病気となる細菌を殺すためのいろんな薬が開発されていますが、細菌もまた生き残りをかけて進化しています。
ん、と思いませんか。
生物上、細菌も生き残りをかけて必死で進化していく・・・・。
ということは、今まで開発された薬が効かなくなってしまうの?
今日は、人類が直面する、この問題について少しまとめてみました。
細菌が既存の薬に対して抵抗力をもつようになりその薬が効かなくなることを
薬剤耐性といいます。薬は細菌を殺したり増殖を抑えたりする働きをしますが細菌も生き残りの為に薬が効かない菌を産みます。
このような菌は、遺伝子の変異または、新しい遺伝子を獲得することで生まれるので薬剤耐性菌と呼ばれます。
またもともと薬が効く菌を感受性菌といいます。
細菌が薬剤耐性菌を獲得するきっかけには2つあります。
1、患者の体内など薬にさらされることで自らが変異する場合。
細菌は、分裂、増殖の速度が速く、一度耐性能力を獲得するとその菌が爆発的に増殖し、薬剤耐性菌が蔓延することになります。
2、他の細菌から耐性遺伝子を受け取る場合です。
細菌は他の菌と遺伝情報のやり取りができるため、薬剤耐性菌は耐性能力を感受性菌にコピーさせ、耐性能力をもつ仲間をふやことができるのです。
薬剤耐性菌にはこれまでの薬が効かないため、通常ならくすりでカンタンに治せる症状が悪化し、命に関わることがあります。ただし、薬剤耐性菌の感染力や病気を起こす力は、感受性菌と同じです。
したがって、健康な人については、体内に入ったり、皮膚や粘膜の表面についたりするだけではすぐに病気になるわけではありません。
しかし、未熟児、高齢者、入院患者など抵抗力が衰えた人の場合、発病して腸炎や肺炎を引き起こし、死亡することもあるのです。
そのため、病院や介護施設などで感染が広がることが問題になるです。
細菌に対する薬は、新しいものを開発してもまた、新しい薬剤耐性菌が生まれるという現状があります。
さらにいくつもの薬に対して薬剤耐性菌を獲得した多剤耐性菌や
ほとんど薬が効かない新型耐性菌が問題となっています。
薬剤耐性菌は1970年以降、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌がひろがり、2000年代に入り、多剤耐性結核菌、多剤耐性緑膿菌など様々なものが全国に広がっていることが知られています。
では、私たちにできることはないのでしょうか。
大部分手などを介して接触感染するので、基本的に「手洗い」である程度予防できるようです。
特にトイレ内のものに触れた後はしっかり手洗いすることが感染拡大の予防になります。
薬剤耐性菌発生の原因としては、抗生物質の使いすぎが指摘されています。
また、有効でない抗生物質をつかったり、量が少なかったり、投与期間が適切でなかったりすると、薬剤耐性菌発生の原因になります。
そのため、WHOでは医療従事者や一般市民にたいする使用法の教育、抗生物質の販売規制を要請しているのが、今の現状と対策といえます。