遅ればせながら『Wii』を買った。

ゲームってあんまり興味無いし、買う気も全然無かったんだけど。

それもこれもみんな貧乏が悪いっ……


長男とのちょっとした賭けに負けて『ipod』を買わされる羽目になり

近くの電器屋へ品定めに行く事に。

末っ子が一緒に行きたいと言い出し、あわてて車に乗り込んできた。

「一緒に来ても何も買わないよ」

『うん、見るだけ。』


電気屋に着いて末っ子はゲーム機器のコーナーへまっしぐら。


俺は長男に必死に「毎日ipodとかで音楽聴いてると難聴になるよ」とか

「父ちゃんが昔使ってたウォークマンが探せばあるはず!」とか

この期に及んで諦めさせようと悪あがき。


長男はどの機種にするかで悩んでる。「まあ、もうちょっと悩んでろ。」って事で

末っ子を探しにゲーム機コーナーへ


ゲーム機コーナーのガラスケースの中に鎮座している『wii』をじっと見つめる我が子。

寝癖で頭ボサボサ、兄ちゃんのお下がりで指の先がかろうじて出ているだけの

ダボダボのヘタれたフリース、逆にズボンはツンツルテンで膝が抜けてるし…

どう見たって貧乏人の子、何か昭和30年台の世界から抜け出てきたみたいな

みすぼらしさ感、全身に漂わせてる。


自分のガキの頃を思い出して思わず後ろから抱き締めてやりたくなった。


そんでそこに通りかかった店員が我が子を一瞥して冷たい視線を投げた。

そりゃそうだよね、クリスマス商戦で忙しいのに、こんな貧しい身なりの子が

そこからずっと動かないんだもん…

ハッキリ言って商売の邪魔!


俺の脳内で呼び覚まされるガキの頃の記憶。

おもちゃ屋のショウウィンドウにかざられたラジコン模型、じっと眺めてたら

店のおばちゃん出てきて一言「どうせ買えないんだから邪魔っ!家帰りなっむかっ


まあ、うちの貧乏は知れ渡ってましたからね…


次の瞬間、俺はその店員を呼びとめて「すいません、その『Wii』下さい。」

あっけにとられる末っ子。

「おいチビ助、あと何が必要なんだ。」


で、何やかやで『wii』本体と『Wii fit』っていう板?と『Wii sports』と

『マリオカート』と『wii music』と追加リモコンとヌンチャクとあとなんか。


あ~あ、どうすんだろ。長男の決めた『ipod nano』と合わせて7万円

オーバーしてんの。


末っ子よ。

お前が兄ちゃんのお下がり着てなければ…

せめて寝ぐせくらい直していれば…

ズボンもお気に入りだからって小さいの無理して穿いてなければ…


ガキの頃のみじめな気持ちフラッシュバックしないで済んだのに。

お前、俺のガキの頃にそっくりだもんな…チビで痩せてて頭だけでっかくて。

お前を抱きしめながら俺は35年前の俺自身も抱きしめたよ。



でもしかし、父ちゃん 正月迎えられないかも…


何日か前、国道への合流待ちで停車していると視界に何やらチラつくものが…

目をやると黒い車の後部座席の窓全開で手を振る女子約一名。

うちの娘だった…身を乗り出さんばかりにして思いっきり振ってんの。


すぐに携帯に着信あり。

「もしもしどうした?」

「え~、パパ見つけたから!」

「誰の車に乗ってんの?」

「○○ちゃん家のお母さんの車。」

「○○ちゃんも一緒だよ」

(当たり前だろっ!)

「どこ行くの?」

「秘密っ!」

「気をつけてな、ちゃんとお礼言えよ。」

「わかった、じゃねバイバイ」


あのさ、お前もう高3なのに、何で街中で父ちゃん見つけただけで

そんなにうれしそうに手を振るの?

普通中高生にもなれば、街中で親見つけても避けるでしょ。

ほんとにお前はいつまでたっても子供だね!


なんて心の中で思いながらもつい顔がゆるんでニヤニヤしてしまう。

そんなに父ちゃんの事好きかよ。


時々「お前父ちゃんの事大好きでしょ?」って聞くと

ムッとして「何言ってんのっ!、別に普通だしっ。」とか言いながら…


家帰ると案の定少し遅れた俺への誕プレが置いてあるし。ニコニコ


まあ、行先が「秘密っ!」て答えた時点で分かってましたけどね!


ほんとに可愛くて仕方がないよっ!!

来年東京で一人暮らしなんて言ってるけど、たぶん父ちゃん東京への

出張が異常に増えると思うよ。

もちろん、偶然だけどね。




自分でも忘れてた誕生日に思いもかけず息子から誕プレもらった嬉しさで

ブログを始めて見たものの、正直何書いたらいいの?俺の人生って人様に

自慢できるほどのもんじゃないし…そもそもブログの使い方自体よく知らんし。


でもせっかくだから昔日記をつけていた頃を思い出して、

思いつくまま下らん事を書いて行こう。


実は俺、恥ずかしながら、はるか昔 中一から20歳まで日記をつけていた。

きっかけは兄のくれた鍵付きの日記帳。


当時思春期真っただ中の兄と姉は鍵付きの日記帳を持っていて、

それが小6の俺には自分だけ置き去りで大人になっていく二人を

見るようでちょっとさみしく、そして憧れていた。


そして中一になった春、兄が俺に鍵付きの日記帳をくれた。

「お前も中学生になったんだからこれに何でも書きたい事書いてみな。」

「鍵付きだから誰も見れないし、何書いてもいいんだぞ。」


もうそれだけで大人になった気がして毎日のくだらん出来事とか

中学生らしい妄想を書き込んでいた。


しばらくすると不思議な事が起きた。

兄ちゃんが俺の中学校での出来事や考えている事を

ズバリと当てるようになった。


4つ違いの兄、俺と違ってスポーツ万能でほかの部から助っ人依頼が来る奴

俺の憧れの人NO.1!


「す、すげえ~っ兄ちゃん俺の事何でもわかってるっ!」


もう憧れの人通り越して俺の神様。

兄ちゃんの命令なら何でもきいて、召使いどころか奴隷状態。

それも自ら喜んで。


何ヶ月か経った頃、その日も日記を付けていると突然姉ちゃんが、

「お前ってホンっ~~~トに馬鹿だねむかっ子供だねっ」

「な、何だよっ俺が馬鹿なら姉ちゃんだって馬鹿だよ、

おんなじ父ちゃん母ちゃんから生まれたんだよっ」

「あのさ、お前のその日記、兄ちゃんに読まれてるよ。」

「兄ちゃんお前の合鍵持ってるからね。」


蘇る俺の全部を言い当てる時の神々しいまでの兄ちゃんの姿…


俺どうしようもない馬鹿、一緒にバカやってる友達見て、心の中で

「ふっお前らバカだね~まだまだ子供だね、俺なんか鍵付き日記

持ってるもんね。ただ遊んでるだけじゃないもんね。」

なんて優越感に浸っていた俺が正真正銘の

バカ!


兄によれば、軽い悪ふざけでからかうつもりが、キラキラした目で自分を

見つめる弟の馬鹿さ加減が不憫になって言い出せなかったらしい。


でも今さら兄ちゃんの事を嫌いになることも出来ず…

一応「もう日記なんかやめる!」と俺

「お前せっかくだから続けな、新しい日記帳買ってあげるから」と姉。

そんで姉ちゃんのくれた日記で再開、ある事がきっかけで20歳で

やめるまで続いた飽きっぽい俺の唯一の習慣。


姉ちゃんが兄と同じ悪さをしたかは知らないし、知りたくもない。

ただ俺に渡してくれた鍵は確かに2つあった。