、江戸時代の享保18(1733)年に始まった「両国川開き花火(現在の隅田川花火大会)」だといわれている

・元々“川開き”のためのイベントだったが、前年に大飢饉とコレラの流行があり、約100万人近い人々が亡くなり、時の将軍、テレビ時代劇「暴れん坊将軍」で有名な、八代将軍徳川吉宗が慰霊と悪病等を鎮める※施餓鬼(せがき)のために祭を行い、花火を打ち上げたのが始まりだそうな

※施餓鬼(せがき)

生前の悪行などにより、餓鬼となった霊魂や無縁仏など供養されない死者に施しを行う法会のこと

 

・その後、各地でお盆の後に花火大会が増えていったのも、「送り火」「精霊火」の風習と「花火」をつなげたのだといわれている

2.お祭り(盆踊り)

・元々「」とは、「神にいけにえを供えて祈り、慰霊を行う儀式」、つまり「祭祀(神道の儀式)」である※仏事(仏教行事)ではないのだ!

・四季のある日本では、「祭」の目的が異なるとされ

春・・・季節の始まりであり、田植えの時期である。「無病息災」「豊作祈願」等が祈願される「祭」が行われる

夏・・・台風や害虫の発生、疫病の流行、お盆の時期であり、「風除け」「虫送り」「疫病退散」「厄除け」「祖先を祀る」「鎮魂」等を祈願する「祭」が行われる

※「疫病退散」「厄除け」で有名な「祭」として、京都の「祇園祭」がある

 

 

秋・・・収穫に対する「感謝祭」、伊勢神宮の「新嘗祭(にいなめさい)」に代表される「祭(祭祀/さいし)」が行われる

冬・・・収穫を終えた農閑期の時期。田の神をねぎらい、新年を迎えるための「新春祝い」に関する「祭」が行われる

・夏祭りに踊る「盆踊り」は、本来お盆に帰って来る先祖の霊を迎える「鎮魂」の儀式で、文献に最初に登場するのは室町時代で、「念仏踊り」がお盆と結びつき、「盆踊り」が定着したそうな

※「鎮魂」で有名な「祭」として、徳島の「阿波おどり」がある

 

 

 

参考URL:夏休みイベント・おでかけガイド2024(Walker plus より(ありがとうございます)

 

 

神道にもお盆はある!?

・神道のお盆は、ご先祖様の御霊(みたま)が家に戻って来るための「先祖供養」や「先祖崇拝」だけなく、一年間不幸がなかったこと、そして祖父母、父母の長寿と健康を祝う行事でもある

・基本祝い事であるため、別名「めでたい盆」とも呼ばれているそうな

・また、「生き盆」「生き御霊(みたま)」とも呼ばれ、親族が一同に集まり、お盆を迎えるのが一般的とされる

・お盆の流れ(スケジュール)は、ほぼ仏式と同じだが

七日盆には神道らしく、禊(水浴び)を行う

「迎え火」「送り火」は元々神道が始まりとされているそうな

③お墓、神棚に供える物も神道らしく・・・

・水・お神酒・塩・米・海の物(魚・昆布)・山の物(川魚・果物・野菜)等※仏教と違って生ものOKなんです

・生花ではなく、

線香はあげない

・二拝二拍手一拝 etc

お盆の正体

以上、調べてみると、色んなことがわかり、特に “お盆” は厳密にいうと “弔事(葬事)” ではなく、“※祭事(祭祀)” であり、それ以外にも・・・

①仏事(仏教行事)だと思っていたが、神事(神道行事)にもあり、神事は祝い事でもあった

②本来、(原始)仏教の教えには“霊” という存在はないそうで、日本に仏教が伝わる(六世紀)以前からある神道における「怨霊思想」が根強くあり、時の為政者(天皇)が外来宗教である仏教に「怨霊鎮魂」を託してから、神道と仏教の調和(神仏習合)の影響がこの“お盆”にも多少なりともあるそうな

③“お盆”の時期が地域によって、7月や8月にあるのは、日本の年中行事のほとんどが、古来より農作業のスケジュールに合わせて、行われていること※まさしく“祭事”!

祭事(祭祀)・・・神や祖先をまつること。まつり

 

何故そこまで調べる必要があったかというと、私が従事した当時のブライダル業界の7、8月は今よりも極端な閑散期であり、その時期に結婚式をするということは・・・

①一年で一番暑い時期であり、新郎新婦本人は勿論、親族、来賓客は暑さ対策を強いられる

②“お盆休み” 等の長期夏季休暇があり、帰省する予定の親族、来賓客に迷惑を掛ける可能性が高い

③“お盆”自体、“弔事” と思われている方が大半で、そんな時期に “慶事” を行うことは不謹慎だと思われている

 

といわれてました

 

理由①②は理解できるとしても、③の理由が今一つわからなかったので、よくよく調べてみると、厳密には“お盆”は“弔事”ではないことがわかり、そのことを希望された新郎新婦やそれを心配する親族に伝えることによって、その時期に式を挙げる方、招待される方へ少しでも納得いただける説明をしたかった・・・という思いもありました※実際に披露宴の余興で、“河内音頭(盆踊り)” “阿波踊り” “エイサー” を興じられた招待客もいましたもんね~(笑)

形骸化する日本の年中行事

昔から外国の友人に、「日本人は、自分の国の年中行事の意味も理解しないで過ごす人が多い!」とよくいわれました(恥)

特に彼らにとって信じられないのは、宗教の混在。自宅には仏壇(仏教)もあるが、神棚(神道)もあり、また12月になれば、クリスマスツリー(キリスト教)を飾る・・・汗

一神教(ユダヤ・イスラム・キリスト教)を信じる彼らにとって、あるまじき行為だと思いますm(__)m

 

が、これも悪気があることではなく、古来より“神道”は多神教、よく“八百万(やおよろず)の神”といいますが、「日本にいるたくさんの神様達も、仏様、その他海外の神様達も等しく尊い。その時々でいい神様を拝めば良いのでは?」という感覚が今も日本人の中に根強くあるんですよね~m(__)m

 

とはいいながらも、自分の国の年中行事本来の意味を理解することは、非常に大事なことだと思います(海外の人に説明できないほど恥ずかしいものはありませんものね)

 

今年の “お盆(花火大会も夏祭りも含めて)” の過ごし方、その意味も噛み締めて、楽しまれてはいかがでしょうか?

 

挿絵&カバー画像: いらすとや さんより(ありがとうございます)