死後の世界があるかないか、結論は明々白々
みんなの介護 先生は著書に「死ぬというのは夢の世界に入っていくのに近い体験だから、いい夢を見ようという気持ちで自然に人間は死んでいくことができるんじゃないか」と書かれています。人間は本当にそんなふうに誰でも穏やかな最期を迎えられるものなのでしょうか?
立花 まず、心臓が停止してもすぐに脳は死なない。数分間は活動しています。その間に人間の脳内のいろんな意識を支えている機構がどんどん壊れていく。その壊れる過程で起きる現象が〝臨死体験〟。死後の世界体験ではなく、死の直前に衰弱した脳が見る〝夢〟ではないかというのが、僕の到達した臨死体験についての結論でした。
みんなの介護 臨死体験談によく出てくる、美しい花畑で家族や友人に出会ったり、まばゆい光に包まれた世界へ移動したり、超越的な存在に出会ったりという神秘体験についてはどう説明できるのでしょう?
立花 神秘体験というのは、死の間際、脳の中の辺縁系(情動、意欲、記憶などに関与する領域)の働きが活発化して白昼夢を見ているような状態になり、幸福感で満たされるのだろうと考えられています。
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延命治療よりもやってほしいことがある
みんなの介護 〝死にどき〟といえば、以前、先生は「延命治療は要らない」と述べられていました。その考えに変わりはありませんか?
立花 そうですね。胃ろうも人工呼吸器も願い下げです。無理しないでなるようになるのが一番。延命治療というのは放っておけば死ねる状態になるのに無理やり何かしようということですから必要ない。
ただ1つ、希望としては、いよいよ死ぬとなったとき、くれぐれもベッドは温かすぎず寒すぎずという状態にしてほしい。
みんなの介護 それはなぜですか?
立花 生涯に3回も臨死体験をされた人からこんな話を聞いたんです。
1回目と2回目の臨死体験はハッピーなもので、こんなに楽に死ねるのかと思った。ところが3回目は、とにかく暗くて寂しかったと。なぜそうだったのか後から振り返ってみると、はじめの2回はあたたかい布団の中で快適な状態だったのに対し、3回目は救急病院で薄い病院着1枚で寝かされていた。
それでどうやら臨死体験という脳が最後に見せる夢に近い現象には死に際の環境がそのまま反映されるらしく、できるだけ死の床を快適にしておくことが肝要だということがわかった。まあ、そういうわけです。
みんなの介護 葬式や墓についても考えがあるということですが?
立花 葬式や墓にもまったく関心はないです。これもキリスト教徒の両親の影響でしょうね。「人間の肉体は塵(ちり)から生まれて塵に帰る」という考え方にずっと親しんできたせいか、肉体に特別な意味があるとは思えない。
とくに嫌なのが火葬場での骨あげ。焼きあがった遺骨を遺族らが2人1組になって箸で拾って骨壷に納めていく風習。こんな儀式はまったく必要ない。
僕は火葬場で訊ねたことがあるんですよ。「もし、遺族が故人の遺骨を拾わずに帰ったらどうなるのか」と。その答えは「東京都清掃局(環境局)の清掃車が来て引き取る」でした。
昔、伊藤栄樹という有名な検事総長の『人は死ねばゴミになる』という本がありましたが、まさにその通り。
僕も死んだら、葬式も骨あげもしなくていいし、遺骨も東京都に引き取ってもらってゴミとして処理してもらえばいいと思ってます。
まあ、可能であれば〝コンポスト葬〟が理想なんですが。
みんなの介護 コンポスト葬?
立花 イギリスのコリン・ウイルソン(『アウトサイダー』『オカルト』などの著作で知られるイギリスの作家)の取材をしたとき、彼の友人の1人が僕にコンポスト葬の話をしてくれたんです。
死んだら遺体をほかの材料と混ぜて発酵させるなどしてコンポスト(堆肥)にして畑に撒く。そうすればほかの動物と同じように、人間の肉体も自然に回帰できる。自然の物質循環の大きな環の中に入っていけるのだと。
ただ、実際には日本でそれをやるとなると美学的かつ法的に無理がありますから、妥協点として〝樹木葬〟あたりがいいかなと思ってます。
市民講座で私はいくつかのところ、 たとえば朝日カルチャーセンターなどで講師を つづけているのですが、
今年で12年になります。 月2回ですね。
毎回50人余の人が受 けるんですが、 そういう人たちの中にまた小さな勉強会ができまして、
そういったと ころをコアにしながら、 『昭和史講座』 をこれまで12回ほど出してきたんです。
しか し3年ほど前、 腎臓に悪性腫瘍があるとわかって、
それで腎臓をひとつ取ったのです が、
別に転移してなくて今はなんでもないんですけど。
それで刊行がちょっと止まっ ているんです。
最近体調が良くなったんで、 また出して行こうと作業を進めています。
私自身の史料を残すという、 私自身の思いつきという一点でやってるだけなんです。
ブタ腎臓を人に、米病院治験計画 早ければ来年から、遺伝子を改変
2022年5月16日 17時48分 (共同通信)
ブタの腎臓を人に移植する仕組み
遺伝子を改変して拒絶反応のリスクを減らしたブタの腎臓を人の患者に移植する治療法の臨床試験(治験)を、米マサチューセッツ総合病院の河合達郎医師(移植外科)らのチームが早ければ来年に始める方向で計画していることが16日、分かった。米食品医薬品局(FDA)と既に協議しており、認められればブタから人への腎臓移植の治験は世界初となる可能性がある。チームは医療としての確立を目指す。
ブタの腎臓や心臓の移植は、人からの提供臓器不足を補う目的で研究が進む。過去にも実施例はあるが、他に治療法がない患者や脳死の人への実験的な試みにとどまっている。