『おへそ飛行機改良型』©吉田辰男 1986.04

 

紙飛行機に付いて

最も難しいのが

この問題です。

 

著作権。

 

私がこの問題で

最初に躓きそうになったのが

連載を開始する直前でした。

 

連載一年分、12機の紙飛行機を

決めるに当たって

編集部と相談していた時

誰もが掲載したいと思っていた

紙飛行機の一機の折り図が

戸田さんの新しい本に

掲載された事が判りました。

 

自分は編集に携わっていた

人間ですので

著作権の難しさは

承知しています。

 

先に発表されていれば

その事を

知っていても知らなくても

それらは全て

知らなかったでは

済まされない事。

 

それが著作権です。

 

同じであると判ったなら

尚更そこは自重しなければ

なりません。

 

編集長の

どうしても掲載したいという

お話しも聞きましたが

そこはあえて

掲載は出来ないと

取り下げさせて頂きました。

問題の芽は

摘み取るに限りますから。

 

でも実は

この世界には

二つの魔法の言葉が有ります。

 

一つは伝承型。

もう一つは

伝承型の改良型。

 

これを説明にくっ付ける。

 

便利な言葉ですが

実はこの事を証明する事自体が

結構難しかったりする。

 

例えばこの紙飛行機。

伝承型とされる『いかひこうき』

 

伝承型のいかひこうきとして

一部で定着しているみたいですが

この機を最初に見た時

伝承型とは思いませんでした。

伝承型のいかひこうきは

これですから。

伝承型『いかひこうき』

 

自分の頭の中では

前出のいかひこうきは

中村栄志氏が発表した作品だと

思っていましたが・・・。

本を探しても見つかりません。

 

でもつい最近

作者が判明しました。

 

作者は

小宮山洋夫&早坂忠之の両氏。

空飛ぶ折り紙の136・137ページに

『ヤリイカ飛行機』

として公開されていました。

折り図のページ。

※資料サイズで掲載

『ヤリイカ飛行機』

©小宮山洋夫&早坂忠之 1978.03.20

 

説明には

古典イカ飛行機の頭部を工夫して

頭部を少し重くしました、と有ります。

よって伝承型との判断には、無理が有ります。

 

ただ

自分がこの事を指摘する事自体

作者の御両人にとっては

余計な事かも知れません。

だって

伝承型

に分類され始めているんです。

紙飛行機作家にとって

これ以上の名誉な事は

無いのかも知れない。

 

戸田さんが本の中で

折り方を公開する

飛距離の日本記録を持つ

紙飛行機『エアーキング』

 

別の本の

滞空型の紙飛行機の中に

『ハヤテ』というのが

有りますが

この二機は折り方は同じで

異なるのは翼の折り出し部分。

 

でもこの紙飛行機は

既にある方によって

折り方は公開されていました。

 

その紙飛行機は

『おへそ飛行機改良型』

折り図を公開しているのは

吉田辰男氏。

著書『紙飛行機を飛ばそう』の

22~23ページです。

折り図のページ。

※資料サイズで掲載

『おへそ飛行機改良型』裏面

 

異なるのは

頭の部分の折り方。

戸田さんは

戸田折りにして

機首部分をロックしている。

それ以外は翼の折り出しも含めて

全く同じです。

 

吉田辰男氏は

この『おへそ飛行機改良型』の

天地を入れ替えて

(折り重ねを上にして)

『滞空競技用折り紙飛行機』として

紹介されてもいます。

その方が滞空型として

適していると判断されたのでしょう。

この意見には

賛同される方も

いらっしゃいます。

 

以前少し触れましたが

『スーパーイカひこうき(スペースカットル)』

©ピポ社おりがみ研究室 1976

 

この紙飛行機も

既に折り方は公開されていました。

折り図のページ。

※資料サイズで掲載

 

折り図はネット上に残してありますが

もう自分の作品として

公開する事は有りません。

コピーライトは

ピポ社おりがみ研究室です。

 

戸田さんの本の中に

『ドラゴン』という

紙飛行機が有りますが・・・

 

まあこれは

深くは触れずに置きましょう。

いつか

ブーメランとなって

自分に返って来るかも

知れませんから(笑)。

 

最後にこの紙飛行機。

近い内に

作者のお名前は

判ると思います。

『Flapping Paper Airplane』

ネット上では、作者不詳となっていますが・・・!

 

もう既に

作者名を御存じの方もいる筈。

 

この本の表紙に

同じ機体の写真が

掲載されているのに

気付きました。

『世界の紙飛行機』

 

『紙飛行機のブログ

少年老い易く、学成り難し』

を公開する

多分松田さんと言う方の記事の中に

下記の一文が・・・

 

レッドブルの本会場で見た、

ばたばた羽ばたくコウモリのような

飛行機と同じであると思しき作品も載っています。

 

これが

解説で見受けられました。

写真で見る限り

同一機と見て間違い無いでしょう。

 

世界の作家の紙飛行機を

集めた本ですから

お名前も掲載されている筈。

正式名称も判る筈。

その内手に入れる事が出来たら

確認の上

修正したいと思います。

 

紙飛行機の著作権は

折り紙と同じで

非常に難しい面が有ります。

 

自分がネット上に

折り方を公開するに当たり

コピーライトを入れているのは

ネット上で有っても

一度公開したら日時も含めて

そのデータが残るからに

他なりません。

 

これを入れておくと

ネット世界でも

現代に於いては

作品の保護が

それなりに可能になります。

 

でも

個人的には

折り図が独り歩きして

知らぬ間に伝承型の

仲間入りをしていたら

それはそれで

嬉しい事なのですが。