仮面ライダーカルマ 第2話・別にいいじゃないか、家賃がないんだし。 | 自作仮面ライダー小説

仮面ライダーカルマ 第2話・別にいいじゃないか、家賃がないんだし。





…えーと、どこだここは。


文章しかない世界だ。いや、小説だから当然か。


それはそうとして、ここはマジでどこだ。


天国か、地獄か、


ていうか、何であの世に居る必要があるんだろうか?


………そういえば未確認生命体との戦いの時、

仮面ライダーカルマに変身して、生命体を倒して、

爆発に巻き込まれたような気が………



何だ、やっぱりここはあの世じゃないか。


うふふ、第2話から死ぬ主人公って、何か神秘的♪








「って、んなわけねーだろゴルァ!!」


ガバッと起き上がり、自分のポエム的な文章にツッコミ。
隣に座っていた誠が、ビクリとした。


「ん、マコトじゃん」


「よ、よお…壮大な寝起きだったな」


「ああ、ちょっとポエムにツッコミをいれたら、こうなった」


「何のことかサッパリ解らんが、まあいいか」


誠は読んでいた本に栞を付け、パタリと閉じる。


「そういえば俺、カルマに変身した後、爆発に巻き込まれたんじゃ…」


「ああ、だが無事だった」


「ふーん…」


「カルマの装甲が頑丈だったのかもしれないが…」


誠は慶の横に置かれている、カルマのベルトに目を付けながら


「どちらにしろ、俺たちの想像を超えるシステムだってことは確かだな」


「そうだな、」


刹那、ふと慶は思い出した。


「そういえば、エリアD支部はどうなったんだ?」


「キャプテンは一命を取り留めたが、それ以外のヤツらは…」


俯く誠。


「……そっか」


「だが俺達には、悲しんでいる暇などない」


「そりゃそうだろうな」


慶は、ゆっくりとベッドの上から降りる。
すると、誠が


「お前がカルマに変身した時の戦闘記録は、かなり凄かった」


と、慶を褒めるように言った。


「俺は我武者羅にやっただけだ」


「しかしその我武者羅な戦闘記録を基に、再びエリアキャプテンを決める会議が開かれている」


「え?」


「もしかしたら、お前がこのエリアのキャプテンとなり、カルマに変身することになる。
 ………ということだ」


信じられないな、
自分がキャプテンになれるなんて、自分がカルマに変身できるなんて、
まあ、まだ決定したわけじゃないが。


「とにかく今の状態のエリアDは、ほぼ壊滅寸前だ」


「そりゃあ、そうだろうな」


「だから俺達に、1ヶ月程の休暇期間の許可がおりた」


「マジで!?」


慶は嬉しそうに、そう言った。
休暇なんて、何年ぶりだろうか。
未確認生命体と戦う重大な仕事である故、休暇など取れなかった。
なのでアパートの部屋は、ほぼ散らかっている状態。


「やったー、ありがとう未確認生命体!」


「感謝してどうするんだ、オイ」


「よし、のんびり過ごすぞ~♪」


ノリノリ気分の慶。
その気分に水を刺すかのように、誠が


「ちなみに今回の戦闘でお前は無断でカルマを装着したから、
 今日渡される予定だったお前の給料がカットされてるぞ」


「………え?」

















―――エリアD、絶対安全保障地域。

と呼ばれているものの、絶対に安全というわけでもない。
だからと言って「50%安全保障地域」だと頼りないし、
とにかくこの名前で定着している。


………慶は今、
その絶対安全保障地域の、自分の部屋があるアパートにいた。
更に詳しく言うならば、そのアパートの大家さんに土下座していた。


「………で、給料がないから今月分は払えない、と?」


きらきらと輝きを見せる金髪、プロポーションのいい体、
口に銜えた煙草という部分を抜かせば、誰もが惚れるほどの美人。
……それが、このアパートの若干若い大家さんだ。


「とりあえずゴメンナサイ」


一方、仮面ライダーに変身する正義の戦士・藤原慶は、
その女性に逆らうことも出来ずに土下座をしている。


「いいよ別に、許してやるよ」


「本当ッスか!?マジパネェっすアネさん!!」


感無量の笑顔を見せる慶。


「アンタがこのアパートから出て行けば、全てチャラだから」


刹那…感無量の笑顔が、感無量の絶望顔へと変わった。


「そんな!これから1ヶ月、俺にホームレスになれと!?」


「金を払わないあんたが悪い」


「待って!お願い!!ストップ!!時よ止まれ!!ヘイ!タクシー!!」


ワケの解らない言葉を吐きながら、泣き顔になる慶。
そして涙をボドボドと流しながら


「俺、ここから追い出されたらどこにも行くところないんですよ!!」


「ああ、そりゃあ凄いね」


「お願いです!あと一ヶ月だけ待ってください!!」


「……アンタ、仮面ライダー剣って見たことあるかい?」


「え?」


突然メタメタしい話を持ちかける、アネさん。


「アレの第1話で主人公が、今のアンタと同じような立場におかれてるのよ」


「へ、へぇ」


「でね?その主人公は結果的に、そのアパートから追い出されちゃったの」


「……何が言いたいんですか?」


「解らないか~、じゃあ別の作品で例えてあげよう」


いや、普通に言えよ。
と言おうとした慶だったが、アネさんに煙草を投げつけられそうだったし止めた。


「仮面ライダーディケイドでね、RXの世界ってのがあるのよ」


「ふーん…」


「でね?その時に登場したBLACKRXの中の人は、倉田てつを本人だったのよ」


「へえ、」


「その時、この小説の作者は朝8時から、物凄い奇声を上げたらしいわよ(※本当です)」


「……は、はあ」


アネさんは、クルッと後ろを向いて


「じゃ、そういうことだから」


と呟いた。


「いや!何がだよ!!知らねーよ!!」


「解らない?」


「解るほうが凄いわ!只単に作者の恥ずかしい話を説明しただけじゃん!!」


「他にもあるわよ、仮面ライダーアギトの時なんか…」


「いいよ!もういいよ!!言うなよ!!」


マジ勘弁してください、アネさん。


「とにかく、アンタは今日でこのアパートとはオサラバってことよ」


「畜生!最初からそう言えよ!!金髪ババア!!」


「誰が、何だって?」


ニコニコとしながら、慶のおでこに煙草をつけようとする。


「ごめんなさい!何も無いです!!アネさんは最高です!!」


「よろしい」


今度こそ、アネさんは去っていった。


「………畜生、これからどうするんだろ、俺」





「………………うわ、」





「え?」


ふと背後から、ドン引きした女性の声を聞き取ったので
反射的に後ろをに首を回してみた。


「あ、」


慶はその女性を知っている。
その女性には、こう呼ばれている。


「変態コスプレ野郎」


「だから変態でもコスプレイヤーでも無いって言ってるじゃないか、YOU」


「だって仮面ライダーなんて着ぐるみ着てるんでしょ?」


「着ぐるみじゃないぞ、サヤ」


ロングへヤーな黒髪、学校帰りの制服、プロポーションは良くも悪くも無い。
胸がもうちょっと欲しいところだが、充分可愛いし、モテるだろう。
そんな彼女の名は、柳瀬サヤ…このアパートで暮らしている普通の高校生だ。
何かと慶に絡んできては、コスプレイヤー扱いしている。


「馴れ馴れしく名前を呼ばないで、っていつも言ってるでしょ?」


「じゃあテメェは馴れ馴れしく俺をコスプレ野郎とか呼ばないでくれ」


「断る」


「断るな」


「断る」


「断ることを断る」


「断ることを断ることを断る」


「断ることを断ることを断ることを断る」


「断ることを断ることを断わることを……って、あーもうッ!」


サヤは持っていたオレンジジュースの空き缶を慶に投げつけた。


「痛ッ!何しやがんだ!!」


「アンタが悪い!」


「え、悪いの!?俺が悪いのか!?」


「あーもう、イライラするなぁ!」


サヤは頭をぐしゃぐしゃと掻きながら、


「今日から夏休みだっていうのに、なんでこんなにストレス溜まるのよ!」


とキレだした。
いや、キレる理由がサッパリ解らん。


「え、夏休み?」


「そうよ!文句ある!?」


「……ものは相談なんだが」


「え?」


再び土下座の体制にはいり、


「俺をお前の部屋に居候させてくださいませ」


と、謎の敬語を使って頼む。


「は、はぁ!?」


「理由は聞くな、とにかく頼む」


「な、なんであんたなんかと一緒に暮らさなきゃなんないのよ!?」


「1ヶ月だけでいい、とにかく頼む」


「1ヶ月もアンタと?これ以上の地獄が何処にあるのよ!?」


「…そうか」


慶は立ち上がり、カッコいい顔で


「お前は…命令を無視したら給料をカットされて悲しくホームレスになりかけてる男を放置するのか?」


とキメたつもりだ。
キマってねーよ。


「FIRE!」


謎の掛け声と共に、慶の顔にりんごジュースの缶が飛んだ。


「痛ッ!またかよ!?」


「カッコつけてんじゃないわよ!ていうか自行自得じゃない!!」


「お願い!ねえお願い!!」


「いや!絶対にいや!!」


















「………何でこうなったんだろ」


サヤは、自分の部屋に慶が居る様子を見て、ポツリと呟いた。


「本当にすまない、1ヶ月したら出て行くから」


「当然よ、全く…」


サヤは、ため息を吐いた。




―――今日から1ヶ月、嫌われる男と嫌う女の、同居生活が始まる。







次回・「動き出す闇、居候してる光」







・あとがき・


ども、ライトオンです。
今回は地味に文字数とかが多くなりましたねw
読みにくいかもしれませんので、改めてここで謝罪を…ごめんなさい。


第2話は、メタ発言とかが多いギャグ回でした。
明らかなテンションの高さ…第1話で沢山の人が死んだとは思えないね!


ライトオン小説にはお約束の「居候」は、やはりここでも発動しました。
アリスやメタルとか読み返して思うけど、どうしてこうも居候は発動するのだろうか…
と、話がずれてしまいましたね、反省。


感想、宜しくお願いします^^