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中絶の記録

30歳バツイチ子ナシ独身女。不倫中の彼との間にできた子どもの中絶の記録。

街まで離れていたので、着いた頃にはもう夕方だった。

 

夕食はショッピングモールの中にある洋食屋でとることにした。

私はあまりお腹が空いていなかったので、

小さなドリアと、なんだか甘いものを口にしたくてクリームソーダを頼んだ。

 

気持ちは落ち着いていたが、思い出すとやはり泣きそうになるので

とりとめのない話だけにした。

 

彼と会うときはいつも決まったホテルに行っていた。

悲劇の始まりの場所でもあるそのホテルに行くのは二人とも乗り気ではなかったが

今日は知らないホテルに行って、もしハズレだと余計に気分が悪いと思い

結局いつものそのホテルに向かった。

 

しかし金曜日の夜は客が多いのか、満室のため入れず。

仕方なく周辺を車でうろうろしていると

キレイそうなホテルを見つけたので、「もうここでいっか。」と入った。

 

車が少なかったので人気がないのかと思ったが、

部屋もキレイでサービスも充実しており、アタリだった。

 

部屋に入ってすぐ彼に先にシャワーを浴びてもらい、

私はあとから浴室でタオルを濡らして絞りながら身体を拭いた。

手術後は感染症が一番怖いため、イスにも座らないようにした。

頭だけは、あそこが濡れないようにシャワーで洗った。

 

今日のうちに薬を3回分飲まないといけないらしく、

昼食後と夕食後、夕食後からまた4時間空けて飲む必要があったので

まだもう少し起きていなければならなかった。

 

ソファで、彼に背中でもたれかかれながら、今日のことを思い返す。

昼間に思いっきり泣いたのでもうあんなに泣くことはないと思っていたが、

再びどうしようもないほどの悲しみに襲われ、また声をあげて泣いた。

 

顔は見てないが、鼻をすする音が聞こえたので彼もたぶん一緒に泣いていた。

泣きながら、私の頭をなでたり、頬に流れた涙をぬぐってくれたりした。

 

落ち着いてから、軽くヨーグルトを食べて薬を飲んだ。

 

彼は前日の夜中から車を走らせており疲れていたのだろう、

私が薬を飲んでいる間にベッドに入っていた。

私がベッドに入った時に彼がちょっと身をよじらせたが、すぐ寝てしまった。

 

私も彼に背を向けて横になり、そのまま眠りに落ちた。