沖縄尚学高校・付属中学の上野浩司教諭(61)はこのほど、中学3年生に向けて自身のがん闘病体験を語る「いのちの授業」を開いた。
上野教諭は2018年7月に膵臓(すいぞう)がんが発覚。
最も重いステージ4だったが、手術や抗がん剤治療を経て職場復帰した。
授業中に闘病経験を語ることはあったが、闘病を主題に語るのは今回が初めて。
上野教諭は部活の国際大会に出発する直前に、黄疸が出ていることに気付いた。
医師から即入院を勧められたが、入院すれば生徒も大会に出場できなくなると考え、
大会がある米国へ出発。帰国後、検査でがんと判明した。
抗がん剤治療でつらかったことには「味覚障害」を挙げた。
「ごはんを口に入れても感触はあるが味はしない。
まるで砂を食べているようだった」と話した。
一番つらかったのは「学校に行けないこと」と話した。
がん教育は2021年度から本格適用される中学校の新学習指導要領に盛り込まれた。
上野教諭は事前にがん教育に関する研修を受けて講話に臨んだ。
がんはさまざまな種類があり、症状も多様であること、
がんになる要因はウイルスや生活習慣、遺伝などがあるが、あくまでリスクであり、
原因が分からないがんもあることなど、がんに関する知識も伝えた。
まだ再発の可能性もあるが「今は怖くはない」と話し
「再発した時は自分の中のがんに
『ガンコ君』と名前を付けようと思っている。
一緒に生きていけばいいと思う」と語った。
集まった生徒に向けて
「皆さんの年頃はつらくて死にたいと思うことがあるかもしれない。
でも、つらいことは人生のスパイスだと思ってほしい。
おいしいケーキでも毎日食べたらおいしくなくなる。
酸っぱい物、苦い物もあってそれぞれがおいしくなる」
]とメッセージを送り、
「人は必ず死ぬ。
私は 命を全うするまで
一生懸命 生きたい」と語った。