久しぶりにむかしむかしの復刻記事を爆  笑

 

わたし自身はあまりこの本、気に入っていなかったようで

いろいろと難癖をつけていました。

 

今読んでみたらどう感じるかなと思ったりして・・・

 

クローバークローバークローバー

December 23, 2004

 


きょうはカメくんのたんじょうび / エリザベス・ショー作・絵・さいとうひさこ訳

読んでみて はじめてわかる ウケる場所

こう見えてなかなか、素直な気持ちで子供に読んであげられる本ではないのです。

「きょうはカメくんの誕生日」ということで、いろんな友達がいろんなプレゼントを手に訪ねてきます。

当のカメくんは「ありがとう、でもレタスだったらいいのにな」と、ことごとくダメ出しをするのです。
なんなんでしょうか。ノホホンと図太いカメさんという設定なんでしょうか。

 

カメさんをずうずうしい生き物として描かれた気がして面白くなかったのです。

 

ところで海外の映画でよく見るシーン。

プレゼントというモノは、ためらいなしに包装をバリバリに破くものらしく、そういうシーンを見た時、なにか後ろめたさを感じ心が疼きます。更に、もらった人がプレゼントを見た途端、いやな顔をしたことにびっくり。

贈った方も心得ていて、「あ〜はいはい、二人で交換に行きましょう」なんていう会話をするので更にびっくりしたことを思い出しました。そこまでさばけているのかと

 

これには未だに慣れません。

それが当たり前な世界で生まれ育ったら、なんでもないことなのかな。

 

有難がられないプレゼントは、毎回、もってきた友達が自分で堪能して帰っていきます。

なかでも、カバくんがバケツの泥を地面にぶちまけてころがり回る場面はいつも大ウケ。

姪が「水で洗わなきゃいけないね〜」と言い、

私が「そうだね〜」と相槌を打つパターンができあがっています。

これを楽しむために読んでいると言ってもいいでしょう。

 

ここだけは絵本らしい外連味を見せるのです

 

でも、そう思うと「絵本らしさって?」と思うのです。

 

そして一日の終わりにカメくんは一人、みんなが来てくれたことをありがたく思い、でもレタスがなかったことを悲しみ、来年は誰かくれるかもしれないと涙を流すのです。

 

なんにせよ、誕生日を覚えていてくれて、的外れであっても贈り物を持って訪ねてくれて、しかも当人には要らないものだから自分で片づけて帰ってくれるなんて、実は友人たちは「困った人たち」なんかではないのです。

十分にユニークではあるけれど。

 

そしてカメくん、来年は誰かがくれるかもしれない、そんな風に泣いてる場合ではなくてね。

 

結局は、一番仲良しのネズミくんが持ってきてくれて大喜びで一気食い。

ご満悦で眠りにつきます。

 

この流れ、私はスッキリしないのです。

 

別に作者は、言いたいことははっきり言おう!とか

自分に正直に!とか

相手のことをよく考えた行動をとろう!とか

形式をなぞっただけの手抜きではいけないぞ!とか

お互い歩み寄りましょう!とか

そういったことを訴えたい意図はないと思うのです。

 

カメくんは、とても幸せなカメさんです。

 

とはいえ、絵柄がかわいらしくて大好きなことと、

この内容自体、「好きじゃない」で片付けられない所があって、結局愛読書に。

不思議な一冊です。

 

14年ぶりに読んでみたいですが、自分がまったく成長せず、感じ方もまったく変わっていないのを実感するような気がして、躊躇しています。