「会社のITシステムを社外のどこからでも仕事できる柔軟なインフラストラクチャへ移行させたい」
このようなクラウド・ベースのITインフラストラクチャへの移行を「DXデジタル・トランスフォーメーション」と呼ぶ。
DX関連銘柄は、向こう数年に渡って好況が続くと予想。
【 ズームインフォテクノロジーズ (Z I)】
営業マン向けに顧客データベースをクラウド経由で提供する企業
リモートワークで最も難しいのは、営業の際に「直接相手を訪問することなく、どうやって商談成立まで持って行く?」ということ。相手企業を訪問して直接面談すると、いろいろな相手の事情や情報を聞き出せるがリモートでは、なかなかそういう情報が得られない。
ズームインフォは、リアルタイムで見込み客の最新情報を更新し、それに基づいて「正しいコンタクト先の提案」や「より成功確率の高い見込み客から順番に並べるランク付け」「顧客購入意向シグナルの微調整」「エンゲージメント状況の記録」「インサイトの分析」などのサービスを提供する。
データベースに収録されている企業数は1400万社で、コンタクト先の個人情報1.2億件を収録している。
ズームインフォを、使えば、
「見込み先企業の担当者が自分の会社のウェブサイトを訪問したかどうか?」
「自社の他のセールスマンが既にその企業にアプローチしているか?」
「見込み先企業の組織がどうなっていて、誰が意思決定の権限を持っている?」
などのセールスマンにとって不可欠な情報がすぐわかります。
現在、ズームインフォの顧客数は1.5万で、そのうち年間100万ドルの顧客が15社、年間10万ドルの顧客が630社。
ズームインフォは、サブスクリプション・モデルを採用しているので、売上の予想が立てやすく、セールスサイクルは30日と短い。また、営業データベースの逐次更新は一度システムを構築すれば追加費用が余りかからないので、ビジネスとして高マージンでありキャッシュフローも健全。
【 ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)】
クラウド・ベースのビデオ会議アプリの会社
◯ 第1四半期決算
EPS 20セント(予想10セント)
売上高 3.28億ドル(予想2.04億ドル)
売上高成長率 前年同期比+169.0%
営業キャッシュフロー 2.59億ドル
フリー・キャッシュフロー 2.52億ドル
10人以上の課金顧客企業数 前年比+354%の26.5万社
年間売上高10万ドル以上の大口顧客数 前年比+90%の769
◯ 第2四半期
EPS 予想11セント→新ガイダンス44~46セント
売上高 予想2.24億ドル→新ガイダンス4.95億~5億ドル
◯ 2021年度
EPS 予想44セント→新ガイダンス1.21~1.29ドル
売上高 予想9.4億ドル→新ガイダンス17.75億~18億ドル
ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは「セキュリティーに問題がある!」「ユーザー数が不正確なのでは?」という指摘をされたが、上に述べた決算の数字からも明確なように、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズはきちんと利益を叩き出している。ユーザー数などの非伝統的なパフォーマンス尺度に頼るまでもなく、単純に決算の数字をフォローするだけで十分に評価されるべき。
【 ドキュサイン(DOCU)】
電子署名から始まって、ビジネス契約書の作成から締結、契約期間すべてに渡ってのドキュメント管理や過去契約書の保存など、ビジネス・ドキュメントのライフサイクルすべてをクラウドで管理するサービスを提供している会社
新型コロナウイルスで、電子署名に対するニーズは急増。ドキュサインは、まず電子署名で顧客を獲得した後、その新規顧客に対してドキュメント・マネージメント全般のサービスを提案する。一例として、中小企業向け賃金保証プログラム(PPP)の実施に際しても、ドキュサインの電子署名が活躍した。
その性格上、リモートワークには欠かせないサービスで、一度採用されると途中から解約することは事実上不可能。
◯ 第1四半期(4月期)決算
EPS 12セント(予想10セント)
売上高 2.97億ドル(予想2.81億ドル)
売上高成長率 前年同期比+38.8%
請求額は+59%の3.42億ドル
契約件数を見ると、14カ月以上の長期契約が全体の82%を占める。さらに、総顧客数は前年同期比+30%の66.1万顧客、企業・商業顧客数は+49%の8.9万件。
◯ 第2四半期
売上高 予想3.03億ドル→新ガイダンス3.16億~3.2億ドルを提示
請求額 3.33~3.43億ドルを見込む
◯ 2021年度
売上高 予想11.9億ドル→新ガイダンス13.13億~13.17億ドルを提示
請求額 15.15億~15.35億ドルを見込む
ドキュサインも「デジタル・トランスフォーメーション」の中核企業になると思われる。
【 クラウドストライク(CRWD)】
サイバーセキュリティをSaaSサブスクリプションベースでサービスを提供。クラウド上でクライアントで発生したセキュリティ事例を一括管理しているため、クラウドを通じて他のクライアント企業にも即座にアナウンスして、同種のハッキングの防衛対策ができることが強み。
◯ 第1四半期決算
EPS 2セント(予想-6セント)
売上高 1.78億ドル(予想1.65億ドル)
売上高成長率 前年同期比+85.3%
営業キャッシュフロー 9860万ドル(前年同期は140万ドル)
フリー・キャッシュフロー 8700万ドル(前年同期は-1610万ドル)
期中830社の新規顧客を獲得し、総顧客数は6261となる。中でも4つ以上のモジュールを購入した大口顧客数は+55%の増加を記録。
◯ 第2四半期
EPS 予想-6セント→新ガイダンス-2〜0セント
売上高 予想1.73億ドル→新ガイダンス1.86億~1.9億ドルを提示
◯ 2021年度
EPS 予想-12セント→新ガイダンス-8〜-5セント
売上高 予想7.31億ドル→新ガイダンス7.61億~7.73億ドルを提示
クラウドストライクは、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)と提携し、積極的な営業展開。
【 オクタ(OKTA)】
現在は、企業の重要なデータがクラウドに保管されていることも多く、IDとパスワードの管理は企業運営の死活問題。
不正アクセスされれば、企業の重要なデータが流出して、大変な問題になってしまう。
各種クラウドサービスにログインするためにはIDとパスワードが必要だが、それぞれのクラウドサービスごとに異なったID、パスワードを設定している場合、覚えきれない。
覚えきれないからといって誰にでもわかるようなパスワードを設定してしまうと、容易に不正アクセスが発生してしまう。
ユーザーにとってはログインしやすく、企業にとってはきちんとセキュリティの高いログイン管理ができる、そんなログイン管理サービスを提供しているのがオクタ。
◯ 第1四半期(4月期)決算
EPS -7セント(予想-17セント)
売上高 1.83億ドル(予想1.72億ドル)
売上高成長率 前年同期比+46.0%
サブスクリプション売上高は+49%の6.19億ドル、残存パフォーマンス義務は+57%の12.4億ドル
請求額は+42%の2.1億ドル
総顧客数は+28%の8400。中でも年間請求額10万ドル以上の大口顧客数は+38%の1580。
◯ 第2四半期
EPS 予想-9セント→新ガイダンス-2〜-1セント
売上高 予想1.85億ドル→新ガイダンス1.85億~1.87億ドルを提示
◯ 2021年度
EPS 予想-32セント→新ガイダンス-23〜-18セント
売上高 予想7.72億ドル→新ガイダンス7.7億~7.8億ドルを提示
オクタのサービスも1回採用されるとずっと使われ続けるので、業績の見通しが極めて立てやすい。