スマホ一台、もしくはデジカメ一台で

3-D写真(立体視写真)を

簡単に撮影する方法を

記事にして纏めました。

 

ここからは

立体視〇〇とは何かを

少し掘り下げて行きたいと

思っています。

 

立体視写真に必要なのは

立体感のある写真を撮る事。

 

この一言に尽きます。

 

立体感のある写真を撮るには

立体的に見える角度から撮る事。

 

こういう話しになります。

 

でもこれって実は

案外難しい。

 

立体的に見えるって事は

そういう風に見える位置が

存在するって事で

或る意味限定される。

撮影した全ての写真が

撮影者の望むレベル

立体感を

再現出来ている訳では

無いんです。

 

これが

立体視の弱点でも有ります。

 

何の為に立体視写真を

撮るのかって言う

そういう問題でも有りますから。

走査型電子顕微鏡写真『花粉』

走査型電子顕微鏡写真『赤血球・白血球・血小板』

 

走査型電子顕微鏡写真を

科学雑誌で初めて見た時

もう普通の顕微鏡写真では

物足りなくなってしまいました。

 

理由は簡単。

リアルだから。

スギ花粉の顕微鏡写真

 

写真と言うのは

リアルさが説得力を持つ。

勿論用途によっては

普通の顕微鏡写真にも

十分に利用価値は有りますし

透過型でしか見れない世界も有る。

 

でも素人が見るのには

プレバラ―ト上の二次元よりも

立体的な三次元の方が

分かりやすくて迫力が有る。

 

そういうモノなんです。

 

立体的に見える事に

現実感を感じる。

 

立体視写真も同じなんです

臨場感と言うのは

実はそこにしか生み出されません。


だからこそ、立体視写真なんです。

そこが原点なんです。

 

立体的にモノを見せるのに

立体視写真は

左右の視差を使う事は

昔も今も変わっていませんが

平行視が昔からの主流でしたので

それが現在でも

主流視されています。

 

でも、自分は平行視が出来ません。

多分同様に

交差視が出来ない人もいるだろうと

思います。

 

ここが一つの鬼門でした。

ステレオ・ビューワー

 

平行視をするのに便利なのは

ステレオビューワーなのですが

これは小さい写真でしか

対応出来ませんし

立体視の大画面化は

有る意味宿願でした。

シングル・イメージ・ステレオグラム

 

シングル・イメージ・ステレオグラムの本

『マジック・アイ』のブームによって

交差視に抵抗が無くなってきた分

3-D写真はその大画面化に

ハードルは低くなってきたのですが

そこに彗星の如く出て来たのが

遠山式立体視(アナグリフ)です。

 

それによって

色んな企画グラビアや本が

展開されていました、が

現在では見る影も有りません。

アナグリフ

 

理由は簡単で

遠山式立体視は

誰にでも立体的に見る事が

出来るのですが

色再現性が難しく

アナグリフカラーと呼びたくなる

独特の色調が有ります。

また

赤青メガネを使うので

それを無くすと

立体的に見る事が

一切出来ません。

 

そして

印刷とメガネの色を

合わせる必要も有りました。

 

アイドルの立体視写真が

上手く行っていない原因は

そこにも問題が有りますし

実は立体視の度合いも

弱かったりする。

 

個人的な意見ですが

多分撮影したカメラ本体にも

弱点が有るんでしょう。

 

立体視の度合いの。

 

だから立体視の理論を基に

撮影の仕方を工夫する必要が有る。

 

先ず、サンプル画像を見て下さい。

立体視サンプル画像5

鼻がびよーんと手前に飛び出しています。

 

この作品は

目眩しそうな位の

立体視画像になっています。

 

それも当然で

撮影時の横移動距離は

30センチ近く有るんですから。

キツネ君本体との撮影距離は

1メートル程度なのですが。

 

ですのでこれ程の

立体感になっていますが

問題なのは

この立体感は

何で生み出されるのか。

 

この一点です。

 

立体感の出方は

視差角で決まります。

 

角度が無いと

立体視には成りませんし

角度が大き過ぎると

立体になってくれない。

 

撮影対象そのものにも

立体的に撮るのに

問題が有ったりします。

 

1メートル先の

グラビアアイドルと

10メートル先の

グラビアアイドルとでは

そのボリューム感の感じ方は

全く異なります。

 

近くで見ると

そのボリューム感は

リアルに感じる事が出来ますが

遠くからだと

そのボリューム感は

全く感じる事が出来ません。

 

その理由は簡単で

対象物を見る距離が

遠ければ遠い程

そのものの厚みが圧縮されていき

平たくなって行く。

 

例えば双眼鏡で見た

遠くの陸上選手が

薄っぺらく見えてしまうように。

画像はシャープで大きく見えますが

立体感は失せてしまっている。

 

これが視差角の為せる業です。

 

物体が遠ければ遠い程

視差角は狭くなって行きますので

立体感は失せて行きます。

 

ですからそれを補うためには

視差角を肉眼よりも

大きめに付けなくてはならない。

両眼(レンズ)を

離して行かなくてはならない。

 

巨人の目なら

立体感を感じる事が

出来る。

 

そういう事です。

 

必要な二眼の距離(ステレオベース)は

 

35ミリカメラ(50ミリレンズ)の場合は

人の両眼間隔の平均値と同じ

6.5センチメートルが適当。

(主要被写体までの最近距離が

約2メートル程度)

 

被写体までの撮影距離の

2〜3パーセント程度=1/30のルールが

目安となる。

つまり

10メートル先の被写体の場合は

30センチメートル、

100メートル先の場合は

3メートルの間隔が必要である。

 

こうなると

遠距離撮影の場合

どうしても

シンクロさせるカメラが

二台必要になる訳です。

 

グラビアアイドルの

全身の立体視写真を撮ろうと思う時

必要な二眼の間隔は

どの程度になるでしょうか。

 

計算上の数値は当然有りますが

それはあくまでも計算上の事です。

 

撮影し

実際に写真を組み合わせて見なければ

本当の所は判りません。

 

レンズの大きさにも由りますし

それによって

撮影距離も変わって来ますから。

 

理想の視差角は

対象の大きさや量感を

きちんと立体視画像に

出来ているかどうか、でしか

判断は出来ないんです。

 

一般的なステレオカメラなら

近接のポートレート撮影なら

十分な立体感は得られる筈ですが

全身の撮影をした時に

そのカメラ本体の視差角で

十分な立体感は得られるのか。

 

見た目と同じ量感を

再現出来るのか。

 

平べったくなって

手とか足位しか

飛び出さない様では

そのモデルの魅力は

激減りです。

 

ステレオカメラで

撮影するならば

その立体感表現の限界を

知ってこそのプロ。

 

アンドレ氏に質問したところ

以下の答えが返ってきました。

 

大きい物を撮影するときは、

小さいフィギュアを撮るときくらい

立体感を出したいので

左右の距離を大きくしています。

 

ではアンドレ氏による

等身大のフィギュアを撮影した写真を

見て下さい。

 

交差法

 

 

 

 

 

等身大フィギュアの

立体視写真の掲載ページです。

 

立体感を得るには

斜めからの撮影方法が有効で

立体感も出やすい事が判ります。

 

大切なのは

原寸大に引き伸ばした時でも

交差法なら

この立体感を

間近で感じる事が出来る事。

 

立体視写真に精通した

アンドレ氏ならではの写真と

言えるのでは無いでしょうか。

 

以下はネットで拾った

立体視画像です。

全て交差法にしています。

視差が少ないのに、立体感が有りますので

近距離撮影なのが判ります。

らばQより

同上・前後が圧縮され、距離感だけが出た立体視。

遠くからの撮影だと判りますが

背景が引っ込んでるだけで

モデルの量感はそれ程感じませんので

これでは普通の写真と

或る意味何も変わりません。

同上・手前の女性には立体感が有り

奥の女性になると立体感が圧縮されています。

その奥の鉢植えやレンガ積みには、

距離感だけしか有りません。

撮影機種/FUJIFILM 3Dデジタルカメラ FinePix REAL 3D W3 F FX-3D W3

 

近景・中景・遠景を

一枚の立体視写真に収めた時に

対象物の距離によって

視差角は異なります。

近距離ほど大きく、遠距離ほど小さい。

 

だから一枚の写真の中にも

立体感は

手前が大きくなり、遠方ほど小さい。

 

これが3Dデジタルカメラの視差です。

固定されたレンズの持つ

立体感の表現です。

 

遠近感と立体感。

 

3-D写真には

この二つの側面が有ります。

 

モデルに求めるのは立体感。

風景に求めるのは遠近感。

 

何を撮りたいのか。

どう撮りたいのか。

 

目的の無い立体視写真は

見るモノの好奇心を得る事は

出来ません。

 

立体的に見えるだけの写真は

その面白さを追求しているだけで

見る側には何も伝わらないんです。

 

その点を履き違えてはならない。

昔の立体視写真。

交差法に変更して有ります。

同上

同上

同上

 

舞台装置の様な

切り紙を立たせた感じの遠近感は

当時では目新しく

驚きを持って迎えられたと思います。

 

立体感(ボリューム)は

それ程重要視されては

いなかったのでしょう。

 

これらは

当時の記録写真でも有り

現代では

歴史的な史料価値も

有りますので

遠近感だけの立体視写真であっても

時間の経過が

付加価値を持たせた

典型例なのかも知れません。

 

立体的に見る事の出来るメリット。

 

何が有りますか?

どんな立体視の写真が有ったら

誰もが興味を持って

くれるのでしょうか。

必要と感じて貰えるのでしょうか。

医療用3D画像

 

誰も見た事の無い世界を

立体視で見せて行く。

 

情報の共有こそが

今後の立体視の世界を

広げて行く事には

間違い有りません。

 

ただ一つだけ問題が有るとすれば

それは裸眼で見るのか

道具を通して見るのか

両極に分かれてしまっている事です。

 

悩ましい問題です。

 

まあどちらにしても

人の興味とは

自分の望むものが立体的に見える事。

 

その一点です。

 

その点においては

娯楽のニーズこそが

進化のスピードを上げさせる事は

いつの時代も同じで

過去ビデオデッキの開発が

そうだったように

娯楽性の追求こそが

立体視を進化させて行く。

 

問題なのは

娯楽と立体視のニーズが

上手くマッチするのかどうか

その一点でしょうか。

 

大衆向けのソフトの展開。

 

それが見つけられない限り

いつまで経っても

立体視の世界は

その時々のブームで

終わってしまう。

 

今までがそうだった様に。

 

手近な解決策は

有るんですけどね。

その気になれば、ですが・・・。