LGBTの権利を守ることが世界の主流であり
そのことに積極的ではない日本の姿勢は恥ずべき事だ
こんなヘッドラインの記事があった
日本は遅れているという主張は多い
明治維新以来の伝統かもしれない
明治維新は外国の文化をうけいれる
あるいは通り越して外国のすべてを正しいものとして受け入れるというような風潮だった
しかし、江戸期までの日本は、文明国であることにはまちがいが無かったが
文化的には西欧とはまったく異なっていた
江戸末期の様々な人々が日本にやってきてその驚きを書き留めている
下田に駐留したタウンゼント・ハリスもその一人で、
日本の性モラルについて驚きをもって書き留めている
その中の一つに混浴が普通であったことだ
下田のどこかの露天温泉で湯につかっていると
見知らぬ若い村娘がいきなりすっぽんぽんで飛び込んできた
そこに恥らいはなかった
ただ、混浴に注目すべきではない
注目すべきは 当時の日本人は、人前に裸体を晒すというタブーがないといことだ
中国儒教でも キリスト教でも人前で肌を見せるということは倫理上許されない
後に維新政府は混浴は我が国の遅れを象徴するものだということで、禁止とした
ただ、明治のある時期まで、なかなかなくならなかったようだ
いまなお山深い湯治場温泉では、お達しがまだゆき渡らぬとみえて混浴はまだ残っている
イザベラバードは明治維新まもない日本を旅した
最初は東京に逗留して浅草などにも行っている
そこでイザベラが驚いたのは、吉原の太夫の絵馬が奉納されていたことだ
西欧的に言えばコーテザンの肖像画が教会に飾られているようなことだ
日本ではコーテザンが尊敬の対象でありうるということに驚いた
実際、日本では吉原上がりでも、商家の女将になるようなこともよくあった
日本では、処女に対する意識がかなり希薄であったことを意味するし
娼妓というものに対する蔑視があまりなかったということも意味する
日本の大人の子供対する姿勢が西欧とずいぶん違っていることを書き留めた人も居た
江戸庶民である職人や通い奉公人たちが勤めを終えると、屋台に子供の玩具を買いに来るという景色がとても珍しく映ったらしい
西欧では、大人は基本的に子供に対して冷淡であるのが普通であった
1980年頃のエッセイの日本人論でも西欧では子供が憂鬱な表情 大人は明るい
日本では対照的に子供は天真爛漫 大人が憂鬱だということを述べてた人が居た
当然、激しい暴力も通常であったし、子供が低賃金労働者として働くのも普通のことであった
日本では一定の年齢までの子供は神の領域と考えることが倣いで、地域の子供に優しかったし厳しくも接した
近所のよその家にご飯を食べに上がり込むというのは昭和初期まではよく見られた景色である
この明治維新当時の西欧先進国の実態はどういうものだったのかというと
現在の感覚からは信じがたいものであった
まず、男女の区別は宗教的、法的にも厳格であり、同性愛なども宗教的な罪であると
同時に刑法の適用を受ける犯罪とされた
この厳格さは、1970年ころまで続いた
現在の異様なLGBT運動は、この反動ともいえる
日本では今一つこの運動に積極的ではないというのは、江戸期の日本の寛容さに原因がある
まず、日本では同性愛が宗教的な罪であるという概念がなかった
戦国期には衆道は広く存在した 江戸期にも男娼は仕事として成り立っていた
女性の同性愛については元々記録が少ないが 女性が若い僧や 蔭間茶屋の男娼に入れ込むということもよく見られた
売春が倫理的正義の議論の対象となることもなかった
ただ幕府が風紀紊乱を嫌い、吉原のみを公儀公認とした
つまり一箇所と言えども絶対悪とはされていなかったを意味する
西欧人の視点から見れば、今なお現在でも日本人の性道徳は野蛮であるという
ポルノ雑誌が子供の目に触れるところに置かれ、漫画の性表現も赤裸々だ
僧侶がキャバクラで遊びゴルフに興じているというのは、日本では許容されてしまうが
西欧の宗教的倫理観から見れば異様だ
しかし、西欧が清廉潔白というわけでもない
厳格であったはずの中世でも娼館の1番の顧客は司祭と貴族であったというのは許されない現実であった
つまり実態はどちらも大差ないのだが、決定的な違いは宗教的倫理による正義と邪悪が西欧では明確であったのに対して、日本には伝統的にそうした正邪感覚がないということになる
そして、その西欧における正義は、時代とともに移ろっているということだ
日本の文化もその西欧の主張を受け入れて随分変わってしまった
地のままの日本であれば存在しなかった差別や蔑視まで植え付けられた
そして、周回遅れの日本となったという顛末である
日本ではゲイが犯罪であったことはないし、精神病として矯正しようとした歴史も無い
