手術を終えた翌朝。
今日もまた、すべて夢であってほしい、と思いながら目覚める。
今日は友人の結婚式のため、
駅まで行って8時過ぎの高速バスに乗らなければならない。
正直、結婚式に参加するような気分ではなかったが、
学生時代の大切な友人だったため欠席せずに行くことにしていた。
ホテルを出て、彼に駅まで送ってもらう。
これから彼はまた何時間もかけて他県の家へと帰るのだろう。
本当はまだしばらく一緒にいたかったが、
彼の車が見えなくなるまで見送ったあと、高速バスへ乗り込んだ。
その後、この土日は平静を装いながら、友人たちと過ごした。
皆に祝福され、幸せいっぱいの新郎新婦。
子どもが生まれたんだ、と嬉しそうに写真を見せてくる男友だち。
来月出産予定だという女友だち。
幸せそうな彼らを感じる度に、
なんで自分はこうなれないんだろう、と心の奥でぼやいた。
なんで自分は普通の道を歩けないんだろう。
なんで自分はこんなことになってしまったんだろう。
どこで道を間違えてしまったんだろう。
自分は人間として欠陥品だ、と思った。
自分が足りない人間だから、元旦那と離婚することになってしまった。
自分が目先の快楽に溺れたせいで、彼と不倫なんかしてしまった。
自分のことばかり考えているから、子どもを殺してしまった。
自分はいつからこんな人間になってしまったんだろう。
日曜日、帰りのバスの中で、いろんな事が頭をめぐった。
そういえば、この土日の間に、姉が甥と姪を連れて家に帰省している。
明日、姉にどんな顔で会おう。
何か聞いてくるだろうか。
親の前では聞いてこないだろうけど…。
その日は夜遅くに家に帰ったので、まだ小さい甥と姪を起こさないように
お風呂に入り、身も心も疲れ切った状態で眠りについた。