今は自民党のパーティ券集金に批判が集まっている

報道する側は、その金額を5年分として総額で大きく見せることに腐心している

 

この問題はスピード違反によく似ている

厳格な道路交通法の元では、ドライバーの八割は速度違反という法律を犯している

たまに捕まるのは、目立つほどの悪質な違反者と事故になったものだけで

大多数は、捕まらないことを前提に法を犯しているのである

 

自民党の脇の甘さはそういうところにあり、対抗勢力の餌食となってしまった

安倍元首相の暗殺事件と同じ筋立ての上にあると考えた方が良さそうだ

それが中国共産党なのか統一教会なのかあるいはメディア連合なのか それは我々にはわからない

 

メディアの主張する 民主主義には幾つか 幻想がある

 

買収してはならない原則

政治応援に報酬を求めてはならない原則

投票率は高くなければならない原則

 

おそらくこれが達成されているのは北朝鮮とロシアぐらいであろう

中国は選挙そのものがなく民主主義を標榜しているのでこれには当たらない

日本でこの理想を実現しようとすれば宗教団体と共産党ぐらいしか達成可能な組織はない

 

ことに最初の二つ 金銭の授受については現代社会においては非常に難しい

もちろんここでは露骨な買収は問題外としておく

米国ではロビィイングという政治活動があり政治献金と政治は無縁ではない

これは買収ではない

多忙な日々の中 無償で政治活動ができる人々はそれほど多くはない

五年間で五億円という"巨額の裏金"というフレーズが飛び交っているが

中小企業を経営するものにとって一年一億円の経費はさほど高額ではない

 

一般的な話だが国会議員は少なくとも二人の公設秘書、 五、六人の私設秘書を抱えている

これは選挙時ではなく常時である

公設秘書は、准国家公務員で国から歳費は支給されるが

私設の場合は、事務所経費から支給される

自民党の場合 政党助成金として國庫から支給されるのは160億円でこれを一人当たりに換算すると

4000万円強が議員に割り当可能となる

党としての経費も必要だろうからもう少し少ないかもしれない

これを五人の私設秘書の給与とすれば一人当たり800万円

つまり、政党助成金では、常設の人件費だけで精一杯で、そのほかの歳費には余裕がないことになる

10人も私設秘書を抱えていれば、他の寄付で賄う他はない

また、議員の仕事は給料を支払うことだけではない

講演会を主催し実態と法律との矛盾を調査することが本業であり これも金のかかることだ

 

リクルート疑獄より企業献金が事実上困難になってしまってからパーティ券収入は、そういう不足分を補うためのものであった

それがどうして帳簿に載せられないかという理由は推測に過ぎないが次のように考えられる

 おそらく法の示す通りの収支管理を行うとすれば常時二人ほどの会計専任者を各事務所でおかなければならないであろう

零細企業の運営者は一般に収支決算業務を無駄と考えがちであることを考えれば事務所の実態も推しはかれる

もう一つは、政治は金と無縁でなければならないという誤った理想論が一人歩きしているためである

金と無縁であるということは、理念と思い込みこそが政治ということになるがそのダークサイドには思い至らない

 

再び道路交通法のことになるが運転者がほぼ全てが日々を方を犯しているのは、法に問題があるのは重々承知だが、

乗り越えがたい建前の話になるため

無用の争いは避け 生贄にされないように振る舞うのが法の遵守者の姿勢となる

厳格なルールと高いモラルは、腐敗の温床になることは

米国の禁酒法が示している

 

マスコミのいう世論の民主主義の理想とは、事務所は無償で貸与してくれる人があり、

これらの実労をボランティアで行ってくれるということになる

また、事務所には選挙応援団として民間から都度 手弁当で駆けつけてくれる人があって当然

確かに土建行政と言われた時代には、中央、地方問わずその関係企業は選挙に多くの人を派遣していたが

今は土建にもその余裕はない

また通常の民間企業でも、選挙ボランティアに行くと言って外出を許すはずもない

政治資金規正法ではさまざまな基準が提示されているが

建前は選挙運動はやはり無報酬であるべきと歌われている

また支払って良い金額も 鶯嬢15,000円以内、選挙事務員は1日10,000円 と明記されている

そんな事が成立するのは宗教団体と左翼団体くらいのものだ

彼らは"絶対善に奉仕"するということを行動原理としているため

形の上では理想的な民主主義を実現することができる

 

選挙あるいは議員活動とは、一企業と同様にお金も人員も必要であり

利害が対立する局面では資金戦争にもなりうる

金と絶縁することだけに着目していては金のうごめく現実社会を調整することは出来まい

 

現在の空気は、立憲民主の代表がいみじくも主張しているように

なぜ総理は派閥の解消を命じないのか

ということに凝縮される これは世の中が真の意味での右傾化の前兆でとても危険だ

このことは、当人は意識していないが"絶対善"の主張であるからだ

誰かが命じて粛清を行う

これは海の向こうで 盛んに行われていることで 民主主義からどんどん遠ざかることである

民主主義は混沌としていて、統制が取れず、金を含めた公の権力闘争があってこそのものである

 

残念ながら 新聞と良識人は戦前と同様 政治家の汗臭さと貧困(世界情勢)への無策を嫌い

軍部というエリート官僚に清廉な政治を期待した

軍国主義はその後にやってきたのである