世界のゲーム業界はコロナ禍による巣ごもり 需要を捉えて大きく伸長している。米国では、年末商戦でゲーム機やゲームソフトの販売が好調。

米大手ゲームソフト開発会社の「エレクトロニック・アーツ」や「アクティビジョン・ブリザード」「テイクツー・インタラクティブ」などが最高値圏で推移しているほか、中国の「テンセント」も昨春から株価は約2倍に急騰している。

海外調査会社では、2020年の世界のゲーム市場は19年に比べ約2割増の 1749億ドルに拡大したとみている。この世界的なゲーム市場の拡大は、なお続き、23年には 2179億ドルに成長するとも予想されている。

任天堂の「ニンテンドースイッチ」が、21年3月期の予想販売台数は従来の2400万台から2650万台に引き上げられるなど「大勝利」を収める見込みだ。

ソニーは昨年11月に「プレイステーション5」を発売。入手困難な状況が続いたことによる高額転売がニュースになるなど話題を集めたが、12月末までに450万台が販売されたことが公表されている。

任天堂の21年3月期の連結純利益は従来予想の3000億円から4000億円(前期比55%増)に増額。ソニーもゲーム機部門などが牽引する格好で同利益は8000億円から1兆0850億円(同86%増)に見直された。


同様に大手ゲームソフト会社の業績も好調だ。

「スクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> 」「コーエーテクモホールディングス <3635> 」「カプコン <9697> 」などの21年3月期業績は最高益水準が予想されている。

世界的な巣ごもり需要の追い風がなお予想されるなか、来期以降も業績の拡大基調が見込まれている。今後、ゲーム関連株を見直す動きは強まりそうだ。


今後の活躍が期待できる有望5銘柄を紹介する。


【 ネクソン <3659>
韓国パソコンオンラインゲームなど好調
かつてテンセントが買収に乗り出したと報道されたこともある。

韓国・中国事業が収益構成の多くを占める同社の20年12月期の営業利益は、前の期比 17.9%増の1114億5000万円と計画レンジの上限に近い水準で着地した。

韓国におけるパソコンオンラインゲーム主力4タイトルすべてが好調に推移し、過去最高の通期売り上げを達成した。

アジアの多くの国では11日から、春節(旧正月)に入り商戦が繰り広げられている。今年は特に、家庭でゲームをして過ごす人も多いと予想されることから1-3月期業績は期待できそうだ。

株価は高値もみ合い局面にあり、ここからの上放れが期待できる。




【 ドリコム <3793> [東証M]
21年3月期の業績増額修正に期待
「ぼくとドラゴン」「ちょこっとファーム」など、自社配信タイトルが好調。

1月28日に発表した第3四半期累計(20年4-12月)の連結営業利益は前年同期比3.2倍の16億8300万円となり、通期計画に対する進捗率は89%に達し、増額修正期待も出ている。

同社では、「IP(知的資産)プロデュースカンパニー」を中期的な目標に掲げており、23年3月期までに有力IPの獲得が加速し、デジタル・エンターテインメント・コンテンツを提供することを目指している。




【 マーベラス <7844>
マーベラスは「令和の米騒動」現象で注目

1月29日、21年3月期の連結営業利益予想を従来の24億5000万円~30億円のレンジを36億円(前期比 47.0%増)へ上方修正した。

昨年11月に発売した新作ゲームソフト「天穂のサクナヒメ(てんすいのサクナヒメ)」が計画を大きく上回る売り上げを記録したことが主な要因だ。同タイトルは、米づくりをリアルに再現し、シミュレーション要素を融合した和風アクションRPGで、11月発売早々にソフトが品切れになり「令和の米騒動」として話題になった。また、会社側は1-3月期も主力IPの「牧場物語」の発売を控え、予約状況が非常に好調にあるとしており目が離せない。





【 バンダイナムコホールディングス <7832>
バンナムHDは「定番」を多数もつ強さ評価
人気IPを多数抱えるバンダイナムコはゲーム業界における優位性が明らかだ。
同社が8日に発表した第3四半期(20年4-12月)の連結営業利益は、前年同期比 1.1%増の729億2200万円だった。

主力タイトル「ワンピース」や「アイドルマスター」の人気が続いたほか、年末商戦で「機動戦士ガンダム」のプラモデルや「仮面ライダー」シリーズの定番IP商品や関連玩具なども好調だった。

これらを踏まえて、21年3月期の同利益予想を500億円から720億円(前期比 8.6%減)へ上方修正している。

株価は最高値圏での一服場面となっているが、先行き1万円台での活躍が見込める。




【 CRI・ミドルウェア <3698> [東証M]
CRIはゲームエンジンを手掛け業績拡大
映像・音声に特化したミドルウェアを展開する

ミドルウェアとは、一般的にゲームエンジンとも呼ばれ基本機能を共通化したゲームなどを簡単に作るための支援ツール。

同社が独自開発した音声・映像圧縮の「組み合わせ再生」技術が評価され、ゲームにとどまらずWeb動画や音響補正などにも採用され業績は好調に推移。

21年9月期連結営業利益予想は、5億~5億8000万円(前期比9.4%~26.9%増)と2期連続で最高益更新を見込む。

9日に発表した第1四半期(10-12月)の同利益は6700万円(前年同期比5.9%増)にとどまったが、これは前7-9月期に買収したアールフォースが計画通り営業赤字となったことによるもの。

ゲーム事業では主に海外における同社の認知度が高まり、顧客単価が上昇し増益に寄与した。