私たちの体は、免疫機能によって守られています。
免疫は大きく分けて2つ。
自然免疫と獲得免疫。
自然免疫は、体内の敵と判断したら相手かまわず、攻撃するもの。獲得免疫は、敵を区別して相手に合わせた攻撃をするものです。
自然免疫の細胞はは体をパトロールして体に害がありそうなものを早めにやつっけます。
自然免疫は長い間、不特定の相手と戦う原始的なものと考えられてきました、近年では、手ごわそうな相手を見つけたときに獲得免疫のスイッチを入れることがわかってきました。
自然免疫は最初に機能しなければ獲得免疫が効率的に働かないこともわかっています。
そこで注目を集めるようになったのが、自然免疫の1つで表面に多数の突起をもつ、「樹状細胞」です。
体内に侵入した細菌はこの樹状細胞に取り込まれ獲得免疫を担う細胞に見せます。その姿を教えられた細胞は活性化し自分が教わった特定の成分をもつ特定の細胞だけをやっつけるようになるのです。
この働きをがん治療に応用できないかという研究がすすんでます。
がんはもともと体内からできた自分の細胞であり異物ではありません。ですが異常に増殖するうちにその表面に正常細胞でない分子をくっつけてくる場合があります。
がん抗原と呼ばれるものです。
これを敵の印として使えばがんをやっつけることができるのではないかという研究です。
体内の細胞であり、それが薬として活用できることは、ほかの体への影響が少なくすむ可能性があります。もともと、自分の細胞だから。
患者の血液から樹状細胞を取り出し、がん抗原と混ぜて培養したものを患者に戻す
「樹状細胞療法」です。
樹状細胞が取り込んだがん抗原を体内で獲得免疫を担うT細胞に見せるとT細胞は活性化しがん抗原を持つがん細胞だけをやっつけるようになる治療です。
まだまだ課題もあるようですが、これからの治療技術の進歩にともないより効果がる治療として注目されていくことでしょう。