ある日、繁昌亭昼席の楽屋番をしている時にだった。

公演が終わり、演者のみなさんがお客さんのお見送りを終え、楽屋で帰る準備をしているところに男性が2人現れた。

1人は知らない顔で30代半ばぐらい。

そしてもう1人。
メガネをかけられてたので気づくのに時間がかかったが、その男性は神木隆之介さんだった。

今度の映画で大阪の落語家の役をやるらしく、勉強のために繁昌亭に落語を観に来たのだという。
もう1人の男性はマネージャーだった。

神木隆之介さんといえば、1993年で私と同い年。
子役時代から既に映画やテレビで大活躍されていて、同い年と知った時はショックでしばらく立ち直れなかったほどだ。

その神木隆之介さんが目の前に。

楽屋番は先輩師匠方の荷物を片付けるのをお手伝いしたり、楽屋番を物を整えてたりと、終演後もやることが山積みなのだが、その時は楽屋番の仕事は一瞬で吹き飛び、ただただ神木隆之介さんを見つめていた。

「お忙しいところ失礼します。神木隆之介と申します」
と自己紹介をされた後、映画のことで繁昌亭来たことの説明をされた。

師匠方は神木さんのことをご存知の方もいれば、なんか見たことあるぐらいの方、桂三ノ助なら知ってるとギャグを言う方、様々だ。

ただその中で1番感動していたのは絶対私だ。

ついに、憧れの人にお会いできたのだから…

つづく