前回のつづき。
https://blogs.yahoo.co.jp/katsura_sanmi/64353507.html

なぜこんなところにメドベージェフが?

恐らく今日の結果に満足できず、負けたことが悔しくて泣いていたんだろう。

あんなにも楽しく演技をしている姿からは想像もできない一面。

私はどうしたらいいかわからなかったが、とにかく彼女を少しでも元気づけたいと思った。

そこで私は控え室前の廊下のケータリングにカップヌードルが置いてあったのを思い出した。
親日家の彼女。
これしかないと思った。

すぐさま食べる用意をした。
あとは3分待つだけ。

とても長い3分だった。

もしかしたらめっちゃ怒られるかもしれん。
なんやねんコイツ?って思われるかもしれん。
これがキッカケで付き合えるかもわからへん。いやそれはないか。

3分経過。

フタを開け、割り箸をカップに乗せた状態でメドベージェフに差し出した。

めっっっっちゃ、
は?
って顔をされた。

そらそうやろ。
大事な大会で惨敗して悔しくて泣いてくるところに、知らん日本人の兄ちゃんからカップヌードル差し出されてんねんから。

は?
の表情が死ぬほど可愛かったことは長くなるので書かないでおく。

カタコトの英語でとりあえず、これは日本の有名な食べ物!食べて元気出して!みたいなことを伝えた。

すると、メドベージェフはゆっくりカップヌードルを受け取り、そっと一口食べたのだ。

そして一言。

「オイ…シイ…」

そこからメドベージェフは勢いよく食べ続けた。
涙も止まり、さらには笑っているではないか。
作戦大成功だ。

ニコニコしている私を見たメドベージェフ。
するとカップヌードルを私に差し出したのだ。

何か喋っている。
どうやらあなたも半分食べたらどう?
みたいなことを言っている。

そんなことできないというリアクションをするが、それでも勧めてくる。

結果、私は残りをいただいた。

食べ終わった私にメドベージェフはニコッと笑ったあと、
「アリガトウ」
と言って控え室の方へと去って行った。

どうやら元気になってくれたようだ。

よかった。

ただ、そんなことよりメドベージェフとカップヌードルをわけわけしたということを徐々に実感してきて、よくわからないけど、保健室で保健の先生とキスして、2人だけの秘密だよって言われた時ってこんな感じなんやろなと思った。

その次の大会。

メドベージェフは完璧な演技をした。
結果を待つキス&クライ。
コーチと喜びあうメドベージェフ。
会場のみんなに手を振るメドベージェフ。
そして画面に向かって手を振るメドベージェフ。

次の瞬間、一瞬だがメドベージェフがラーメンを箸ですする仕草を見せたのだ!

私はメドベージェフがした時と同じくらいの は? という表情をした。

あれは私に向けてのメッセージだったのか?考えすぎか?

わからない。わからないけど、女王復活である。元気なメドベージェフが帰ってきた!

嬉しくなった私はその日の晩はカップヌードルを食べたのであった。

メドベージェフが使った箸で。



最後キッッッッッモ!

※完全なるフィクションです。