12年越しのアイラブユー










Side-S





《7》








「はい、しょおちゃん。」





部屋に入るなり渡された
綺麗に畳まれたスウェット





「部屋着の方がリラックスできるよ、もう遅いしさ、ゆっくりしてってよ。」
「いや、すぐ帰るから大丈夫だよ。」
「いいからいいから。」





半ば強引にスウェットを着せられて
そんな俺をニコニコと見てる相葉くんが
可愛いけど
可愛いんだけど

相葉くんの匂いのするスウェットを
相葉くんの部屋で着てるのが
なんだか恥ずかしいのと
俺の下心がバレてるんじゃないかと
少しだけ焦ってしまう





「えっと、じゃあ、初キャスターお疲れさま!」
「ありがと。」





缶ビールをコツンと合わせて
何故か俺よりも嬉しそうな相葉くん

そんな姿を見ると身体から力が抜けて
相葉くんに会って
やっと緊張が解れた気がする





相葉くんの用意してくれたツマミと
よく冷えたビールを流し込みながら

番組の感想や
分からなかった内容の質問や
俺のスーツ姿が格好よかったとか
関係のないようなことまで
楽しそうに話す相葉くん

コレって・・・もしかして
結構酔いが回ってる?






「相葉くん?大丈夫?」
「だいじょーぶ。くふふっ。」





大丈夫と言いながらも
フラフラと身体が揺れてるから
倒れたら危ないと
相葉くんの隣へと移動すれば
まるで待っていたかのように
コテンと俺の肩に頭を乗せて
うつらうつらとしている


まあ、時間も時間だし
結構なペースで飲んでたし


もう少しこのままでいたい気持ちと
風邪をひいたら大変だという気持ちが
せめぎ合うけど
体調を崩しやすい相葉くんのために
理性を振り絞って声をかけると
驚いたように飛び起きる





「あ、ゴメンしょおちゃん。」
「いや俺はいいけど、相葉くんも疲れてるんじゃね?そろそろ寝る?」
「帰らないよね。」





俺の言葉に瞳を揺らして
急に不安そうに腕を掴む相葉くんが
やっぱり俺と同じ想いでいてくれてるんじゃないかって





それは
俺の勝手な思い込みなのかな










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